2011年は何と言っても東日本大震災と福島原発事故のあった年として歴史に残る年となった。
有史以来、原発事故はスリーマイル、チェルノブイリに次ぐ3件目。事故の規模としてはレベル7でかつ原発4基が同時に爆発/メルトダウンと言う最大規模だし、温暖化防止の切り札として原発建設を世界的に進める中で冷や水をかぶせる形となったことでインパクトも大きかった。

経済的には併せて南欧諸国=PIIGSの破綻が、世界中の経済を大きく揺さぶった。
EUの共通通貨ユーロを基軸とする経済統合が危ういものであることを示してしまった。ギリシャでは過去の政権が債務残高等を偽って国債を乱発し、イタリアではベルルスコーニが人気取りのバラ撒きを続けた挙げ句、債務が膨らみ国債が消化されなくなった。
その結果、歴史的な円高になってしまった。

国内経済では、リーマンショックから漸く立ち直りかけたところに大震災に見舞われた。直接の被災もさることながら、東北の電子部品工場等の被災でサプライチェーン全体がストップする事態となった。
しかし、危機に連帯して立ち向かって回復するのは日本は強い。やるべきことが明確だから。早期に回復してV字というかナイフエッジの回復を見せた。
そこへ欧州危機と円高である。

日本企業はこれまでも何度も限界と言われてきたが、輸出産業の国内立地はさらに厳しくなった。中小企業は海外への進出を一段と進め、M&Aも多くなった。大企業は、国内生産拠点を縮小し海外へ拠点を移し、また海外企業の買収を進めた。
要は国内の売上はもう狙わず、利益だけは何とか確保したいと言うことだろう。

IPO環境は、前年よりはIPO企業数は増えて、38社となった。年間200社以上がIPOした2002年と比べるとまだまだ六分の一の水準だ。調達金額ではさらに少ないだろう。
大型IPOは今年はカルビーとネクソンくらいだ。ネクソンが他国市場でなく東証でIPOしたのは良かったが、日興アセットは上場を延期した。
また、ベンチャーIPOとしては、ディジタルメディアプロフェッショナルやモルフォ、ブレインパッドと言った注目ベンチャーが上場してそれなりに高く評価されて良かったが、一方、ベルグアースなどは公募価格ベースですら時価総額が10億円に満たなかった。まだまだ新興市場に対する投資家の評価は厳しいものがある。さらに問題なのは依然として機関投資家が無視しつづけていることだ。
まあ、経緯は複雑なものがあるものの、プロ向け市場の東証AIMにメビオファームが上場した。しかし、上場したと言っても、公募はなく、日々の取引もほとんどない。ひょっとすると皆無かも知れない。連日、新聞のメビオファームの行には「ー」(取引なし)になっている。

そして、終盤になって大王製紙とオリンパスの不祥事が発覚して、日本の企業統治に大きな疑問符がついた。どちらもその間抜けさには唖然とさせられるものだ。大王製紙はFXで空けた損失をカジノで取り返そうとした経営者の発想も呆れ返るし、数十億円を黙って融通した財務もそれを見逃した取締役も監査役も間抜けだ。オリンパスもバブルに踊らされて大穴を空けた当時のトップにも呆れるが、それを公表できなかった肝の小ささにも呆れる。可哀想なのはそれを引き継いだ経営者で、前任者の不祥事を暴く勇気が無かった。それを穴埋めするために無謀なM&Aを断行する勇気はあったのに。

こうして2011年を振り返って見ると、2011年は成長しようとするとモグラ叩きのように叩かれ潰されて、成長しきれなかった一年のような気がする。ただ、成長しようとするモチベーションとパワーは感じさせるものがある。どうしたら、ハンマーで頭を押さえつけられずに成長できるだろうか。



オリンパスでは、巨額の資金流用-飛ばしの損失穴埋めに巨額の仲介手数料が、外国人元社長の告発に端を発して判明。

大王製紙は、創業一族のお坊ちゃまが、数十億円を私的流用。内部告発で判明。


まあ、よくもこんなことが今までまかり通っていたものだとあきれ返るが、困るのは、こうした大企業で発生した不祥事、ガバナンスの欠陥から、大企業のガバナンスをどうするかは再考すべきだが、ベンチャー企業のガバナンスまで一緒になってガバナンス強化しろ!となることだ。

そもそもこの両社では、監査法人の監査も、J-SOXもやり、また監査役制度も運用してきたが、それでも全く喰い止めることができなかったわけだ。きっとそれら全てを強化、厳格運用すべし・・・となるだろうが、結局、コンピュータウィルスと同じで、どんなに精巧なプロテクトをしても、悪意をもったプロがアタックしたら守り切れない。


