昨日、コムスン 折口会長の謝罪会見が行われた。

折口さんと言えば、「ベンチャー通信」の5月号でも、巻頭特集で「天才起業家!」として持ち上げられていた。

昔のことは散々報道されたから置いておくとして、会長室には「たゆまぬベンチャースピリッツ」の額が掲げられ、ある意味、東証一部の大企業になってもベンチャーで居続けようとした会社でもある。


しかし、その傍ら、経団連理事でもある。ある意味、経団連のブランドも地に落ちた。先のライブドアも経団連加盟企業だったし、グッドウィルに至っては理事企業だ。


さて、興味深かったのは、今日の日経に図らずもソフトバンクの孫さんの記事だ。ベンチャーに重要なのは「退却」だと。

自分がマードックと組んで、テレビ朝日の買収を目論んだときに、社員や社会の反発の大きさにいち早く買収が上手くいかないことを悟って、マードックを説得して撤退した・・・と。


ことの真偽は別にしても、確かにベンチャーにとって重要なのは、撤退の決断だ。

ベンチャーゆえに最後に残る不確実性はリスクとしてテイクせざるを得ないが、実行してみて、違いがわかった時にどうするか!? 成功の理由は、成功するまで続けるからだ・・・という大先輩起業家も少なくない。しかし、現実問題として、ステークホルダーのためにも現実的かつそのときに論理的最善の手段を採用すべきであろう、プライドとかを捨て去って。


グッドウィルは介護事業に固執して、おそらく折口さんのプライドが許さないんだろうが、一旦縮小して、この逆風が収まったころにでも再起を図ろうとしているとしているように見える。姑息に別子会社に営業権譲渡しようとしたり、社長に引責退任させて自分が居直ったり。イメージはこの2日間で残念ながら地に落ちた。

ここはやはり全面的に撤退して、コムスン事業は第三者に売却して、本業の建て直しを図るべきだろう。

きっと本業の方へのダメージも相当あるはず。


天才!起業家の折口さんのこれからの打ち手に注目。

そして、頑張れ!折口さん。やり過ぎたことは十分反省してもらって。



ただ、申請書の半分の所在が不明って、まだ10年にもならないのに。。。内部統制どうなっているの?

一番大事な申請書すらないんじゃあ、経理書類等法定書類も保存されてないんだろうなあ。

とてもとてもこれからIPO審査受けたら、証券会社の審査も通らないね。ひどい話だ。

またこれでIPO審査のハードルが高くなるんだろうな。超ヤブ蛇

            「許認可関係の申請書類が適切に保存されていること」



爆弾

歯痛というか顎の貼れと、昨日からの咳を押して、五反田のSONY CSLのOpen House 2007のDemonstrationに行った。

SONY CSLは思ったよりも、こじんまりしていて、というか米国のSUNのキャンパスをなんだかイメージしていたから、流石にそれは日本で、また都心ではないか。

研究スペースが明るくて清潔で、流石に今日は見学者で熱気ムンムンだったけど、普段は落ち着いて研究に没頭できる環境なんだろうなあ・・・と。


今、一番有名なのはTVキャスターも努めているから脳科学者の茂木健一郎さんなんだろうなあ。

講演では、カツゼツはTVそのままだけど、迫力がすごい。

これからの技術・ビジネスでは脳のOpen-End性偶有性を活かすものだと。脳は常に忘れもするが学習する。意外なこと、びっくりすることは脳の学習につながる。そして確実性に基ずく経済成長の時代は終焉を向かえ、今後の経済の主戦場はこの偶有性をいかに設計するかだという

まさにWeb2.0やGoogleEarthの世界は、脳のOpen-End性と偶有性を刺激するビジネス形態なんだろう。

1+1=2の数式で証明されない世界をどう描くかが、人間中心社会における重要なテーマになる。

パンチ!


