20090126 日本経済新聞 朝刊

 カブドットコム証券の臼田琢美常務執行役 ミニ日経平均先物は個別株投資と異なり、銘柄選別や企業分析が必要ではない。投資判断にまとまった時間を割くことが難しい個人には魅力的な商品といえる。
 差し入れた証拠金の6―7倍程度の資金が動かせるため、日経平均が100円動いただけでも十分に利益を出せる。個別株で短期売買をしていた個人は2006年ごろから先物へと流れてきている。
 ただ、損失も膨らみやすいため、ある程度資金に余裕を持たせておくべきだ。あらかじめ指定した損失が出た場合に反対売買で損失を確定させる「逆指し値」を活用することも好ましい。
ETFより高い流動性魅力
 インベストラストの福永博之代表 日経平均先物は上場投資信託(ETF)や個別株と比べて、流動性が高いことが魅力の1つだ。2006年のライブドアショック後の新興企業株のように買い手が付かないまま急落するリスクが低い。手数料も安く、短期間で利益を稼ぎ出したい投資家に向いている金融商品だ。
 もっとも、最近では相場全体の変動が極端に大きくなることもあり、1日のうちに証拠金の大半が吹き飛んでしまうことも起こりうる。ミニ日経平均先物であれば、1枚あたり10万円強の証拠金で取引可能で、一般的な主力株と比べて最低投資額は低い。初めのうちは少額で取引して、損益などの感覚を身につけるのがよいだろう。

----------------------------------------------

20090126 日本経済新聞 朝刊

 地域医療の確保と財政健全化の狭間で、地方自治体が苦渋の選択を迫られている。公立病院を残すかやめるか、組織や職員の身分はどうするか。患者や働く者には切実な問題だが自治体の財源は限られている。教育や子育て支援などを削る訳にもいかず、廃止や民営化の選択肢も排除はできない。
 二〇〇七年度末で資金不足が全国最大の百二十三億円に膨らんだ大阪市民病院。大阪市は三月の補正予算で七十億円超の追加補助金を検討中だ。資金不足比率が二〇%を超えると、四月以降は健全化計画の策定を迫られるなど制約が増すからだ。
 自治体は職員の待遇やメンツを気にして、抜本的な改革をしてこなかった。今や手をこまぬいていては銚子市立総合病院のように“突然死”してしまう。地域医療がどうあるべきかとの視点に立てば、職員が公務員ではなくなる独立行政法人化や運営を民間に委託する指定管理者制度の導入も避けられない。
 全国自治体病院協議会の辺見公雄会長は「市民の市民による市民のための病院でなければいけない」と説く。市民にとってどうしても必要なら、他の行政サービスを削ってでも病院に税金をつぎ込まなければならないが、市民の理解は得にくい。
 地域医療を守るため、総務省は〇九年度に財政支援を七百億円拡大する。救急医療を実施する病院への地方交付税を五割程度増額。産前産後の女性をケアする周産期医療や小児医療を手がける病院へも増やす。
 だが、一時しのぎの資金をつぎ込んでも、地域医療の前に立ちはだかる医師不足問題の解消にメドが立たなければ始まらない。専門医に偏りがちな日本で総合医を育成すべく始まった臨床研修制度が医師不足の原因としてやり玉に挙がる。ただ、医師不足に苦しむ当の自治体病院は制度の見直しに反対する。
 処方せんは容易には見つからないが、資金不足を一時的に解消できる病院特例債の発行が五十二団体に認められた。一息つく間に自治体は独法化などの抜本改革に取り組み、国も開業医に有利な診療報酬体系の見直しなどを進めることが求められる。   (編集委員 磯道真)

----------------------------------------------

20090126 日本経済新聞 朝刊

働き盛り、節約から我慢へ
 個人消費は不振だった年末商戦の後遺症が癒えず、年が明け厳しさが一段と増してきた。雇用や賃金の不安定さという景気要因だけでなく、生産年齢人口の減少という構造要因も向かい風だ。その逆風は今年さらに強まるのか。クレディセゾンの林野宏社長にクレジット産業からの視点で予想してもらった。
 ――百貨店売上高の惨状が象徴するように消費は萎縮しています。
今年前年割れも
 「個人消費に占めるクレジットカード取扱高の割合は約一二%で、米国の半分程度。その推移は階段を落ちていくような感じだ。当社の取扱高は二〇〇七年度が前年度比一二%増、〇八年度上期は七%増だったが、昨年十二月は横ばい。今年は前年割れもありうる」
 「読み取れるのは消費のサービス化だ。取扱高をモノ、サービス、海外での利用――に三区分して各比率をみると、昨年十一月はモノが六七・八%で前年同月比一・一ポイント低下したのに対し、サービスは二八・四%で一・七ポイント上がった。美容やエステティックが増えているうえに、公共料金や携帯電話料金の支払い手段としてカードの利用を広げた効果が出た」
 ――モノの売れ行きに明るい面は?
 「最終消費支出の長期的な経年変化分析でも、モノの不振ははっきりしている。〇六年度の支出項目を十年前と比較すると『衣服・靴類』は約四三%減、『家具・家庭用機器など』は約二六%減。これに対して『通信』は約七〇%増、『保健・医療』への支出は約三九%増えた。やはり洋服や家具は飽和状態にある。百貨店は化粧品など一部に好調な品目もあるが、伝統的に服や家具の品ぞろえで勝負してきたのだから不振は当然だ。そうしたなかでもデベロッパー型の大型商業施設、ユニクロなど一部の衣服専門店、それにホームセンターでのカード利用は増えている」
 ――世代別にみた動向はどうですか。
 「ざっくりいうと、若い世代は伸びているが三十―四十代の働き盛り世代は縮んでいる。五十代になるといくらか持ち直す。二十代はワードローブを満たすために洋服や靴を買いそろえ、三十歳をすぎると結婚や出産、教育や住宅ローンに費用がかさみ、自分の服どころではなくなる。三十代の消費は節約の域にとどまらず我慢しているという印象だ。買わないという意志を固めているといっていい。だが我慢にも限界がある。この世代の感性を刺激するヒット商品が生まれれば局面が変わるのではないか」
規制でブレーキ
 「もう一つの特徴は、小口融資であるキャッシングの利用が大きく減る一方、買い物に際して一回の支払額を一定に保つリボルビング払いの利用が増えている点だ。分割払いの拡大には一定の消費下支え効果がある」
 ――政府は無収入などの専業主婦や学生が持つカードの利用限度枠を制限する方針です。
 「家計をあずかるのは大抵は主婦。食品や家庭用品だけでなく日ごろの買い物について買う買わないの意思決定権を握っているのに、なぜカード利用を制限しようとするのか理解できない。建築基準法の見直し、消費者金融の上限金利規制、労働者派遣法の改正案などここ数年は規制改革の巻き戻しが続いている。カードの利用規制もその一つといっていい。公が個人のカード利用を制限すれば消費にブレーキがかかるのはあたりまえだ」
 「個人消費は円高で海外に流れ出している。国を開いて多くの外国人が日本で買い物や旅行を楽しむ仕組みづくりを停滞させてはならない」
(聞き手は
編集委員 大林尚)
 りんの・ひろし 西武百貨店では宇都宮店次長。経済同友会副代表幹事。66歳。

