オリンパスでは、巨額の資金流用-飛ばしの損失穴埋めに巨額の仲介手数料が、外国人元社長の告発に端を発して判明。
大王製紙は、創業一族のお坊ちゃまが、数十億円を私的流用。内部告発で判明。
まあ、よくもこんなことが今までまかり通っていたものだとあきれ返るが、困るのは、こうした大企業で発生した不祥事、ガバナンスの欠陥から、大企業のガバナンスをどうするかは再考すべきだが、ベンチャー企業のガバナンスまで一緒になってガバナンス強化しろ!となることだ。
そもそもこの両社では、監査法人の監査も、J-SOXもやり、また監査役制度も運用してきたが、それでも全く喰い止めることができなかったわけだ。きっとそれら全てを強化、厳格運用すべし・・・となるだろうが、結局、コンピュータウィルスと同じで、どんなに精巧なプロテクトをしても、悪意をもったプロがアタックしたら守り切れない。
ただでさえ、100人くらいのベンチャーであれば、すべてのことは見渡せば足りる。
そのための仕組みとして、外部監査、内部監査、J-SOX、監査役監査、品質管理活動などなどいくつも重複して実施するのは、コスト高に他ならない。明確な目的意識なく、そういった類のものをやらされている意識の下で実施するとややすると形式的なものになって、全く機能しないものとなる。
もろもろの監査については、企業規模に合わせて自由な制度設計があっていいと思う。
特に新興市場に上場するレベルのベンチャーに、監査、監査と迫るのは、審査をする立場としては、すべてが完璧に運用・機能していることを確認せざるを得ないかもしれないが、まさに過剰かつ形式的な管理コストは、企業価値を逸し、それ以上にアントレプレナーの意欲を奪う。
こういう風潮の中で、ガバナンス緩和を打ち出すのは勇気を必要とすることだろうが、是非、政治家とかお役人、有識者等々の制度を作る側の方には、企業規模に応じた、実効性に応じたガバナンスを検討してもらいたい。