週刊ダイヤモンドの今週号が、「新興市場に気をつけろ!」で、新興市場の事件・トラブルが書き連ねてあった。

改めて読むと確かに「事故が多いなあ・・・」は率直な感想。

数億円の売上しかないインターネット総研やライブドアが、1兆円台の時価総額をつけるのはどうみてもオカシイし、しかもライブドアは違うが、ネット総研に至っては、自社が何かをしたというよりも、市場が勝手に過熱した結果だから如何ともしがたい。それでも今回のITX買収は軽率の謗りは結果論として免れない。


改めて今回の記事で過去の事件の歴史を読むに付け、故意(または半ば故意)の事件が多いことに改めて驚く。マザーズ一号案件のリキッドオーディオが半ば暴力団関係者だったというのは、当時の東証審査のいい加減さに呆れるが、それ以外でも粉飾決算は後を絶たないし、株式の大型分割や仕手筋の利用など経営者のモラル欠如が著しいことにも呆れる。志の低い、潔くない経営者をこそ、プロの市場関係者が見抜いて公開をストップさせないといけない。私自信もVCとして徳島の会社に結局は社長の調子の良い話に乗って投資して失敗したから、大見得は切れないが。

また、公開したときと全く違うビジネスモデルの会社が多いのも問題だ。百歩譲ってライブドアがポータル事業と親和性のある事業を続々と公募で集めた資金を使って買い集めたのはまだ理解できるが、IT企業のサンライズ・テクノロジーが、いかに安かったからかも知れないが、丸石自転車を買収したところで、斜陽の自転車会社を立ち直らせるだけの経営力があるとは思えない。あくまでIPOは最初の一里塚で、新興市場はエクセレントカンパニーへの近道であるべきだ。それを新興市場IPOをGoalとしてしまう経営者もまた投資家も、その誤解をまず解かないといけないだろう。


その意味でも実は最近、事件ばかりクローズアップされるが、その反面でちゃんと成長する会社も少なくなくて、記事の中でも紹介されていたヘラクレス第一号組のスギ薬局などは、その後成長を続けて、IPO公募価格の2倍の株価になっているという。また、新興市場から、東証一部へのランクアップしている会社もたくさんある。

今度、是非、新興市場のダークサイドばかりでなく、明るい面にも光を当てた特集を是非やって欲しいものだと思う。

日経新聞もトラブルネタが大好きで、大体「増益」「上方修正」よりも、「減益」「下方修正」を大きく取り扱う傾向があるように思えてならない。IPO経営者をヒーローのように扱って舞い上がらせてしまうのも良くない(どうもそういう雑誌が少なくない)し、市場の歪みを正すことも重要だが、あまりダークサイドばかり強調して日本社会に必要な新興市場やベンチャースピリッツを減退させてしまってもいけない。



合格