ただでさえ、100人くらいのベンチャーであれば、すべてのことは見渡せば足りる。

そのための仕組みとして、外部監査、内部監査、J-SOX、監査役監査、品質管理活動などなどいくつも重複して実施するのは、コスト高に他ならない。明確な目的意識なく、そういった類のものをやらされている意識の下で実施するとややすると形式的なものになって、全く機能しないものとなる。

もろもろの監査については、企業規模に合わせて自由な制度設計があっていいと思う。

特に新興市場に上場するレベルのベンチャーに、監査、監査と迫るのは、審査をする立場としては、すべてが完璧に運用・機能していることを確認せざるを得ないかもしれないが、まさに過剰かつ形式的な管理コストは、企業価値を逸し、それ以上にアントレプレナーの意欲を奪う。


こういう風潮の中で、ガバナンス緩和を打ち出すのは勇気を必要とすることだろうが、是非、政治家とかお役人、有識者等々の制度を作る側の方には、企業規模に応じた、実効性に応じたガバナンスを検討してもらいたい。




スチーブ・ジョブスが死んだ。

稀代のエントレプレナーだった。


彼のすごさは、何と言っても一度追い出されたアップルに戻ってからだ。

ジリ貧の会社再生をまずコストカットから始める経営者は多い。日産のカルロスゴーンがその典型だ。それを新規事業で成し遂げた人は、実は少ない。普通、ジリ貧の会社の経営者は新規事業を始めたがるが、大抵は失敗して、終焉を早めるのが関の山だ。

しかし、ジョブスはそれをやってのけた。それだけでない。

i-Tuneに続き、i-phone、i-Pad、そしてMac Air と続けて多分野で革新的なヒット作を連発した。

どうして、ジョブスにそれができたのか?

これからいくつもジョブスの伝記がでるそうだから、関心もって読んでみたい。



ブレインパットと言うベンチャーが来月IPOする。

サイバードの技術開発子会社だった(はず)KLabも公開する。

どちらも所謂期越え上場(決算期末終了後、3ヶ月以内の株主総会前の上場)で、直前期は税前利益(経常利益)で言えば1億円そこそこまたは以下と小ぶりだ。

先月IPOして、百億そこそこのバリューをつけているモルフォの直前期利益は2億円そこそこだった。

いわゆる”将来性”が評価された企業の公開が再び出てきて、少なくともモルフォについては市場(投資家)も高い評価をしている。


ベンチャーの不正に対する社会の厳しい目線は当然だ。

ベンチャーに限らず、市場で株を売り出すからには、投資家に対する適切な開示や経営に対する自信と覚悟がないといけない。ちょっと不況になったら開示していた計画が吹っ飛んで大赤字になったり、経営者が我先に逃げ出すのはもっての外だ。


その一方で、社会も羹に懲りて膾を吹くことが無いよう、これからの日本に必要な将来伸びる可能性のある”ちゃんとした”企業は、キチンと評価していくことが必要だと思う。

ようやくその兆しが出てきたように思う。”夢”を日本の経済界になくしてはいけない。


なでしこJAPAN勝利!

今朝は朝からヒートアップ!テレビの前で一人で大騒ぎ!して、勝った瞬間にはこみ上げてしまった。。。


しかし、前半は”予想通り”完全に押し込まれ、ゴールバーに救われた場面もあって、冷や冷やだったし、攻撃は全く機能してなくて、パスは長い足で遮られるし、ヘディングの空中戦では身長差もあり全くダメだった。

後半、カウンターから相手FWの個人技一発で決められ、これまでか・・・と思ったけど、同点にして延長戦へ。

延長も前半、相手エースにヘディングで決められ、万事休す!と僕だけでなく、多くの日本人も思ったはずだ。よくやったと。

しかし、なでしこのメンバーは最後まで勝負を捨てなかった。

テレビでは、アメリカの足が止まったと言ってたが、見ている限り、日本の足も同じくらい止まっていてもうギリギリだった。そこで今度は日本のエースの澤が決めたわけだが、その精神力には感服した。


PKはおまけとはいえ、極度に精神戦の面もあろうから、2度ギリギリから追いついた日本の方が、勝利目前で2度追いつかれPKまで持ち込まれた米国よりも有利だったとも言えよう。


小さな日本のなでしこが、大きくて上手くてパワフルな米国選手に立ち向かうさまは、ベンチャーが大企業と戦う様にも、日本企業が世界市場に挑む姿にも見えて、その意味でもなでしこの勝利は嬉しい。


