KH3 声優インタビュー

 

 

 

ソラカイ kH

 

一部抜粋しています

出典元 キングダム ハーツIII アルティマニア

キングダム ハーツIII アルティマニア (デジタル版SE-MOOK)

 

――ちなみに、ご自身が関わったゲームが発売されたあとは、実際にプレイしていますか?

入野 基本的に全部やります。

宮野 僕も、可能なかぎり遊ぶようにしています。

内田 ……私、ゲームが下手で……『KHI』はディスティニーアイランドから出られなかったんです。

入野 そうだ、前もそんなこと言ってたね!

宮野 (わざとらしく)ええっ、そんな人いるのぉ?

内田 いるんですよ、ここに(笑)。幸い、『KH』シリーズを好きな友だちがたくさんいるので、映像は見せてもらっています。

宮野 『KHI』のときは何回も何回もプレイしたなぁ。リクが出てくる場面をいつでも確認できるように、イベントシーンがはじまる直前でセーブしておくんですよ。

入野 わかるわかる!

宮野 だから、セーブデータがめっちゃある(笑)。

入野 僕も同じだった!そういえば、この前マッサージに行ったとき、お店の人とゲームの話になったんだけど、「『KHII』が好きすぎて、クリアすると終わっちゃう気がして寂しいから、ずっとグミシップをやりつづけてます」って言ってた(笑)。僕はとにかく1回クリアしてからやりこむタイプなので、そういう人もいるんだなと思いましたね。

宮野 その気持ち、すごくわかる!だから僕もまだ『FFVII』クリアしてないもん。

入野 え、『FFVII』クリアしてないの?

宮野 終わるのが悲しすぎて、最後のディスクを入れられなかったの。

入野 最後のディスクって、ほとんど終盤でしょ!

宮野 そう、あとはラスダンだけなんだけど、「これで終わっちゃう」と思ったらできなかった。
そこまで進んでいるのにエンディングを見てないという、一番もったいない状態(笑)。
 

 「繋がる心が、俺の力だ!」とリンクする「一人じゃダメなんだ」

 

――今回の物語でもっともインパクトがあったのが、キーブレード墓場で仲間を失ったソラが、弱気になって叫ぶシーンだと思います。

入野 あれは衝撃でしたね。

内田 衝撃だった……。

宮野 見ていて悲しくなっちゃった。

入野 あのシーンは、台本を読んで「ソラもこんなふうになることがあるんだ……」と感慨深くなりました。みんなが消えて繋がりが断ち切られた状態になったときに、ソラは無力になってしまう……。『KHI』には「繋がる心が、俺の力だ!」というセリフがありましたが、それと今回の「一人じゃダメなんだ」というセリフが、ちゃんと繋がっているんだと感じました。

宮野 ソラって、みんなにとってずっと光の存在だったじゃないですか。そんなソラでも、あれだけツラいことが起きれば、やっぱり大きなショックを受けるわけで、それに対して思いっきり感情を爆発させている姿を見ると、苦しいけど愛おしいというか、「ああ、ソラもふつうの男の子なんだな」と思いましたね。

入野 演じる側としては、ソラとしてどこまで負の感情を出していいのか、その度合いを測り切れなくて、結構難しかったです。最終的には、考えることを途中でやめて、思うがままに演じました。”ソラになる”ためのエンジンはかかっていましたし、「自分が表現したものがソラの感じたものなんだ」ということを信じてやっています。『KHIII』では、このシーンみたいに弱気になったり、ドナルドたちと冗談を言い合ってボケとツッコミをしたりと、これまでに見たことのないソラの姿がたくさん出てきたので、音響監督やスタッフのかたと「どこまでやりますか?」と話し合いながら収録していました。

――リクとリク=レプリカがディスティニーアイランドの浜辺で会話するシーンも印象的です。

宮野 僕も、あのシーンは大好きですね。リク=レプリカのパーソナリティを理解したうえで語りかけるリクの「ゆっくりすればいい」という言葉が、とても温かい。これまでは自分の闇と戦っていたせいで内向きな発言が多かったですけど、前を向いたリクはちゃんと”光の言葉”を発するんだなと感じました。もともとリクが闇に沈んだのは、友だちへのあこがれや嫉妬心であったり、大切な人を守りたいという願いであったりと、誰しもが持ちうるものが発端だったじゃないですか。人間が生きていくなかで、心に生まれた闇をすべて取り払うのは難しいですけど、経験を積んで成長することで、受け入れつつ前を向けるようになる。リクも、リク=レプリカという闇を戦うのではなく、自分の一部として溶け込ませて、闇を持ちながらも光の存在として生きていく決心をした。それが彼なりの強さなんだと思います。

――カイリとシオンは、どのように演じわけようと考えていましたか?

内田 声優としての卓越したスキルがあるわけではないので、声色を変えたりするのではなく、中身がちがって聞こえるようにしたいな、と思っています。同じセリフでも、カイリとシオンでは見てきた世界がちがうし、言葉の意味合いも変わってくるので、そのあたりは表現を明確に区別しようと意識していました。これは内田莉紗の個人的なイメージなんですが、カイリに対しては「こんな女の子になりたい!」というあこがれや理想の気持ちが強くて、どちらかというとシオンのほうが共感できるところが多いんです……私はシオンほど気高くはないんですけど(笑)。だから、”シオンになる”という意味では、カイリよりも演じやすい感覚はありましたね。

――カイリといえば、最終決戦の前にソラとパオプの実を食べさせ合うシーンも心に残りました。

内田 私も、すごく大好きで大切なシーンであると同時に、「”重い”シーンだな……」とも思っています。

入野 食べさせるパターンと食べさせないパターンの両方を録ったんですよ。収録時にはどちらの展開になるか決まっていなくて、最終的に食べさせるほうが採用されたみたいですね。ふたりの気持ちをどこまで描くのか、野村さんも悩んでいたんだと思います。

宮野 ソラとカイリの純粋な想いが表れている、繊細なシーンですからね。あのやり取りは、見ていてときめきます。彼らは自覚していないでしょうけど、恋心がなかったら、あんなにときめくシーンにはならない(笑)。

入野 でも、食べさせ合うことが「恋心を持っている」という明確な答えではないと思うよ?

宮野 いやいやいや、だって、そもそも俺、カイリからお守りとかもらってないし……。

入野 約束のお守り?

内田 ごめん!(笑)

宮野 『KHI』のときにも、俺に内緒でふたりだけで島を出ようとしたでしょ?

入野 もしかしたら、リクを闇に向かわせたのはカイリなのかも。ソラと仲良くしてるカイリを見て、リクは孤独を感じちゃってたんじゃない?

内田 ……そうか、私のせいだったのか(笑)。

 

 

 

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