ところで、「人間中心社会」と言ったが、SONY CSLでは、これまでのテーマがそれだったそうで、所所長によると今後は『持続可能な社会を支える科学・技術』がテーマだそうだ。

先の茂木さんの話で言えば、食事をいっぱい食べるのが脳の満足ではなくて、大脳を刺激する何かがあった方がむしろ脳は刺激を受けて満足感につながる。だから物質に拘束されない新たな領域が開けるということらしい。


確かにIT技術は、これまで高速化・効率化・大量化により、物質社会を支え増長させてきた。まさに松下幸之助の『水道哲学』=大量のものが安く手に入る社会こそ人類が求める幸福である-の延長でしかなかった。

しかしこれも言われつくされた感もあるが、人類がこれから必要とするのは、物質的な満足でなく、精神的な幸福であり、それにIT技術もきっと貢献しうる/貢献しなければならない。

グッド!


・・・・などなどCSLの超天才たちに触れて、きっと先の茂木さんの講演抜粋も理解が違う、あくまで僕の理解に過ぎないが、大いに啓発されて、ピュアに考えてみました。

音譜


フランク・ニールセンさん;「25分では話しきれないよ!」と今日も言ってらっしゃいましたが、火曜日の講演では超早口で、通訳もかなり諦めてはしょっていたような・・・。「情報計算幾何学」という新しくてかつ注目の研究領域の先駆者ですね。大量のさまざまな情報からビックリするようなものが抽出できるようになったら面白いですね。

ちなみにフランクさんは当社のフットサルの常連メンバーです。


暦本さん;WiFiを使った位置DBをベースにさまざまな事業のプロトタイプを組み上げてます。WiFiが普及している都市部ではGPSよりも精度も良くて、何と言っても建物内でも場所が特定できるし、高さ情報も粗くなら取得できる。すぐにでもビジネスになりそうな・・・。

ちなみに2暦本さんは、当社のCTOの田村さんの元ボス?共同研究者?らしいです。

暦本さんもすごいが、田村さんも改めて敬服。


あと講演では経済物理学の高安さん、地球上の取引を分析することで法則が導き出せるそうです。株価が上昇しだすと数分間はまだまだ上がる期待で買い続けるから株価が上がり続け、10~30分後に人間心理がサチるのではと一変すると暴落するそうです。う~む、これだけでも精緻化したらマクロに資財があれば勝ち続けられそう。

語り口は穏やかだけど、超天才で頭の回路が、僕がWireだとすると、彼はLight(光)だろうなあ。


創薬プロセスにITを活用しようという北野さんのもの。原因遺伝子とその他大量の遺伝子の相互関係を解き明かせば、副作用や後遺症を限定した新たな創薬開発のプロセスが確立できるかも知れないというもの。僕も投資先の創薬ベンチャーの取締役でもあり、まさにそこで行っている勘と経験を活かしたスクリーニングと作用機序の解明作業とも関係ありそうな・・・とも思う一方、まだまだ砂漠を歩むところ(北野さん曰く)らしいので、ステージのズレがあるが。進展に期待。

グローバルな研究リーダらしく、今日はすごい迫力で外人と接していらっしゃった。外人とというより、迫力というか気力が溢れてた。


・・・と昨日に続いて長文でした。非常に知的に啓発された幸せな時間でした。




合格



先週末から虫歯が原因でたいへんだった。。。というかまだまだ渦中だが。


金曜日から、逃げ回っていた親不知とその手前の奥歯がズキズキ虫歯様の痛みが。

学生時代に、右下の親不知を抜歯したが、その時の痛さから、左のは抜かずに歯医者を逃げ回ってた。どこに別の歯の治療で行っても、「抜け~!」で、僕としては痛くないような技術革新を待って・・・と思っていたが。当時の歯医者さんはやたらと抜きたがった。

とかげ


それから逃亡も二十年余。

ある意味、よく持った。

でも、限界と歯医者へ。。。

土曜日だったので、家の近所で開いている歯医者をウェブで探索して行った。

診療してもらうまでの時間、家で1時間、歯医者で1時間は、本当に耐え難い痛みで辛かった。

奥歯の冠を取り、虫歯部を消毒して、とりあえず仮冠を施して、治療終了

あとは抗生物質と痛み止めで、急性の痛みをまず無くして、その後、親不知抜歯へ・・・のはずだったが


土曜日夜から、左顎の下が腫れて熱を持ち出して、日曜日には見るからに左顎は見事な二重顎に。

さらに日曜日夜には体温計を口に突っ込むと38℃になった。痛みもあって、4時間ごとに痛み止めを飲まないといけなくなった。

口は1cmくらいしか開けられなくて、そうなるとほとんど食べられない。飲むしかない。


月曜日ともかく歯医者に電話して至急診てもらう、それでも午前最後だったが。

先生は別の人(休日は臨時の先生か?)だったが、前の先生とは微妙に異なる治療方針を言われるも、それよりも「口を開けてくれ~」というのが本音だが、抗生物質を飲んで、安静にしているしかないとのこと。なぜか薬を一週間分と、たっぷりの鎮痛剤を処方してもらった。まさか、「一週間は腫れが引かなくて」「鎮痛剤が切れると痛む=4時間おきに服用」ということでは・・。

