神様なんていないと、そう断言する人がいる。いないものに祈る必要はないと。
祈っても願いは叶わない、だから祈らないという人もいる。
―――けれど、あたしはそうは思わない。
祈ることこそが叶えることの第一歩。祈る前から叶わないと決め付けては、何も始まらない。
夜の教会でお祈りを終えた時、やってきたのはパティという女の子。
配達屋をやってるらしく、神父様に荷物を届けにやって来たのだという。
彼女の言葉がちょっと気になって、色々話をしたら彼女は何と人狼だった。
吸血鬼や悪魔と並ぶ、強大な魔物―――人狼。
俊敏さと膂力を兼ね備え、満月の夜に最大の力を発揮する半不死の生物。
思わず身構えたけれど、彼女はそんな凶暴さとは無縁の女の子だった。
それどころか、みんなで笑って暮らせるといいと。例え悪い人狼でも分かり合いたいと……
そんな彼女の主張はあたしも思っていることで、反論の余地もなかった。
今まで神様にお祈りをしたことがないという彼女にお祈りの仕方を教えて、一緒にやってみた。
初めてのお祈りはぎこちないものだったけれど、繰り返しお祈りを続ければきっと上手になるはず。
ムカつく魔物や吸血鬼、人狼もたくさんいるけれど。
彼女のように平和を願う、優しい子も確実にいるんだ。
いつか、彼女の願う世の中が訪れますように―――あたしも一生懸命祈ろう。
遭遇者:パティ