僕なりの勝因は、第一になでしこたちが米国やドイツでプレーしていて、大きな相手との勝負にも慣れていて臆するところがなかったこと。小さな企業と言えど日ごろ世界レベルで勝負してないと、いきなり世界市場での勝利しても勝利は覚束無い・・・ということか。

第二には勝利への強い意思があった。すでに世界No1で二度優勝している米国よりも、伸び盛りのなでしこの方がピュアに勝利への願いを持っていたのでないか。まさに「坂之上の雲」の強みかも知れない。ベンチャーも「坂の先」ばかり考えてないで、まずはひたすらに坂の上の「雲」を見て登り続けることも必要かも知れない。


今日は間違いなく寝不足&夏バテだ。。。

時間的にはいつもより1時間早起きしただけだけど、それ以上に興奮が夏バテを呼びそう。



ここに来てベンチャー市場が活況の兆しを呈している。

DMPは、無事IPOして未だに公募価格を上回る価格で推移している。
SEMITECは、初値は心配させたが、その後、連騰で今でもいい株価だ。

同じく震災直撃で延期になったラオクリア創薬も公開する。ベンチャーとは言え、100億円超の大型の資金調達であり、上手くやって欲しいものだ。

IT業界で言えば、ある意味、大きな期待を背負ってモルフォも公開する。
想定価格ベースでの時価総額は、期待していた自分的にはビックリするくらいの安値だが、是非、主幹事の評価を大きく覆すようなIPOになって欲しいものだ。

変わり種では、メビオファームが東証AIMの第一号として上場する。
日本の証券界社が引き受けてになるのを毛嫌いして、なかなか実稼働しなかった東証AIMであるが、是非これを契機に順調に動いて欲しいものだ。

また、最近、耳目を集める海外IPOでは、パワーテックが韓国コスダックに上場する。
評判通りに海外IPO市場が資金調達とコストバランスで、本当に優れた市場なのかどうか吟味したいところ。

いずれにせよベンチャーのIPO市場が再び活性化しつつあるように思う。
東証/大証の尽力もあって、新興市場の改革で、信頼性向上とハードルの調整がなされたことも一因だろう。一番の原動力はファンドの期限を気にするVCの圧力なのかも知れないが。
しかし、実際に優良な大小ベンチャーがまだまだIPOを控えていて、銘柄的にも今年後半は楽しみだ。

そしてこの日経平均が1万円台を回復した追い風に乗って、今月公開する企業群が良い株価をつけ、機関投資家たちが再び戻ってくれば、質量ともに、本当の活性化になるーーかも知れない。



小田島先生の日経新聞:私の履歴書の連載が始まった。
大学の教養学部の英語の授業で幸運にも小田島先生のクラスになり、直に教えを受けた。
受験英語と、演劇の英語というか、プロの英語の違いを知って驚愕を受けたのを覚えている。

例えば、
This is a PEN.
は、「これは”ペン”です。」と訳すのが受験英語だが、
「ペン!」にもなれば、
「ペン!これが!」
にもなるように。

他にも教養のクラスでも文化人類学とか法哲学入門とかは、面白いというか、田舎から出てきて受験しか知らなかったノンボリに強烈な刺激を与えた。

一方で、教養とは言え、難しすぎるものも多くてついて行けなかった。
数学や図学などはその一つで、数学は受験数学では優秀な部類だったし、図学は将来設計を志していたので好きな分野だったが、難解すぎた。
今でも覚えているが、図学は夏休みの課題が、金閣寺の三面図から斜め上から見たパースを描くと言うものだった。屋根の反りとか複雑な欄干とかあって、そのまま模写するだけでも難しいのに。。。
あと、覚えているのが、ドイツ語だ。初めて4月にアーベーツエーを学んで、9月の一学期のテストでは普通の文学書の和訳だった。その頃は記憶力が良かったので何とか丸暗記でクリアできたが。

しかし、クラスには大秀才がいて、難解な数学演習の問題も簡単に解いてしまう人や、1年の秋にはドイツ語で文章を書いていたりする人がいた。
すごいなあ~というか、かなわないなあ~と絶望的になって、軽く諦めてしまったが。
今思えば、キャッチアップすべく頑張れば良かったと後悔しきりだ。

まあ、それはそれとして。。。

小田島先生のテキストは、『欲望というなの電車』だったと思う。
男と女のドロドロした情欲の世界など男子校の高校ではとても教材にはなりえないものだったし。
その影響でしばらく演劇に凝ることになる。
当時は劇団四季は高かったが、今のようなロングランでなく単発で新機軸のものの講演していたし、野田英樹の夢の遊民社が下北でやっていたりした。駒場小劇場でも結構名のある劇団がやっていた。