雷


ボッとしながら午後から仕事。鎮痛剤に解熱効果もあるのに、段々熱があがってくるのが自ずとわかるくらいで、ちょっとフラフラ。翌日もなぜか朝からミーティングが組まれていて、最悪。

ちなみに月曜夜に左顎の二重顎は、中央部まで拡張して、「僕がさらに太ったら、こんな顔になるんだ~~」って酷い顔に。

ブタ


水曜日には、はしか休講で久しぶりの東京工科大で講義の予定だった。

しかし、とても講義ができる状態でない、何しろ口が開かないので、やむを得ず休講手続きを。

学生の皆さん、ごめんなさい。もうスッカリ前のことも忘れちゃったでしょう。今年は講義資料的には年々充実でバッチリと思っていたけど、まず配布物の印刷サイズで予定が狂い、そしてはしかと虫歯でスケジュールが滅茶苦茶に。。立て直さねば。


火曜日は新しいファンドの事務処理の打ち合わせをこなして、それから品川で支払い承認と稟議書や契約書の捺印など。その程度が限界。でも鞭打ってSONY CSLのOpen Houseへ。良かった!これは後日レポートします、きっと。


やはり火曜日の夜も高熱(正確には首から上だけ)と痛みで、寝てるやら起きているやら良くわからぬまま悶々と汗を掻き、しかも足とか下半身は冷えていて、なんだか風邪も併発したような。。。最悪×2

ようやく夜が明けて、予約のあった歯医者にもう歩けないからタクシーで乗り付けるも、同じ診療。抗生物質で腫れが引くのを待つしかないとのこと。それがいつかは不明。。。


超不安になりつつ、月曜日にキャンセルしたミーティングをこなし、セカンドオピニオンを他の歯医者で貰うことに。ネットで治療方法等のQ&Aを親切に書いているオジイちゃん先生のところへ、泣きついて予約してもらった。

オジイちゃん先生の第一声。「ひどいねえ~、こりゃあ」

でしょう!僕もそう思うんだ。結構ひどいって。

兎に角、口が開かないんじゃあ治療のしようがない・・・ってここまでは前の歯医者と同じで、「ダメか~」と思ったけど、ここからオジイちゃん先生の年輪で、「前の薬が貴方に効かないことがわかった訳だから、別の薬を試しましょうか!?」

そう!そうだよね!ダメだったら、別の道を探索しないと、人類進歩がない。

それでオジイちゃん先生、ごそごそと薬取り出してきて、その場で飲ませてくれて(前の医者は処方箋をくれる様式で面倒)、それがピッタリ!だったようで、家に帰るころには全然開かなくなっていた口が、何とか1cmくらい開くようになった。ビックリ!

早速、プリンを食べた。


待合室でたまたま手に取った医学雑誌に同じような症状と写真があったが、病名は『頸部蜂か織炎』。要は虫歯の根っこの虫歯菌が神経にまで蔓延してしまった、下手をすると入院して抗生物質点滴、さらに下手をすると大きな危険もあるらしい。


要はこういうことではないかと勝手に推察。

土曜日、バイトの先生のところ、しかも昼休み前に、しかも2その日は混雑で予定よりも1時間押しているところに僕が参上。

すぐに抜歯という訳にもいかないので、普通に治療して、噛めるように仮の蓋をした。

ところが蓋の下に虫歯菌が残っていて、しかもその奥歯はすでに前に治療した際に神経が抜かれていて穴も開いていたので、いい具合に虫歯菌が急速繁殖して歯の奥深く浸透していった。それで奥歯近くの顎神経に容易に辿り着いた。その間、鎮痛剤を服用していたこともあって、自覚症状が薄かった。

さらに月曜日診断した先生は、すでに腫れ上がって口の開かない状況を診て、本来、投薬を変更するチョイスを考えるべきだったが、固陋なのか、経験不足か、重大さの認識がなかったのか、同じ投薬という診断をした。

・・・ということか。と素人的には判断。


先週金曜日の虫歯痛からだから、丁度、一週間。

たいへんな一週間だった。

今、当社ではIPOに向けてビジネスプランを策定し、外部体制整備をする重要な局面。

虫歯ごときに構っていられない。ただ歯痛は耐えられない。

しかも本命の親不知治療はこれから。


だから、TVCMじゃないが、”ツヅク!”


