◆ 脾臓ってどこにあるの?
【 白脾髄 】 と 【 赤脾髄 】
脾臓は1人一個で大人では左胸郭下第9-第11肋骨の高さにあり胃の左後ろ側で左腎と横隔膜の間にあります。
脾臓は肝臓の反対側に位置しており、左の腎臓と接していて、肋骨の下に隠れているので体表からは触れられません。
胃と腎臓の間にあり、こぶし程の大きさをしていて重さは約120gですが、スポンジ状の臓器で血液の含有量により大きさが変化する柔軟な臓器です。
◆ 脾臓の構造
長さ約10cm・幅約7cm・厚さ約4cmの楕円形の器官です。重さは100g前後で、色は暗赤紫色です。
大人の脾臓の重さは90から120gといわれます。200gをこえる脾臓は病的です。文献によっては100~200gと書いてありますが、正常な脾臓はそこまで大きくはありません。20歳から40歳までがもっとも大きく,年をとるとともに萎縮してゆきます。大きくなって触れる脾臓を脾腫といいます 。200g以上の人は脾腫の疑いがあります。
脾臓は、基本的に白脾髄(はくひずい)と赤脾髄(せきひずい)という2種類の組織からできていて、それぞれ異なる機能を果たしています。
【 白脾髄 】 と 【 赤脾髄 】
【 白脾髄 】
感染と戦う免疫系の一部です。リンパ球と呼ばれる白血球をつくっており、そのリンパ球は抗体(異物による侵入から守る特殊なタンパク質)をつくります。
【 赤脾髄 】
血液をろ過することにより、不要な物質を取り除きます。赤脾髄には、細菌、真菌、ウイルスなどの微生物を消化する食細胞という白血球が含まれています。また、赤脾髄は赤血球の状態を監視し、異常があったり、古くなったり、傷ついたりして適切に機能しなくなった赤血球を破壊します。さらに、赤脾髄には、特に白血球や血小板(血液の凝固に必要な細胞に似た粒子)といったさまざまな血液成分を貯蔵する働きもあります。
感染と戦う免疫系の一部です。リンパ球と呼ばれる白血球をつくっており、そのリンパ球は抗体(異物による侵入から守る特殊なタンパク質)をつくります。
【 赤脾髄 】
血液をろ過することにより、不要な物質を取り除きます。赤脾髄には、細菌、真菌、ウイルスなどの微生物を消化する食細胞という白血球が含まれています。また、赤脾髄は赤血球の状態を監視し、異常があったり、古くなったり、傷ついたりして適切に機能しなくなった赤血球を破壊します。さらに、赤脾髄には、特に白血球や血小板(血液の凝固に必要な細胞に似た粒子)といったさまざまな血液成分を貯蔵する働きもあります。
脾臓(ひぞう)は、にぎりこぶしほどの大きさをしたスポンジ状の軟らかい臓器で、腹部の左上、肋骨のすぐ下に位置しています。心臓から脾臓へ血液を供給するのが脾動脈です。
脾動脈によって脾臓へ運ばれた血液は、脾静脈によって脾臓から運び出され、より太い静脈である門脈を通じて肝臓へと運ばれます。脾臓は、血管とリンパ管を支えている線維組織(脾膜)で覆われています。
脾臓の意外な機能
脾臓がなくても、人間は生きていくことができます。脾臓が回復不能な損傷を受けた場合には、手術(脾臓摘出術)で摘出しなければならないこともあります。
脾臓を摘出すると、感染を防御する抗体をつくったり、望ましくない微生物を血液から取り除いたりする体の能力がある程度失われます。
脾臓には、肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌といった特定の種類の細菌に対して防御する役割があるため、脾臓を摘出した場合は、感染リスクが特に高くなります。
脾臓を摘出すると、感染を防御する抗体をつくったり、望ましくない微生物を血液から取り除いたりする体の能力がある程度失われます。
脾臓には、肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌といった特定の種類の細菌に対して防御する役割があるため、脾臓を摘出した場合は、感染リスクが特に高くなります。
◆ 脾臓のはたらき
① 血液を造る働きがある
胎児の頃は肝臓と脾臓で血液が作られています。
生まれてからはその機能は失われ、骨髄で血液が作られるようになります。
しかし、骨髄に何らかの障害や病気があった場合、骨髄で血液が作られなくなると、脾臓が再び血液をつくるようになっています。
生まれてからはその機能は失われ、骨髄で血液が作られるようになります。
しかし、骨髄に何らかの障害や病気があった場合、骨髄で血液が作られなくなると、脾臓が再び血液をつくるようになっています。
② 血小板を貯蓄する働きがある
