関屋図
澪標図
「源氏物語関屋澪標図屏風 」 俵屋宗達 静嘉堂文庫美術館は、
『源氏物語』第十四帖「澪標」と第十六帖「関屋」を題材としたもので、六曲一双の屏風で、左隻が“澪標(みおつくし)”、右隻が“関屋”となっている。宗達の作品中、国宝に指定される3点のうちの1つで、「風神雷神図屏風」と並び傑作とされているものです。
直線と曲線を見事に使いわけた大胆な画面構成、緑と白を主調とした単純で巧みな色づかい、古絵巻の図様からの引用など、宗達画の魅力を存分に伝える傑作です。
源氏物語は、古来多くの画家によって絵画化されてきたが、そのどれもが屋内の光景を描いていた。宗達のこの屏風絵のように、屋外の光景を絵画化したものは、珍しいと言われているんですね。
関屋の巻では、光源氏が石山寺に参詣する様子が書かれていますが、その際に、逢坂山の関で、昔の愛人空蝉に逢うんですね。
この絵は、その際の様子を絵画化したものです。
右手の牛車には光源氏が乗っています。
左手端にわずかにのぞいている牛車には空蝉が乗っています。
原作では、美しい紅葉を背景に供奉の人たちのにぎやかさが強調されていますが、この絵では、緑色の山を背景に、わずかな数の人が描かれて、すっきりした画面になっています。
牛の前に立ちはだかるのは空蝉の弟右衛門佐です。その牛をなだめようとして、何人かの男たちが手綱を引き絞っています。
背景の緑色の山が、山の形としては変わっていますが、これは左隻澪標図の海の表現を考慮して、思い切り単純化したためだと思われているそうです。