メモ




当社では最近海外のベンチャーからの投資依頼が多くある。

今朝もシリコンバレーのベンチャーCEOのプレゼンを聞いた。

会社を作ったが当初思った方向に行かず、役員の首を据え変えて、出資者(VC)も変えて、再出発してここまで来たと、まるで日本の会社のような浪花節(の反面、ドラスティックなところでもあるが)で、古今東西、ベンチャー経営者は苦労するんだなあ・・・と改めて思った。

途中、「I'm FOUNDER.」と言った時の彼の力強さが印象深い。


日本で「FOUNDER」を名乗っているのは、デジタルガレージ創業者の伊藤譲一さんくらいでは?

シリコンバレーのベンチャーは、CEOよりも、ファウンダーにプライドを持っているように思える。

実際、昔の調査だが、「隣の社長を尊敬するか?」という調査に、米国は7割以上の人が尊敬すると言い、方や日本は8%にも満たなかった。「社長」という言葉の響きの中には、特に中小企業の「社長」には、尊敬・崇拝もあろうが、(バカ)「シャチョー」/(ヨッツ!)「シャチョー」もあり、いつ潰れて夜逃げするかも知れない危うさもありで、少なくとも中小企業の社長よりも、大企業の課長の方が信頼される世情であろう。

もう少しベンチャーが尊敬される社会になるよう、先駆者的な位置にいるベンチャーの経営者も、そしてベンチャーを取り巻くメンターも、志高く、潔い生き方を示して、世の中を変えていきましょう。でないと日本ではベンチャーは育たなくなって、引いては知的産業の時代に取り残されることになる。


No more HORIEMON! No more MURAKAMI Fund!!



グッド!



昨日、品川で役員会の準備に追われて、アタフタと八王子の工科大に駆けつけた。


品川で反対側の京急まで駆けて行って、

横浜で京急から横浜線まで、乗り継ぎ3分だったので、これもダッシュで、

八王子みなみ野の駅で学校のバスがなかなか来なくてイライラしつつ(そこで回りに学生がいないのに気づけば良かった!)、

兼任講師室で追加配布資料を慌てて印刷し、

漸く準備完了!と教室に向かう途中で、

漸くヒラメイタ。。。 

      「ひょっとして、はしか休講???」


・・・という訳で片道1時間半と、かなりの汗をかいたものの、全くの無駄に終わった。

月曜日から休講だったらしい。。。


TAの子に大学の携帯サイトのアドレスを聞いたから、今後は大丈夫!

しかし、教務課の方、教えてよ!



叫び

講義の補足その2


第2回の講義は、「戦略」が主テーマで、経営のフレームワークを学んでもらうことがメインでした。

「ベンチャーでなぜ戦略が必要か?」

「ベンチャーの経営戦略を考える際に大企業向けに開発されたフレームワークが有効か?」

と言われると、確かに心もとない部分もある。

経営に過去と同じパターンが使える部分は多くなく、ましてやイノベーションを起こすベンチャーが他社と同じ発想で良いのかという指摘もあろう。


ただ、これらのフレームワークは偉大な先輩が、多くのケースから生み出した知恵の詰まったものであり、それを一部でも活用できれば良くて、また人に説明する場合には、相手も同じフレームワークの知識があるから共通語で話をすれば理解が早い。


したがって、講義の中では一揃いのフレームワークを紹介しつつも、それぞれについて深入りすることはしなかったつもりである。ビジネスマンとしての「常識」として知っておく部分と、自分の頭を整理する際に活用することがあれば、逆にその程度で、先に述べたように万能薬ではない。・・・と思うからである。