----------------------------------------------

20090126 日本経済新聞 朝刊

省エネ商品製造も対象に
 政府は企業の省エネルギー投資の全額を初年度に費用として一括計上し、税負担を軽くできる新たな「即時全額償却制度」を今夏にも導入する。省エネ投資が工場などのエネルギー効率を年一%以上高めることなどが条件。省エネ性能の高い液晶テレビなどを作る設備にも即時償却を認める。景気後退で省エネ事業の見直しを迫られている企業の投資意欲を下支えする。日本企業のエネルギー効率を一段と高め、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する効果も期待している。(減価償却は3面「きょうのことば」参照)
 即時償却は、工場の機械などについて、取得額の全額を初年度に費用(損金)として課税所得から差し引く制度。投資する年の税負担が軽くなり、企業が資金を出しやすくなる。例えば、通常十年で減価償却する設備投資百億円について即時償却が認められた場合、その企業は初年度に法人税が四十億円軽くなる。通常の償却の場合は軽減幅は十億円にとどまる。
 二〇〇八年十一月の機械受注によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は約二十一年ぶりの低水準に落ち込んだ。停滞する投資を増やすため、与党は〇九年度税制改正で省エネ投資の促進税制を導入する方針を示し、政府が詳細を詰めていた。通常国会に関連法案を提出し、今夏にも運用を始める考えで、年間を通じた減税規模は四百三十億円程度になる見込みだ。
 政府は即時償却を認める条件として、対象の省エネ投資により工場などのエネルギー効率(資源生産性)を一%以上向上させることを求める。エネルギー効率は、企業が生み出した付加価値をエネルギー消費量で割って求める。
 ただ大企業の場合、全体のエネルギー効率を一%上げるのは容易ではないため基準を緩和する。対象となる設備のエネルギー効率を原油換算で五百キロリットル程度引き上げた場合も対象とする方向で検討している。政府は計画が守られているかを定期的にチェックし、守られていない場合は認定取り消しもありうる。
 企業はこのほか、自社全体のエネルギー効率を三年間で一定以上引き上げる計画書を提出し、所管大臣に認定されることも必要となる。効率を改善する目安はなお検討中だが、数%程度になる可能性が高い。
 即時償却はすべての企業が対象。例えば鉄鋼メーカーがエネルギー効率の高い加熱炉を導入したり、複数の小売・製造業者が共同物流センターを造り生産性を上げたりする場合などに適用することを想定している。資金面の負担や収益の悪化で省エネ投資に消極的になっている企業の意欲を再び高めることを目指す。
 政府はこれとは別に、省エネ性能が国内流通品のうち上位二割に入っている液晶テレビやエアコン、冷蔵庫などを作っている企業が、それらを作るために投資をした場合も即時償却を認める。
 米オバマ政権を中心に主要国政府は地球環境対策と景気浮揚策の両立をめざす「グリーン・ニューディール政策」に動き出している。日本政府も環境省を軸に需要と雇用を創出する有望分野として環境ビジネスを支援する構想を進めており、税制上の優遇策も幅広く検討する見通し。今回の省エネ投資の即時償却制度はその先駆けとなる。

----------------------------------------------

20090126 日本経済新聞 夕刊

 損保ジャパンDIY生命保険が発表した「2008年冬のボーナスと家計の実態調査」によると、「定額給付金が支給されたらどのように使おうと思っているか」という質問に対し、33%が「預貯金」と答えた。続いて多かったのが「生活費の補てん」(25%)。政府が期待する消費の押し上げに直結しそうな使い道は、3位の「プチ贅沢(ぜいたく)」(15%)などとなった。
 この調査は全国の20―50代のサラリーマン世帯の主婦500人を対象に実施したもの。妻の年代別に見ると、20代では「預貯金」という回答が49%を占め、40代では「生活費の補てん」(38%)が最も多かった。

----------------------------------------------