伏見院 まだくれぬ【第2章】 | わたる風よりにほふマルボロ

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現代短歌新聞2021年4月号

作品掲載

 

new「源氏で紡ぐ和歌便り」

2021年8月分掲載new

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五十首御歌の中に夕月

 

まだくれぬ空の光とみる程にしられで月のかげになりぬる

 

伏見院

玉葉和歌集秋下631

 

 

訳や語釈、これまでの解説は
昨日の記事

お読みくださいね。

 

 

 

文法の話を続けます。

 

 

連体形というのは、文字どおり

体言修飾のための活用。

 

なので、その後に体言が来ず

活用語の連体形が

結句に置かれている場合も、

「「こと」「もの」などが

 略されているのだ」

と捉えると理解がスムーズです。

 

この「こと」「もの」は

「事」「物」である場合もあるし、

 

「……ことよ」「……ものよ」

で表すべき余韻を

持たせる目的で置かれる

場合もあります。

 

 

なので……

いったん「まだくれぬ」のことは

忘れて話しますが、

 

「の」や「ぞ」など、

述部を連体形で受けるべき

助詞が

その前にないのに

述部が連体形である歌

については、

 

詠嘆を表し余韻を持たせる

効果を狙ってそうしたのだ、

 

と考えることもできます。

 

 「ぞ」や「の」を伴わないのに

 述部が連体形になっている歌

 全般の話です。

 「まだくれぬ」は

 いちおう「の」を伴っているので、

 いったんこの歌の話は忘れてください)

 

 

 

が……

同時に、

 

京極派和歌に一定数見られる

それらは

 

単なるミスや

音数合わせである場合も

多いように感じています。

 

 

京極派の皆さん、

自然や心の観察眼は

他の時代、他の歌風の歌人より

うんと優れているのですが、

 

いっぽうで、

文法面で「ん? 」という揺らぎを

おおらかに許容しすぎている

きらいがあるのですよ。

 

これまでに何度か

言及してきたことですが。

 

 

 

いっそ現代短歌であれば、

「はい、ミスですね」

と判断できるのでわかりやすい。

 

 

現代短歌でこれが起きている

場合、

 

つまり

 

「の」や「ぞ」など

述部を連体形にすべき語が

その前にないにもかかわらず

述部が連体形になっている

場合は、

 

余韻を持たせるための

意図的な選択ではなく

9割9分ミス、

ないし音数合わせです。

 

 

そちらの作者のほとんどは、

述部を連体形にすると

「ことよ、ものよ」で表されるべき

余韻が生まれる、

などという事を知りませんから。

 

そんなにわかりやすいことは

ない。

 

(判断する主体である

 えらーい選者先生方も

 多くがその知識を持たないので、

 私以外の誰も「はい、ミスですね」と

 思わないのですけれどね)

 

 

 

ただ、京極派の皆さんや

建礼門院右京大夫、

和泉式部など

 

個性的であるとはいえ

私たちよりは文語ネイティブに

近い人たちが

 

どの程度

そうしたミスをするだろうか、

 

と考え始めると、これは難しい。

 

私には

その判断材料が少ないです。

 

 

ただ、いま挙げた

和泉式部、建礼門院右京大夫、

京極派歌人には

 

述部を連体形にすべき助詞が

その前にない場合でも

連体形で結んだ歌例

がまあまあある、

 

というのは事実です。

 

 

 

まだ終わりません……。

続きはまた明日。

 

 

まだくれぬ空の光とみる程にしられで月のかげになりぬる

 

 

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