そんな新しい世界のドアをあける=工学まっしぐらの道からドロップアウトする方向への契機の一つにもなったのが、小田島先生の講義だったかも知れない。

すっかりご無沙汰。

アメブロ ・・・使いづらくって、オジサンには。


せっかくだからちょっとだけ書くと。。。。


この数ヶ月。

震災と原発問題に終始しているけど、その中で、確実に国の債務は増えているし、国民の不安もさらに輪をかけて増幅している。

それでいいんだろうか?政治家の皆さんも、官僚の皆さんも。


生活保護受給者が200万人を突破したことがニュースになっている。

働ける年代の受給者の急増がその要因らしい。

当たり前だ。

誰でも働く気さえあれば給与が貰える優しい社会ではなくなっている。

派遣と言えば聞こえはよいが、日雇いしか口はなくて、その報酬は生活保護の保護費を下回るレベルだ。

特に40代、50代ともなれば、正社員として雇用される可能性は限りなく低い。

かと言ってその歳でもう一度、職業訓練を受けると言っても、IT/プログラマはできないし、今更、旋盤工を目指しても口は無いし。。。


40代を過ぎても働く気があれば、最低限以上の生活ができる報酬が得られる社会がなぜできないんだろう?



超・久しぶりの感じ。

いろいろあった。まだ進行中ながら。

残念なことに進行中のことは書けない。


公のことで言えば、

突然、福田さんが首相の座を放り投げた。

相撲界では北の湖さんが、理事長の座を辞任した。

対照的な辞任劇でもあったが、北の湖はまあ潮時であり限界だったと思う。

福田さんは、安倍さんに続き、無責任辞任。

会社の経営者もああも簡単に辞められたらいいと思う。

経営者が突然辞任したら、後継者の問題、ひいては社員の生活も問題だし、

自分も債務保証が残るから、簡単には辞められない。


それになんと言っても、政治空白がかれこれ一月あっても、官僚が支えるから全く支障がないこと。

だったら石原氏が言うように、議員定数を減らすべきだと思う。民間ならリストラでそうなる。

国鉄とか郵政とかの民営化には熱心だったが、本当のリストラはできさそう。


あと気になるのが、誰も、自民党の5候補も、民主党も、ベンチャー振興を口にしないこと。

何かタブー視されているのかも知れないが、イノベーションなくして日本の未来はないし、その担い手として、ベンチャー/アントレプレナーは無視できない存在のはず。

今の日本は、人口動態的に少子高齢化の危険は認識されてるが、産業的にも少子高齢化だが、その危険は誰も議論しようとしない。今、財産がある70歳と、現時点では能力しかない20歳を比べて、20歳を悪戯に過酷に処遇すれば、彼らの中でもエースはすぐに他国に転じてしまう。二線級以下が登板チャンスを狙っているにすぎない。

それにポーターの言うように、金のなる木ばかりの産業構造では、次は負け犬領域へ移行するばかりというのは、すでに自明の理。いかに日本として「問題児」を作っていくかが重要なときのはず。


産業界の少子高齢化対策として、問題児の育成を!



あし


シリコンバレーで投資をしている、しかも年齢も同じくらいで、大学も同じ、おそらく大学生時代、ちょっとは知っていただろう人と会って話を聞いた。


彼らはシリコンバレーのトップティアと呼ばれるクライナーとかセコイアとも、きっとファンドの規模もステータスもウン十分の一だろうに、クローズドなシンジケートの中に入っている。


一般論では、"信じられない"


シリコンバレーで有名な日本人投資家だって、パロアルト・ユニアベに事務所を置いている日本のVCだって、トップティアとは組めない・・・という話はよく聞く、せいぜいセカンドティアだって。


でも、よく聞くと、子供の小学校の運動会でたまたま知り合ったとかからの仲だったりする。

そして、腰を落ち着けない、2~3年で帰ってしまうサラリーマンは信用されなくって、ネイティブな子供友達くらいを持つ家庭でないとダメだと言うこと。それも納得。


彼らは日本人チームでシリコンバレーでVCをしている。普通、シリコンバレーの日本人投資家と言うとセカンドティアかもしくはその下ランクのVCのせいぜいパートナーだったりする。


いろんな意味でその気概に感服。

シリコンバレーのIPO環境も日本に輪をかけて悲惨だと言うが、目先の逆境も上手く乗り越えて、是非、成功していただきたい。


クラッカー