20090127 日本経済新聞 朝刊

09年度予算攻防本格化
 二〇〇八年度第二次補正予算が二十七日にも成立すれば、通常国会の焦点は〇九年度予算案と関連法案の審議に移る。年度内成立を目指す政府・与党に対し、野党は消費税増税問題など「四点セット」で追及を強める構えだ。
 政府・与党は来年度税制改正関連法案の付則に「消費税を含む税制抜本改革を行うため、一一年度までに必要な法制上の措置を講じる」と明記する一方、「施行期日等を法制上定める」との文言を追加。自民党内の増税反対派に配慮して、景気次第で時期を先送りする余地も残した。
 野党は国会論戦で政府・与党の混乱ぶりを浮かび上がらせ「麻生太郎首相のリーダーシップがない」(民主党の鳩山由紀夫幹事長)との批判を強める考え。首相から一一年度からの税率上げへの意欲など踏み込んだ発言を引き出し「自民党内から再び造反の動きを浮上させる」(幹部)との期待もある。
 退職した国家公務員が公益法人などへの再就職を繰り返す「渡り」問題も火種。政府は渡りを許容する政令を撤回しない方針だが、与党にも「例外なく禁止すべきだ」(公明党の太田昭宏代表)との不満が強い。
 民主党は二十六日、「渡り」調査チームの初会合を開催。仙谷由人座長は「国民によく分かる具体例を持って追及する」と述べ、国会論戦で渡りの実態を政府に突きつける方針を強調した。
 雇用問題では政府・与党は非正規労働者が雇用保険に入りやすくなるよう加入条件を「一年以上の雇用見込み」から「半年以上」に緩和する方針だが、民主、社民、国民新の三党は「三十一日以上」と対象を広げる独自案を提出する構えだ。製造業派遣禁止の是非なども議論になりそうだ。
 道路特定財源の一般財源化についても民主党内には「政府案は事実上、道路に傾斜的に回せる余地を残している」(幹部)との批判が強い。民主党はガソリン税などの暫定税率も引き続き廃止を求める方針だ。

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20090127 日本経済新聞 夕刊

 みずほ銀行は今春、個人顧客向け会員制サービスの「みずほマイレージクラブ」を改定する。常務の三津間健(53)は世界的な金融危機の中で足場を固めることが重要と考えている。
 みずほ銀は銀行としては先陣をきって本格的なポイントサービスを導入した。住宅ローンの利用でたまったポイントを航空券にも換えられた。会員数は六百万人にも増えた。「先行したが、競争の激化を受け内容を拡充することにした」
 改定ではみずほ銀のATM時間外手数料やコンビニATM手数料などが無料になる基準を緩めた。従来は月末の預金、投資信託の合計残高が五十万円以上が対象だったが、十万円以上にした。
 みずほ銀のATMなどからのみずほ本支店あて振込手数料を無料にする。また預金、投信などの残高が五十万円以上の顧客には他行あての振込手数料を月三回無料にする。
 ポイントについては、カードについているクレジットカード(クレディセゾンが提供)利用に伴うポイントがたまる。ただ、住宅ローンなど銀行サービス利用に伴いたまるマイレージは廃止する。
 三津間は一九七八年、富士銀行入行。マルチメディア、サイバーバンク、電子マネーなど新しい銀行チャネルの開発を手がけてきた。みずほではコンサルティング業務部長として、投資信託の販売などを推し進めた。
 ただ、二〇〇七年四月に個人グループ担当の常務になると、ほどなく信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が浮上した。「投資商品の押し込み販売はすべきでない」と長期の顧客基盤づくりに乗り出した。
 重視しているのは「生涯収益」の考え方だ。高齢者は大切な顧客で力を入れるが、より長い取引ができる次の世代にどう支持してもらうかにも工夫を凝らそうとしている。
 マイレージクラブに関しては東日本旅客鉄道とも提携。〇八年十月からIC乗車券「Suica(スイカ)」とみずほマイレージクラブカードを一体化したカードを扱い始めた。「個人の日常決済に使えるサービスとして機能を強化していく」
 一方で学生顧客の獲得にも注力している。学生のクレジットカード保有比率は一、二割程度でしかない。そこで携帯各社と組んで携帯電話に販売時からモバイルバンキングの機能を組み込んだ。学生の段階でマイレージクラブに入ってもらい、その口座を就職後も給与振込の口座として利用してもらう戦略だ。
 「目先の収益は大切だ。しかし個人にメーンバンクとして使ってもらえば住宅ローン、教育ローン、退職金運用、相続と様々な局面でお付き合いいただける。マイレージクラブはそのきっかけで、花開くのは二十年、三十年後かもしれない」
 サブプライム問題では短期的な収益至上主義が銀行経営をゆがめた。欧米の銀行ほどひどくはなかったが、邦銀でも顧客との長期的な共存共栄が課題になっている。=敬称略
(編集委員 太田康夫)

