昨日、講義終了後に見に来た学生諸君!ごめん、一日遅れた。
さて、昨日の講義を配布資料にない追加スライドを中心に補足しよう。
かなり独断もあるので諸氏からの意見も頂戴したいところ。
まず、ベンチャーとは何かということ。
ベンチャーは清成元法政総長らの造語で、明確な定義はないと前回説明した。
さらにベンチャーと中小企業を比較すると、その違いはわかりやすい。要は新しいことに挑戦して、新たなビジネス領域(ドメイン)を開拓する会社ということで、そのためには強いリーダシップ、スピード経営、イノベーションといった要素を内在することが欠かせない。
ここで注意して欲しいのは、決して、
○ ベンチャー
× 中小企業
ではないということ。
業種によっては、長い年月をかけて着実に地歩を伸ばしていく類のビジネスもある。むしろそれができるならば、その方がリスクも少なくて賢明とも言える。
ただ、短い年月に、他社に先駆けていち早く市場を制覇することが、成功要因となるビジネスもある。その場合はベンチャーとしての経営手法を駆使することが必要になる。
次にベンチャーが創業からどうやって成長していくかを模式的に示したのがこの図である。
創業当初は当然売上はない。
そこから商品をつくり、人を採用し、市場・顧客にアプローチして商品を販売する。
そのうちに組織作りが必要になり管理に迫られる。
そうこうする内に、売上で10億円、利益で1億円というレベルが視野に入ってくると、株式公開=IPOをすることになる。
なぜIPOをするかというと、業態にも寄るが、
第一に資金調達を直接株式市場から調達できることで、財務的な安定度が増すこと、
第二に公開会社に求められる利益を生み出す仕組み、またそれを管理する仕組みができているとして、信用度が増すことが上げられる。
ここでいう信用とは、顧客からの信用もあり、金融機関からの信用も、さらには社員、入社希望者からの信用も、さまざまな信用があり、これが高まることで事業をやりやすくする。
ゆえにベンチャー企業として、最初に目指すハードルがIPOということになる。
重要なのは、決してIPOがベンチャーのゴールでなく、単なる最初のハードルに過ぎないということ。
僕はよくIPOを大学入試に例えるが、大学に入る資格みたいなもので、実際に入ってからの方が大切だよ!と。
では、株式公開にまで至るベンチャーの確率はどの程度であろう。
無論、すべての会社の成功がIPOでないことは承知でこうした試算を試みた。
よくこの世界では「千三つ」=千に三つしかないと言われるが、確かに会社創業数とIPO社数の比率では、千分の二、すなわち千三つでなく、千二つ程度で誤差のウチだろう。
また、VCが投資した会社との比率では、7%くらい。重複や、VC投資無くIPOする会社もあるから、ラフには十社に一社と見て良いのではないだろうか。
創業したら、IPOまでの確率は500分の一。
VCからの投資を受けられるまでに成長または意思を固めたら10分の一。
まだまだハードルの高い世界。であるが故にチャレンジしがいもある世界。
以上が概論についての補足、次回(明日を予定)は戦略について補足します。