血液に含まれる成分の一つである血小板は、血管が傷ついたときに集まり傷口を塞ぎ出血を防ぐ働きがありますが、脾臓にはこの全ての血小板の約3分の1を蓄える働きがあります。
※血小板の寿命は10日程度です。
※血小板の寿命は10日程度です。
③ 免疫機能の働きがある
脾臓には細菌や異物からカラダを守る免疫機能の働きもあります。
脾臓には全身のリンパ球の約4分の1が集まっており、体内で最大のリンパ器官と言えます。
脾臓には全身のリンパ球の約4分の1が集まっており、体内で最大のリンパ器官と言えます。
④ 老化した赤血球を破壊する働き
血液の55%は赤血球でできており、細胞の30%は赤血球から作られます。しかし、赤血球の寿命は120日間のみです。そのため、毎日新しい赤血球が生まれ続けて、古い赤血球を排除する必要があります。
古くなった赤血球が脾臓へと運び込まれると、大食細胞がヘモグロビンを破壊し、ビリルビンへと変化させて肝臓へと送ります。ヘモグロビンを壊した時に鉄分ができるのですが、その鉄分を回収すると骨髄へと送り、次に作られる新しい赤血球の材料にする、赤血球をリサイクルする働きをしています。
古くなった赤血球が脾臓へと運び込まれると、大食細胞がヘモグロビンを破壊し、ビリルビンへと変化させて肝臓へと送ります。ヘモグロビンを壊した時に鉄分ができるのですが、その鉄分を回収すると骨髄へと送り、次に作られる新しい赤血球の材料にする、赤血球をリサイクルする働きをしています。
⑤ 単核白血球の貯蔵庫
最新の研究によると、多数の単球(単核球・単核白血球)が脾臓に貯蔵されていることがわかり、損傷を受けた心臓の回復に欠かせない役割を果たしていることが判明したという。単球は白血球細胞の一種で、免疫防御や組織修復に欠かせない存在です。
20年にわたる追跡調査の結果では、脾臓のない人はある人に比べて心臓病や
肺炎で命を落とす確率が2倍も高かったことが判明しているそうです。
20年にわたる追跡調査の結果では、脾臓のない人はある人に比べて心臓病や
肺炎で命を落とす確率が2倍も高かったことが判明しているそうです。
◆ 脾腫ってなに?
脾腫は脾臓が腫大すること。脾臓が腫れて大きくなることをさします。
脾腫になると、血球や血小板を過剰に取り込んで貯蔵するようになるため(脾機能亢進症)、血液中の血球や血小板の数が少なくなります。このプロセスは、血球や血小板を多く取り込むほど脾臓が大きくなり、脾臓が大きくなるほど、取り込む血球や血小板がさらに増えるという悪循環に陥ります。最終的には、著しく腫大した脾臓によって正常な赤血球までとらえられ、異常な赤血球と一緒に破壊されるようになります。さらに、過剰な数の血球や血小板が脾臓に詰まると、脾臓の機能が阻害されます。
脾腫自体は病気ではありませんが、その原因となっている病気があります。
脾腫の原因の感染症
ブルセラ症
肝炎
伝染性単核球症
カラアザール(内臓リーシュマニア症)
マラリア
オウム病
亜急性細菌性心内膜炎
梅毒
結核
肝炎
伝染性単核球症
カラアザール(内臓リーシュマニア症)
マラリア
オウム病
亜急性細菌性心内膜炎
梅毒
結核
脾腫の原因の貧血
遺伝性楕円赤血球症
遺伝性球状赤血球症
鎌状赤血球症(主に子供)
サラセミア
遺伝性球状赤血球症
鎌状赤血球症(主に子供)
サラセミア
脾腫の原因の蓄積症
ゴーシェ病
ハンド‐シュラー‐クリスチャン病
レットレル‐ジーベ病
ニーマン・ピック病
ウォルマン病
ハンド‐シュラー‐クリスチャン病
レットレル‐ジーベ病
ニーマン・ピック病
ウォルマン病
その他の原因
アミロイドーシス
脾静脈や門脈の血栓
肝硬変
脾臓の嚢胞
脾静脈や門脈への外的圧迫
フェルティ症候群
サルコイドーシス
全身性エリテマトーデス(ループス)
脾静脈や門脈の血栓
肝硬変
脾臓の嚢胞
脾静脈や門脈への外的圧迫
フェルティ症候群
サルコイドーシス
全身性エリテマトーデス(ループス)
◆ 脾腫の治療について
可能であれば、脾腫を引き起こす元になった病気を治療します。脾臓の外科的な切除(脾臓摘出術)が必要になることがあります。
感染を起こしやすくなるといった問題が生じる可能性があります。しかし、次のような特定の危機的な状況では、あえてそのリスクを負う価値があります。
【治療が必要なケース】
脾臓による赤血球の破壊が急速で、重度の貧血を生じる場合
脾臓が白血球の蓄えを激減させ、感染の可能性が高い場合
脾臓が血小板の蓄えを激減させ、出血の可能性が高い場合
脾臓が大きくなりすぎて、痛みがあるor他の臓器を圧迫する場合
※ 手術の代わりに、放射線療法を行って脾臓を小さくする方法もあるようです。