生きるという事は、勉強することだと思う。
善かった事も、悪かった事も、日常にある全てのことは経験として蓄積される。勉強になる。
忘れないようにしよう。教えられたことの全て。学んだことの全て。
―――例え、それをあたしに齎したのが吸血鬼だったとしても。
卑賤の皇帝ランプルール。
彼を見かけて、その後を追った。彼に預けたままだった剣を奪い返し、そして彼の命を奪う為に。
体調は万全。きっと今回は狩れるはず。
彼の紡ぐ言葉に耳を塞ぎ、彼への憎悪と一族の義務だけを意識して、あたしは彼に挑んだ。
けれど。
彼には、最初からあたしと闘う気などなかったんだ。
彼は未熟なあたしに、吸血鬼と闘う為の心構えを訓えてくれた。
理想論じゃ片付けられない、人と吸血鬼のどうしようもない溝の存在を訓えてくれた。
その訓えが、彼の中にあるどんな意図の許で行われたのかは……あたしには分からなかったけど。
彼は、子供の笑顔を見て人が殺せなくなったと言った。
彼は、愛した者を狩った人の側には立てないと言った。
それを聞いたら、あたしも彼が殺せなくなった。
彼の片腕を砕き、その首に剣を突きたてたけれど。
その晩のあたしの闘いは、それで終わった。いや―――今後もあたしはきっと、彼の心臓や首筋に
剣を突きたてることはないだろう。
でも、それで縁が切れるわけじゃない。
これからも、あたしは彼を追いかける。
―――彼が。皇帝が、あたしに追ってこいと言ったから。
遭遇者:ランプルール