伏見院 まだくれぬ【第4章】 | わたる風よりにほふマルボロ

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現代短歌新聞2021年4月号

作品掲載

 

new「源氏で紡ぐ和歌便り」

2021年8月分掲載new

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五十首御歌の中に夕月

 

まだくれぬ空の光とみる程にしられで月のかげになりぬる

 

伏見院

玉葉和歌集秋下631

 

 

訳や語釈、これまでの解説は
昨日までの記事を

お読みくださいね。

 

【第1章】

【第2章】

【第3章】

 

 

 

文法の話は

眠くなりますでしょうか?

どうでしょうか。

 

もう少しお付き合いいただけると

うれしいのですが。 

 

 

昨日も述べたとおり、

 

伏見院詠「まだくれぬ」

についても、

 

私の今年の訳は正しくなく、

2016年の訳のほうが

伏見院の意図に近かった

という可能性があります。

 

どちらかというと、

文法に忠実に訳そうとした

私の訳より、

 

昨日述べた二者のどちらか、

なんなら後者のほうが

伏見院の制作意図に近かった

気もするのだよなあ……。

 

 

 

現代の私たちと比べれば、

鎌倉時代の人たちは

平安時代の日本語に近い

日本語を

使っていたでしょう。

 

和歌は

原則平安時代の言葉(文語)

詠むことになっていますから、

 

現代日本人より

鎌倉時代の京極派歌人たちの

ほうが、

その言語を正確に操るのに

有利です。

 

 

なんなら和泉式部など

平安時代の人間ですから、

和歌において使うべき言語の

ほぼネイティブである

ということになりますよね。

 

ですから、

私たちよりは彼らのほうが

正しい文語で

和歌が詠めただろう、

 

と考えるのももっともなこと。

 

 

ただ、ね。

文法的に正しくあることより

優先させたい価値観を持つ

人たちも、いるわけで。

 

「昔の人がこう詠んだのだから、

 現代の私には

 わからないけれど

 これが正しいのだろう」

 

と言える場面もあるけれど、

言えない場面もあるし、

判断の難しい場面もあります。

 

 

 

現代日本人も、では全員が

日本語を正しく使っているのか

 

と問うならば、

その答えは自明です。

 

 

言語は変化するものとはいえ

いまそれなりに

正しいとされている日本語

を子どもたちに

身につけさせるために、

 

国語という科目が

義務教育にあるわけです。

 

 

また、

外国人に日本語を教えるにも

日本語を教える専門家が

いますでしょう。

 

友人として

日常会話を教えるぐらいなら

非専門家でも

ネイティブでさえあれば

事足りるのかもしれませんが、

 

日本語のおぼつかない

外国人に

日本語のおぼつかない

日本人が

「……みたく」だの

「違かった」「違くて」だのの

日本語もどきを教えるなんて、

ちょっと、敵いませんよ。

 

もはや

それらも現代日本語として

地位を確立しつつあるので、

そのうち私のほうが

昭和、平成の化石として

扱われるようになるのでしょうが。

 

 

それはさておき。

 

平安時代の人が全員

和歌において使うべき言語を

完璧に正しく駆使して

和歌を詠んだわけではないし、

 

まして数百年下った

鎌倉時代の人たちにとっては

平安時代の『源氏物語』も

注釈なしでは難しいぐらいだった、

 

それは、事実です。

 

 

 

……あと、もう1記事だけ、

お付き合いください。

 

長いね。

 

 

まだくれぬ空の光とみる程にしられで月のかげになりぬる

 

 

この記事の

【第1章】

【第2章】

【第3章】

【第4章】

【第5章】

【第6章】

 

 

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