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Walking in the Air

ファンタジーPBCサイト「鉱山都市フランネール」の登録PC、ニコルの活動日記です。



PBCをご存知でない方、当PCに興味のない方は閲覧をご遠慮下さい。

神様なんていないと、そう断言する人がいる。いないものに祈る必要はないと。


祈っても願いは叶わない、だから祈らないという人もいる。


―――けれど、あたしはそうは思わない。


祈ることこそが叶えることの第一歩。祈る前から叶わないと決め付けては、何も始まらない。



夜の教会でお祈りを終えた時、やってきたのはパティという女の子。

配達屋をやってるらしく、神父様に荷物を届けにやって来たのだという。


彼女の言葉がちょっと気になって、色々話をしたら彼女は何と人狼だった。

吸血鬼や悪魔と並ぶ、強大な魔物―――人狼。

俊敏さと膂力を兼ね備え、満月の夜に最大の力を発揮する半不死の生物。


思わず身構えたけれど、彼女はそんな凶暴さとは無縁の女の子だった。

それどころか、みんなで笑って暮らせるといいと。例え悪い人狼でも分かり合いたいと……

そんな彼女の主張はあたしも思っていることで、反論の余地もなかった。


今まで神様にお祈りをしたことがないという彼女にお祈りの仕方を教えて、一緒にやってみた。

初めてのお祈りはぎこちないものだったけれど、繰り返しお祈りを続ければきっと上手になるはず。


ムカつく魔物や吸血鬼、人狼もたくさんいるけれど。

彼女のように平和を願う、優しい子も確実にいるんだ。


いつか、彼女の願う世の中が訪れますように―――あたしも一生懸命祈ろう。



遭遇者:パティ

頭がぼうっとする。


身体がふわふわして、まるで自分のものでないように感じる。


全てが夢だったようにさえ感じて、現実味がない。


―――でも。唇の感触は、確かに残ってる。





今日の日記はお休み。

あたしの胸の中だけに仕舞っておこう。





遭遇者:ガルーダ

前にも言ったけれど、あたしは人の困るところを見て喜ぶヤツが大キライ。


自分だけ良ければいいとか、他人なんてどうでもいいって思ってるヤツも大キライ。


人の揚げ足を取って喜ぶヤツも大キライ。


―――ゴキブリとタコの次に。



皇帝との一件以来、あたしは吸血鬼を殊更よく観察することにした。

世の中にはいい吸血鬼もいる。そういった人々と出来れば分かり合えればと思って。


もしかしたらあたしの知らない吸血鬼の歴史か何かが見つかるかもと、図書館へ行く。

何冊か適当な文献を漁っている途中で、どうしてもあたしの背では届かない所にある本が欲しくなって。

背伸びしたりジャンプしたりとあたしが四苦八苦していると、人がやってきて代わりに取ってくれた。


本を取ってくれた人の名前はノエリー。吸血鬼。

人を見下したような、バカにしたような笑みを終始浮かべている彼。今までも何人かそんなタイプの

人には会ってきたから、彼もそういうシニカルな性格なんだろうと割り切って接してみた。


あたしに本を取ってくれたのは、きっと純粋な親切心なのだろうと思って―――表向きは友好的に。

けれど、そんなあたしの薄っぺらい思考を嘲笑うかのように、彼の表情は一貫して薄ら笑いのままだった。


―――結論。


彼は敵。



遭遇者:ノエリー

あたしの田舎はとても信心深い、それから迷信深いところだった。


そんな村には、当然たくさんのおまじないがあって。あたしも子供の頃は色々なものを知っていた。


大半は取るに足らない……信憑性も根も葉もない、ただの迷信だったけれど。


それでも、信じることが大切なんだ。―――信じる心が、力になる。



おイモが美味しい季節になった。

おイモだけじゃなくて、栗や梨。葡萄に茸、お魚も脂が乗っておいしい。

誘惑が多くて体重を保つのが大変だけれど、あたしにとって秋は一番好きな季節だ。

―――勿論食べ物だけじゃなくて、涼しい風や紅葉の景色も好きな理由なんだけど……ね?


まあでも、やっぱり手っ取り早く秋を感じるには食べ物を頬張るのが一番、と思って焼き芋を

袋いっぱい買った。

それをゴンドラ乗り場近くのベンチに座って味わっていると、変わった女の子がこちらを見ている。

見慣れない、エキゾチックな衣装に身を包んでいたのはエステラ。

なんでも、エステルっていう名前のお使い猫を探しているらしい。


お使い猫、なんて初めて聞いた。その名の通りお使いする猫で、使い魔とは違うらしい。

人の言葉も分かるらしいその猫に会ったら、伝言をお願いしたいって頼まれた。

うーん……この世には変わったモノがいるもんよね。


エステラと一緒に座っておイモを食べながら、ちょっとお話しした。

彼女は占い師見習いらしい。

運勢とかは占えるの?って訊いたら、ちょっと難しいらしい。

でも、ひとつおまじないをしてもらった。


―――“一番良い笑顔で笑えますように”―――


おまじないの効果が現れるよう、がんばらなきゃね。



遭遇者:エステラ

生きるという事は、勉強することだと思う。


善かった事も、悪かった事も、日常にある全てのことは経験として蓄積される。勉強になる。


忘れないようにしよう。教えられたことの全て。学んだことの全て。


―――例え、それをあたしに齎したのが吸血鬼だったとしても。



卑賤の皇帝ランプルール。

彼を見かけて、その後を追った。彼に預けたままだった剣を奪い返し、そして彼の命を奪う為に。

体調は万全。きっと今回は狩れるはず。

彼の紡ぐ言葉に耳を塞ぎ、彼への憎悪と一族の義務だけを意識して、あたしは彼に挑んだ。


けれど。

彼には、最初からあたしと闘う気などなかったんだ。

彼は未熟なあたしに、吸血鬼と闘う為の心構えを訓えてくれた。

理想論じゃ片付けられない、人と吸血鬼のどうしようもない溝の存在を訓えてくれた。

その訓えが、彼の中にあるどんな意図の許で行われたのかは……あたしには分からなかったけど。


彼は、子供の笑顔を見て人が殺せなくなったと言った。

彼は、愛した者を狩った人の側には立てないと言った。


それを聞いたら、あたしも彼が殺せなくなった。

彼の片腕を砕き、その首に剣を突きたてたけれど。


その晩のあたしの闘いは、それで終わった。いや―――今後もあたしはきっと、彼の心臓や首筋に
剣を突きたてることはないだろう。


でも、それで縁が切れるわけじゃない。

これからも、あたしは彼を追いかける。


―――彼が。皇帝が、あたしに追ってこいと言ったから。



遭遇者:ランプルール