配布資料に無かったスライドで重要なものだけ掲載して、再度説明する。


BCGマトリックスは、企業における事業ポートフォリオの分析に用いられる(ゆえにケースもキリンだった)が、昨今、ベンチャーとしても複数商品を持っていたり、単品経営からの脱却をIPO前から求められることからも、知っておくべき「常識」であろう。


4つの象限に分類することは良いとして、それぞれの象限ごとに戦略定石がある。

問題児とスターに投資するのは間違いない部分として、気をつけないといけないのは、金のなる木のビジネスへの対応である。

ここでの定石は投資をしないで、利益回収を図ることだ。成長は鈍化しつつあるとは言え、シェアも高くて利益も上がっている事業を、その段階で見切りを付けて利益最大化を図る、最近の流行で言えば事業売却さえも視野に入れることになる。

口で言うは易しだが、実際には難しいし、この舵取りが重要である。



BCG

戦略定石と言う意味でもう一つのスライドが、ポーターの戦略を示した下のもの。

ポーターは競争手段とターゲットで3つの戦略を示している。

講義の中では自動車業界を例にあげて、戦略を示した。

トヨタがコストリーダシップであり、BMWが差別化、集中ではポルシェとスズキなど。

それにつけても先週発表されたトヨタの業績は素晴らしい。金融・資源でなくて、営業利益2兆円というのは誇らしくさえある。


「ニッサンがかつて「技術にニッサン」を標榜して差別化戦略をとったのに対して、トヨタは同質化戦略を挑み一旦は打ち負かした。そこでゴーンは二番手ながらコストリーダシップ戦略に立ち返り、徹底したコスト削減で成功した」と話したが、これについてはきっと諸氏意見があろう。

学生さんには、「技術のニッサン」の時点で「?」だったので、あまりピンと来なかったようだが。

埋めがたいジェネレーションギャップ。。。
ポーターの戦略
ジェネレーションギャップと言えば、ベンチャー企業紹介で、前回、「牛角」を取り上げて、牛角のイメージを聞いたところ、「高い」「汚い」だった。それ以前の焼肉がまさに「高い」「汚い」だったところへ、「安くて、モダン」にしたのが牛角のイノベーションと言いたかったが、すでに今の焼肉が当たり前の若い世代には通用しなくなっている。まさに牛角/レインズの悩みもそこにあるんだろうなあ・・・と再認識。


次回の講義では、ユニクロを企業紹介に取り上げるつもりだが、その延長で考えると、学生さんは昔のフリースの熱狂を知らないんだ・・・。

昨日、講義終了後に見に来た学生諸君!ごめん、一日遅れた。


さて、昨日の講義を配布資料にない追加スライドを中心に補足しよう。

かなり独断もあるので諸氏からの意見も頂戴したいところ。



VS中小企業

まず、ベンチャーとは何かということ。

ベンチャーは清成元法政総長らの造語で、明確な定義はないと前回説明した。

さらにベンチャーと中小企業を比較すると、その違いはわかりやすい。要は新しいことに挑戦して、新たなビジネス領域(ドメイン)を開拓する会社ということで、そのためには強いリーダシップ、スピード経営、イノベーションといった要素を内在することが欠かせない。


ここで注意して欲しいのは、決して、

○ ベンチャー

× 中小企業

ではないということ。

業種によっては、長い年月をかけて着実に地歩を伸ばしていく類のビジネスもある。むしろそれができるならば、その方がリスクも少なくて賢明とも言える。

ただ、短い年月に、他社に先駆けていち早く市場を制覇することが、成功要因となるビジネスもある。その場合はベンチャーとしての経営手法を駆使することが必要になる。



ロードマップ

次にベンチャーが創業からどうやって成長していくかを模式的に示したのがこの図である。

創業当初は当然売上はない。

そこから商品をつくり、人を採用し、市場・顧客にアプローチして商品を販売する。

そのうちに組織作りが必要になり管理に迫られる。

そうこうする内に、売上で10億円、利益で1億円というレベルが視野に入ってくると、株式公開=IPOをすることになる。


なぜIPOをするかというと、業態にも寄るが、

第一に資金調達を直接株式市場から調達できることで、財務的な安定度が増すこと、

第二に公開会社に求められる利益を生み出す仕組み、またそれを管理する仕組みができているとして、信用度が増すことが上げられる。

ここでいう信用とは、顧客からの信用もあり、金融機関からの信用も、さらには社員、入社希望者からの信用も、さまざまな信用があり、これが高まることで事業をやりやすくする。

