20090127 日本経済新聞 夕刊

 みずほ銀行は今春、個人顧客向け会員制サービスの「みずほマイレージクラブ」を改定する。常務の三津間健(53)は世界的な金融危機の中で足場を固めることが重要と考えている。
 みずほ銀は銀行としては先陣をきって本格的なポイントサービスを導入した。住宅ローンの利用でたまったポイントを航空券にも換えられた。会員数は六百万人にも増えた。「先行したが、競争の激化を受け内容を拡充することにした」
 改定ではみずほ銀のATM時間外手数料やコンビニATM手数料などが無料になる基準を緩めた。従来は月末の預金、投資信託の合計残高が五十万円以上が対象だったが、十万円以上にした。
 みずほ銀のATMなどからのみずほ本支店あて振込手数料を無料にする。また預金、投信などの残高が五十万円以上の顧客には他行あての振込手数料を月三回無料にする。
 ポイントについては、カードについているクレジットカード(クレディセゾンが提供)利用に伴うポイントがたまる。ただ、住宅ローンなど銀行サービス利用に伴いたまるマイレージは廃止する。
 三津間は一九七八年、富士銀行入行。マルチメディア、サイバーバンク、電子マネーなど新しい銀行チャネルの開発を手がけてきた。みずほではコンサルティング業務部長として、投資信託の販売などを推し進めた。
 ただ、二〇〇七年四月に個人グループ担当の常務になると、ほどなく信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が浮上した。「投資商品の押し込み販売はすべきでない」と長期の顧客基盤づくりに乗り出した。
 重視しているのは「生涯収益」の考え方だ。高齢者は大切な顧客で力を入れるが、より長い取引ができる次の世代にどう支持してもらうかにも工夫を凝らそうとしている。
 マイレージクラブに関しては東日本旅客鉄道とも提携。〇八年十月からIC乗車券「Suica(スイカ)」とみずほマイレージクラブカードを一体化したカードを扱い始めた。「個人の日常決済に使えるサービスとして機能を強化していく」
 一方で学生顧客の獲得にも注力している。学生のクレジットカード保有比率は一、二割程度でしかない。そこで携帯各社と組んで携帯電話に販売時からモバイルバンキングの機能を組み込んだ。学生の段階でマイレージクラブに入ってもらい、その口座を就職後も給与振込の口座として利用してもらう戦略だ。
 「目先の収益は大切だ。しかし個人にメーンバンクとして使ってもらえば住宅ローン、教育ローン、退職金運用、相続と様々な局面でお付き合いいただける。マイレージクラブはそのきっかけで、花開くのは二十年、三十年後かもしれない」
 サブプライム問題では短期的な収益至上主義が銀行経営をゆがめた。欧米の銀行ほどひどくはなかったが、邦銀でも顧客との長期的な共存共栄が課題になっている。=敬称略
(編集委員 太田康夫)

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