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20090126 日本経済新聞 名古屋夕刊

 損保ジャパンDIY生命保険が発表した「2008年冬のボーナスと家計の実態調査」によると、「定額給付金が支給されたらどのように使おうと思っているか」という質問に対し、33%が「預貯金」と答えた。続いて多かったのが「生活費の補てん」(25%)。政府が期待する消費の押し上げに直結しそうな使い道は、3位の「プチ贅沢(ぜいたく)」(15%)などとなった。
 この調査は全国の20―50代のサラリーマン世帯の主婦500人を対象に実施したもの。妻の年代別に見ると、20代では「預貯金」という回答が49%を占め、40代では「生活費の補てん」(38%)が最も多かった。

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20090126 日経MJ(流通新聞)

 節約につながる商品を選んで買う――。二〇〇八年に登場した新製品を日本経済新聞社のPOS(販売時点情報管理)サービスのデータでランキングすると、割安感が際立つ第三のビールや徳用菓子が上位に名を連ねた。景気悪化で消費者の財布のひもが一段と固くなりそうな今年は、値ごろ感をより効果的に演出できる商品が売り場で存在感を増しそうだ。
酒類 アサヒ「クリアアサヒ」 試供品、夏以降も
 主原料に麦芽を使わない「第三のビール」。ビールや発泡酒より酒税が低く、店頭価格で割安感を出しやすい。消費者の節約志向を映し、第三のビールが十位以内に八品目が登場した。ビール系飲料の販売が低迷するなか、第三のビールは〇八年の出荷数量が発泡酒を抜くなど気を吐いた。
 新商品間の競争が激しい同分野で首位だったのがアサヒビール「クリアアサヒ 350ml×6缶」。副原料に糖類を使わず、代わりにスターチなどを使って後味に残る液糖の甘みをなくした。最需要期を過ぎた夏以降も積極的にサンプル缶を配布。他社製品の販売金額は夏場のピーク時から三―四割落ちたが、クリアアサヒは減少幅を一八%にとどめた。
 昨年五月下旬に風味を刷新して販売量の拡大につなげたのが、サントリーの「金麦 350ml×6缶」(二位)。六月の販売金額は前月の一・四倍。仕込みをする際の温度や時間を見直し、麦のうまみ成分をより多く引き出した。他の大手が四月までにビール系飲料の値上げに踏み切ったのに対し、同社は缶商品の値上げを九月に先送りしてシェア拡大につなげるなど価格戦略も奏功した。
 三位はサッポロビールの「ドラフトワン 350ml×6缶」だった。昨年一月に商品を刷新。発酵温度を高めにして雑味成分の分離を促し、すっきりした味わいを強調した。ただ他社が最需要期に照準を合わせて販売を強化しドラフトワンは年後半にかけて失速した。
飲料 コカ・コーラ「アクエリアス」 五輪・猛暑が追い風
 昨年と同様、十位以内に炭酸飲料が四品目登場した。各社はテレビCMなどを通じて商品イメージの向上に努めたり、日本コカ・コーラの「ファンタ ふるふるシェイカー」のように一風変わった商品を出すなどで需要を刺激している。
 首位のコカ・コーラ「アクエリアス PET 2l×6本」は八月に開催された北京五輪の日本選手団公式スポーツ飲料だ。テレビCMや販促用ポスターに男子競泳の北島康介選手を起用して、七百人を招いた五輪観戦ツアーも実施した。猛暑も拡販には追い風となった。
 二位はサントリー「ペプシネックス PET 500ml」。カロリーゼロの炭酸飲料だ。テレビCMのイメージキャラクターに岡田准一さんらを起用し、若者の支持拡大を目指した。
家庭用品 花王「アタック」 機能改善、支持つなぐ
 〇八年は衣類用洗剤やティッシュなどで納入価格引き上げや容量減による実質値上げが相次いだが、上位には機能を改善するなどで消費者の理解を得た商品が並んだ。