ゆえにベンチャー企業として、最初に目指すハードルがIPOということになる。


重要なのは、決してIPOがベンチャーのゴールでなく、単なる最初のハードルに過ぎないということ。

僕はよくIPOを大学入試に例えるが、大学に入る資格みたいなもので、実際に入ってからの方が大切だよ!と。



千みつ
では、株式公開にまで至るベンチャーの確率はどの程度であろう。

無論、すべての会社の成功がIPOでないことは承知でこうした試算を試みた。

よくこの世界では「千三つ」=千に三つしかないと言われるが、確かに会社創業数とIPO社数の比率では、千分の二、すなわち千三つでなく、千二つ程度で誤差のウチだろう。

また、VCが投資した会社との比率では、7%くらい。重複や、VC投資無くIPOする会社もあるから、ラフには十社に一社と見て良いのではないだろうか。


創業したら、IPOまでの確率は500分の一。

VCからの投資を受けられるまでに成長または意思を固めたら10分の一。

まだまだハードルの高い世界。であるが故にチャレンジしがいもある世界。


以上が概論についての補足、次回(明日を予定)は戦略について補足します。



週刊ダイヤモンドの今週号が、「新興市場に気をつけろ!」で、新興市場の事件・トラブルが書き連ねてあった。

改めて読むと確かに「事故が多いなあ・・・」は率直な感想。

数億円の売上しかないインターネット総研やライブドアが、1兆円台の時価総額をつけるのはどうみてもオカシイし、しかもライブドアは違うが、ネット総研に至っては、自社が何かをしたというよりも、市場が勝手に過熱した結果だから如何ともしがたい。それでも今回のITX買収は軽率の謗りは結果論として免れない。


改めて今回の記事で過去の事件の歴史を読むに付け、故意(または半ば故意)の事件が多いことに改めて驚く。マザーズ一号案件のリキッドオーディオが半ば暴力団関係者だったというのは、当時の東証審査のいい加減さに呆れるが、それ以外でも粉飾決算は後を絶たないし、株式の大型分割や仕手筋の利用など経営者のモラル欠如が著しいことにも呆れる。志の低い、潔くない経営者をこそ、プロの市場関係者が見抜いて公開をストップさせないといけない。私自信もVCとして徳島の会社に結局は社長の調子の良い話に乗って投資して失敗したから、大見得は切れないが。

また、公開したときと全く違うビジネスモデルの会社が多いのも問題だ。百歩譲ってライブドアがポータル事業と親和性のある事業を続々と公募で集めた資金を使って買い集めたのはまだ理解できるが、IT企業のサンライズ・テクノロジーが、いかに安かったからかも知れないが、丸石自転車を買収したところで、斜陽の自転車会社を立ち直らせるだけの経営力があるとは思えない。あくまでIPOは最初の一里塚で、新興市場はエクセレントカンパニーへの近道であるべきだ。それを新興市場IPOをGoalとしてしまう経営者もまた投資家も、その誤解をまず解かないといけないだろう。


その意味でも実は最近、事件ばかりクローズアップされるが、その反面でちゃんと成長する会社も少なくなくて、記事の中でも紹介されていたヘラクレス第一号組のスギ薬局などは、その後成長を続けて、IPO公募価格の2倍の株価になっているという。また、新興市場から、東証一部へのランクアップしている会社もたくさんある。

今度、是非、新興市場のダークサイドばかりでなく、明るい面にも光を当てた特集を是非やって欲しいものだと思う。

日経新聞もトラブルネタが大好きで、大体「増益」「上方修正」よりも、「減益」「下方修正」を大きく取り扱う傾向があるように思えてならない。IPO経営者をヒーローのように扱って舞い上がらせてしまうのも良くない(どうもそういう雑誌が少なくない)し、市場の歪みを正すことも重要だが、あまりダークサイドばかり強調して日本社会に必要な新興市場やベンチャースピリッツを減退させてしまってもいけない。



