20090126 日経MJ(流通新聞)

 節約につながる商品を選んで買う――。二〇〇八年に登場した新製品を日本経済新聞社のPOS(販売時点情報管理)サービスのデータでランキングすると、割安感が際立つ第三のビールや徳用菓子が上位に名を連ねた。景気悪化で消費者の財布のひもが一段と固くなりそうな今年は、値ごろ感をより効果的に演出できる商品が売り場で存在感を増しそうだ。
酒類 アサヒ「クリアアサヒ」 試供品、夏以降も
 主原料に麦芽を使わない「第三のビール」。ビールや発泡酒より酒税が低く、店頭価格で割安感を出しやすい。消費者の節約志向を映し、第三のビールが十位以内に八品目が登場した。ビール系飲料の販売が低迷するなか、第三のビールは〇八年の出荷数量が発泡酒を抜くなど気を吐いた。
 新商品間の競争が激しい同分野で首位だったのがアサヒビール「クリアアサヒ 350ml×6缶」。副原料に糖類を使わず、代わりにスターチなどを使って後味に残る液糖の甘みをなくした。最需要期を過ぎた夏以降も積極的にサンプル缶を配布。他社製品の販売金額は夏場のピーク時から三―四割落ちたが、クリアアサヒは減少幅を一八%にとどめた。
 昨年五月下旬に風味を刷新して販売量の拡大につなげたのが、サントリーの「金麦 350ml×6缶」(二位)。六月の販売金額は前月の一・四倍。仕込みをする際の温度や時間を見直し、麦のうまみ成分をより多く引き出した。他の大手が四月までにビール系飲料の値上げに踏み切ったのに対し、同社は缶商品の値上げを九月に先送りしてシェア拡大につなげるなど価格戦略も奏功した。
 三位はサッポロビールの「ドラフトワン 350ml×6缶」だった。昨年一月に商品を刷新。発酵温度を高めにして雑味成分の分離を促し、すっきりした味わいを強調した。ただ他社が最需要期に照準を合わせて販売を強化しドラフトワンは年後半にかけて失速した。
飲料 コカ・コーラ「アクエリアス」 五輪・猛暑が追い風
 昨年と同様、十位以内に炭酸飲料が四品目登場した。各社はテレビCMなどを通じて商品イメージの向上に努めたり、日本コカ・コーラの「ファンタ ふるふるシェイカー」のように一風変わった商品を出すなどで需要を刺激している。
 首位のコカ・コーラ「アクエリアス PET 2l×6本」は八月に開催された北京五輪の日本選手団公式スポーツ飲料だ。テレビCMや販促用ポスターに男子競泳の北島康介選手を起用して、七百人を招いた五輪観戦ツアーも実施した。猛暑も拡販には追い風となった。
 二位はサントリー「ペプシネックス PET 500ml」。カロリーゼロの炭酸飲料だ。テレビCMのイメージキャラクターに岡田准一さんらを起用し、若者の支持拡大を目指した。
家庭用品 花王「アタック」 機能改善、支持つなぐ
 〇八年は衣類用洗剤やティッシュなどで納入価格引き上げや容量減による実質値上げが相次いだが、上位には機能を改善するなどで消費者の理解を得た商品が並んだ。
 首位の花王「アタック 1kg」は昨年六月、価格を据え置いたまま内容量を一・一キログラムから一キログラムに減量した。ただ酵素を増やして洗浄力を改善したり、粉を一段と水に溶けやすくすることなどで、消費者の支持をつなぎとめた。
 二位「トイレクイックル ジャンボパック つめかえ用 20枚」も内容量を減らしながら、シートを厚くして破れにくく改善。四位の旭化成ホームプロダクツの「サランラップ 22cm×50m」はラップをつまみやすいよう容器のデザインを改良した。
 高付加価値商品のつめ替え用も人気だ。花王「アタックバイオジェル つめかえ用 900g」(三位)は節水型洗濯機でも溶けやすく、洗浄力が高いのが特徴だ。資生堂「ツバキ シャンプー つめかえ用 400ml」(九位)はツバキから抽出した補修成分で髪をつややかに仕上げることができる。
その他食品 明治乳業「ブルガリアヨーグルト」 販促、ひと工夫
 乳製品が上位をほぼ独占した。十位以内に入った商品のうち、ヨーグルトと牛乳、乳飲料が三品目ずつあった。すべて昨春に値上げを実施している。
 首位は明治乳業の「ブルガリアヨーグルト LB81 500g」。昨年四月に希望小売価格を十円引き上げて二百六十円にした。ヨーグルト販売が回復傾向にあるなか、果物を混ぜたりカレーの隠し味に使うといった食べ方をスーパーなどの売り場で提案。拡販に努めた。
 味の素冷凍食品の「ギョーザ 12個 252g」も九位に食い込んだ。中国製冷凍ギョーザによる中毒事件などの影響で消費者の食品に対する安全・安心志向が高まるなか、包装に同社の指定農場で生産した野菜や肉類を使用していることを明記する取り組みなどが評価され、支持につながったようだ。
菓子 ロッテ「チョコパイパーティーパック」 量が減っても徳用は大モテ
 内容量が減っても、徳用サイズの菓子は人気だ。首位のロッテ「チョコパイ パーティーパック 9個」は昨年八月に一つ減量。三位の不二家「カントリーマアム バニラ&ココア 24枚」も昨年七月に四枚減らしたが、「腹持ちの良いビスケットを軽食がわりにする消費者が増えた」(不二家)ことが追い風となった。
 チョコレート菓子は定番品が上位に入るなか、チロルチョコの「チロルチョコ きなこもち 9個」が七位に。もちもちした食感のグミをきなこ味のチョコで包んだ。
 【ランキングの見方と調査の方法】
 データは日経POS情報サービスによる。調査対象は全国四十五チェーン(イオン、イズミ、イズミヤ、小田急商事、関西スーパーマーケット、コノミヤ、サミット、ダイエー、大丸ピーコック、東武ストア、長崎屋、ニコニコドー、フジ、マックスバリュ、マルエツ、みやぎ生協、ラルズなど)の二百四十八店。
 首都圏、近畿圏に二〇〇八年一月一日から十二月三十一日までに登場した商品が対象。リニューアル(改良)品でも、JANコード(日本の統一商品コード)が変わった場合は対象となる。ただし二チェーン以上の店舗で販売実績のない商品は対象から外した。
 ランキングは新製品が発売されてから十二月末までの期間に、それぞれ来店客千人当たりどれだけ売れたか(レジを千人の客が通過した時、その商品が売れた金額)で順位をつけた。
 登場月は、日経POSデータ上でその商品が初登場した月。平均単価は特売も含めた全調査店舗での平均価格を示す。
 食品は生鮮品、米穀類、総菜類、調理済みパンをランキング対象から外した。家庭用品はふろ・トイレ用消耗品、洗剤、身だしなみ用品、台所用消耗品、ペットフード、基礎・頭髪化粧品を対象とした。特定チェーン向けのプライベートブランド品、期間限定で以前発売した商品の再投入、既存品のセット品・増量品は対象外。
 【注記】
 菓子二位のネスレコンフェクショナリー「キットカット ミニ 15枚」は、九位の内容量を変えて発売した。その他食品は日本ミルクコミュニティ「メグミルク牛乳 1000ml」(三位)が価格改定に伴いJANコードだけを変更した。明治乳業「おいしい牛乳 1000ml」(七位)は旭川工場で製造した商品。

----------------------------------------------