 首位の花王「アタック 1kg」は昨年六月、価格を据え置いたまま内容量を一・一キログラムから一キログラムに減量した。ただ酵素を増やして洗浄力を改善したり、粉を一段と水に溶けやすくすることなどで、消費者の支持をつなぎとめた。
 二位「トイレクイックル ジャンボパック つめかえ用 20枚」も内容量を減らしながら、シートを厚くして破れにくく改善。四位の旭化成ホームプロダクツの「サランラップ 22cm×50m」はラップをつまみやすいよう容器のデザインを改良した。
 高付加価値商品のつめ替え用も人気だ。花王「アタックバイオジェル つめかえ用 900g」(三位)は節水型洗濯機でも溶けやすく、洗浄力が高いのが特徴だ。資生堂「ツバキ シャンプー つめかえ用 400ml」(九位)はツバキから抽出した補修成分で髪をつややかに仕上げることができる。
その他食品 明治乳業「ブルガリアヨーグルト」 販促、ひと工夫
 乳製品が上位をほぼ独占した。十位以内に入った商品のうち、ヨーグルトと牛乳、乳飲料が三品目ずつあった。すべて昨春に値上げを実施している。
 首位は明治乳業の「ブルガリアヨーグルト LB81 500g」。昨年四月に希望小売価格を十円引き上げて二百六十円にした。ヨーグルト販売が回復傾向にあるなか、果物を混ぜたりカレーの隠し味に使うといった食べ方をスーパーなどの売り場で提案。拡販に努めた。
 味の素冷凍食品の「ギョーザ 12個 252g」も九位に食い込んだ。中国製冷凍ギョーザによる中毒事件などの影響で消費者の食品に対する安全・安心志向が高まるなか、包装に同社の指定農場で生産した野菜や肉類を使用していることを明記する取り組みなどが評価され、支持につながったようだ。
菓子 ロッテ「チョコパイパーティーパック」 量が減っても徳用は大モテ
 内容量が減っても、徳用サイズの菓子は人気だ。首位のロッテ「チョコパイ パーティーパック 9個」は昨年八月に一つ減量。三位の不二家「カントリーマアム バニラ&ココア 24枚」も昨年七月に四枚減らしたが、「腹持ちの良いビスケットを軽食がわりにする消費者が増えた」(不二家)ことが追い風となった。
 チョコレート菓子は定番品が上位に入るなか、チロルチョコの「チロルチョコ きなこもち 9個」が七位に。もちもちした食感のグミをきなこ味のチョコで包んだ。
 【ランキングの見方と調査の方法】
 データは日経POS情報サービスによる。調査対象は全国四十五チェーン(イオン、イズミ、イズミヤ、小田急商事、関西スーパーマーケット、コノミヤ、サミット、ダイエー、大丸ピーコック、東武ストア、長崎屋、ニコニコドー、フジ、マックスバリュ、マルエツ、みやぎ生協、ラルズなど)の二百四十八店。
 首都圏、近畿圏に二〇〇八年一月一日から十二月三十一日までに登場した商品が対象。リニューアル(改良)品でも、JANコード(日本の統一商品コード)が変わった場合は対象となる。ただし二チェーン以上の店舗で販売実績のない商品は対象から外した。
 ランキングは新製品が発売されてから十二月末までの期間に、それぞれ来店客千人当たりどれだけ売れたか(レジを千人の客が通過した時、その商品が売れた金額)で順位をつけた。
 登場月は、日経POSデータ上でその商品が初登場した月。平均単価は特売も含めた全調査店舗での平均価格を示す。
 食品は生鮮品、米穀類、総菜類、調理済みパンをランキング対象から外した。家庭用品はふろ・トイレ用消耗品、洗剤、身だしなみ用品、台所用消耗品、ペットフード、基礎・頭髪化粧品を対象とした。特定チェーン向けのプライベートブランド品、期間限定で以前発売した商品の再投入、既存品のセット品・増量品は対象外。
 【注記】
 菓子二位のネスレコンフェクショナリー「キットカット ミニ 15枚」は、九位の内容量を変えて発売した。その他食品は日本ミルクコミュニティ「メグミルク牛乳 1000ml」(三位)が価格改定に伴いJANコードだけを変更した。明治乳業「おいしい牛乳 1000ml」(七位)は旭川工場で製造した商品。