合格




昨日、大学の友人の結婚式が、神田の学士会館であった。

しかも会社の同期ということで、知り合って21年目での結婚ということで、しかもしかも相手は超がつく美人で才媛。

披露宴もその話題で持ちきりだったが、とても楽しい式で、終わってみればなんと4時間もやっていた(流石、学士会館!)が、長さを感じさせない式だった。


その後、恒例?のマージャンへ。

去年の同窓会のときはメンツに加わらなかったから、本当に久しぶり。

かなり点数の数えはいい加減だったが、2度ツモ上がりしてトップ賞。

しかし、雀荘を探して、神保町から水道橋まで捜し歩いてようやく水道橋駅の近くで見つけた。途中、専修大学や大原簿記学校、またまた神保町近辺は集英社や小学館などの出版社も多くて、「雀荘が並んでいる」と勝手に予想していたが、全然ない。勿論探し方が悪いのも確かだろうが。学生時代、駒東だけで3~4軒あったのに、最近は廃れているんだろう。それこそ昔は社交の場でもあり、会社に入ってからも大先輩と卓を囲んでの話も勉強になったものだが。

みんな打ち筋も変わっていなくて、懐かしかった。



指輪

早くも、もう一週間になろうとしているけど、第一回の講義の補足をしたい。

言いたかった第一は、ベンチャーと中小企業の違いは何か?を考えて欲しいということ。

「ベンチャー企業」に明確な定義はない。前のベンチャー学会長の清成先生曰くは、「自分らの造語だ」と言われるから間違いなかろう。法的には、「中小企業」はあっても、「ベンチャー企業」という言葉は無い。

ただ、一般的に共通する概念みたいなものはすでにほぼ確立していて、急成長する企業ということ。かつてのホンダやSONYがそうであったように、数名の中小企業から、世界に冠たる大企業にまで突き抜けるような会社をイメージするだろう。

そしてそこには当然ながら、勝利の方程式ならぬ、成功の方程式がある。


まず第一にイノベーションが無いといけない。革新的な、不連続的なものがあって、それゆえにスピード展開できる強いリーダの下に一丸となって展開できる少数精鋭のベンチャー企業が成功できる。それが実は小さな改良に過ぎなかったりすると、大企業や先行企業の体力の前に力負けすることにもなる。

このイノベーションの見極めが難しい。小さな企業だから、すごいイノベーションでも、あまりにリスクが大きいと成功まで息が続かない。SNSのミクシィも、携帯3Dエンジンのエイチアイも、投資額にしたら数億円、社員も数十名で結構インパクトを齎した。逆に少し古くなるが、第2電電や携帯電話などのインフラビジネスは投資額が巨大で、ベンチャーからすでに脱皮した京セラやソフトバンクのビジネス領域と言えよう。また時期的な見極めも重要だ。あまりに拙速でもベンチャーは息切れする。板倉さんのハイパーネットなどその典型だろう。

またイノベーションも必ずしも技術イノベーションだけでなくて、規制緩和で突然ビジネスチャンスが開けたスカイマークとか、固陋の業界に新風を送り込んだ牛角(レインズ)やテイクアンドギブズなども、十分、イノベーションを起こしたベンチャーだろう。


第二に優秀な経営チームが無いといけない。起業家と経営チームについては、後の講義で詳しく話すときがあるので、ここでは詳細には述べないが、成功の一番の鍵を握るのは、技術でなく、経営チームだ。次が先の市場だ。


言いたかったことの第二は、ベンチャーが良くて、大企業/中小企業が悪いということは毛頭言うつもりはなくて、ただ、昔は報酬面でも遣り甲斐の面でも、大企業>ベンチャー企業だったのが、今は、ローリスク・ローリターンの大企業と、ハイリスク・ハイリターンのベンチャー企業となって、両者は優劣の関係でなくて、棲み分けになったということ。勿論、大企業が本当にローリスク・ローリターンかと言うと疑問も残るが。大企業も昔の年功序列は崩れ去っているから、結構、能力主義になっているし、給与格差も付いてきてリスクもリターンも大きくなってきている。


故に、イノベーションにチャレンジする本当のベンチャーにチャレンジする、またはそういう会社に参画するというワクワク体験をキャリアの中に据えるというのも、若い人は是非選択肢の中に入れるべきだ。それにはこの講義もいいチャンスですよ!・・・と。



本