悔しい。
悔しい。
悔しい。
―――悔しい。
噂のサビクに会った。
ガルーダが宿敵と位置付ける吸血鬼。
今思い出しても寒気がする。彼の皮肉げな笑み、嘲笑。
あの時裏路地で視界に入った彼がサビクだと分かっていたら、最初から接触しなかったのに―――……
……いや。分かっていても、きっとあたしは接触しただろう。
あのガルーダが特別視する、サビク・アル・ディーバ。それがどんな人物なのか見てみたいと思ったろう。
あたしはとんでもないバカだ。
ガルーダが助けに来てくれた時の、サビクの狂った笑い声が耳から離れない。
初めて見る、ガルーダのあんな真剣な顔も網膜に焼き付いて消えない。
サビクとガルーダとの間には、あたしが考えるより遥かに深い因縁があるんだろうと思う。
二人の間に割り込む権利も力も、あたしにはあるはずがない。
それなら……せめて、二人の邪魔にならないようにするのがあたしに出来る唯一のことだ。
―――そう思っていたのに。
結果は最悪だった。あたしには二人の邪魔にならないという、最低限のことさえ出来なかった。
サビクに人質にされて、ガルーダを躊躇させて。
これじゃあまるで、あたしはまるっきりのお荷物だ。
厳しい訓練を積んできたつもりだったのに。ハンターとしての覚悟をつけたつもりだったのに。
あたしがしたのは、みっともなく泣き喚いて醜態を晒し、身を竦ませていたことくらいだ。
悔しい。
あたしはただ、護られるだけの人間にはなりたくない。
強くなりたい。
―――どんなことをしてでも。
遭遇者:サビク/ガルーダ