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20090126 日経産業新聞

 景気後退による自動車需要減少の影で、国内二輪車販売が危機的な水準に陥っている。二〇〇八年の日本メーカーの国内出荷台数は前年比二三・七%減り、〇九年にはついに五十万台を割り込む見通しだ。「生活の足」としての意味合いが薄れ、このまま衰退への道を歩むのか。成熟した文化として根付くのか。構造転換の岐路に立つ国内二輪車の姿を追った。
最盛期の6分の1
 「バイクの販売にリーマンショックも世界的な不況も関係ない。ただ売れない」。ホンダ発祥の地で「二輪の街」とも言われる浜松市のディーラーからはこんな声が聞こえてくる。昨年の二輪車出荷台数は五十二万二千三百十五台。最盛期だった一九八二年の六分の一以下まで落ち込んだ。日本自動車工業会による〇九年の需要予測も四十九万八千台で、回復の兆しは見えない。
 「排気量五〇ccが生き残るのは無理かもしれない」――。ホンダの二輪事業本部長、大山龍寛常務の表情は晴れない。
 俗に「原チャリ」とも言われる排気量五〇cc以下の原付き一種は税制や免許制度などで優遇され、しかも低価格。消費者にとって最も身近なはずの二輪車だ。ところが、実際には原付き一種の〇八年の国内出荷台数は最盛期だった一九八二年の十分の一まで減った。
 東京都内の二輪車ディーラーは「もはや生活の足ではなくなってしまっている」と見る。かつては主婦や学生の必需品だった五〇ccスクーターも今ではその需要を都市部・地方で軽自動車や自転車に奪われてしまっているためだ。
 市場縮小はメーカーの首を絞める。ただでさえ難しい小型エンジンの開発、排ガス規制の強化、販売減による固定費の増加――。かさむコスト負担は製品価格や新車開発に跳ね返り、値上げとモデル数の減少による需要後退という悪循環に陥ってしまった。日本固有の排気量区分である五〇ccクラスが「無くなる日」が刻一刻とせまる。
 焦点になるのが一〇〇―一二五ccクラスの免許区分。「五〇ccのように四輪車の普通免許でも運転できるようになれば」(ホンダの大山常務)と日本勢の期待は大きい。実際、〇四年の法改正によって四輪車免許で一二五ccまでが乗れるようになったスペインでは、縮小していた市場規模がそれまでの二倍に回復した経緯もある。
 日本メーカーにとっても一〇〇―一二五ccの排気量帯は東南アジアを中心に世界で数千万台を生産する、最量販クラス。「開発や生産面でのコスト削減効果は計り知れない」(ヤマハ発動機の梶川隆社長)。「バイク本来の楽しみを味わえ、中大型車に乗り換える足がかりにもなる」(ヤマハ発系ディーラー)との意味もある。
 一二五ccの需要が広がれば、中大型の二輪人口も増えるはず――。そこで日本メーカーに求められるのは中大型車市場のテコ入れだ。趣味製品として日本で着実に顧客層を広げてきた輸入車勢に対し、年々厳しくなる排ガス・騒音規制によって製品ラインアップがしぼんだ感は否めない。
若者魅了が必要
 「一緒に新しい市場をつくっていきたいのに……」ビー・エム・ダブリュー(東京・千代田)の二輪車部門ディレクター、ラルフ・ライナート氏は悩ましげに話す。本国のドイツで成功した大型スポーツバイク「GS」シリーズを日本でも普及させようともくろむも「競合する製品がない」(同)のが現状だ。「都会的な感覚の製品で若者を魅了する必要がある」と指摘する。
 趣味製品としての普及を図るには、消費者に二輪車の魅力を訴える努力も欠かせない。縮む日本勢を尻目に、〇八年まで二十四年連続で国内販売を伸ばしているハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)の福森豊樹社長は「まだ顧客には楽しさが伝わりきっていない」とさえ言う。
 「スーパーカスタマー制度」。HDJは昨年、こんな社内制度を設けた。ハーレー車の中心価格帯は百万―二百万円ほどと高額で、HDJ社員でも手が出ないケースがある。このため、新制度では社員の購入時に奨励金を払うが、利用した人は必ず購入前後の手続きやディーラーとのやり取りを詳細にリポートにまとめて会社に報告しなくてはならない。
 「大事なのは顧客の目線をさらに超えること、だからスーパー(超)カスタマー(顧客)」(福森社長)。消費者の立場を肌で感じ取り、一歩進んだ製品やサービスを追求しようという考えだ。「顧客・ディーラーと一体とならなくては魅力は伝わらない」と次なる施策を着々と練る。
 この十年あまり、新興国のめざましい発展によって、世界で飛躍的な成長を遂げた日本メーカーだが、その間に国内市場は大きく後退した。需要構造の変化を変革の好機ととらえるか、衰退としておびえるか。世界をけん引する日本メーカーに決断が迫られる。

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