20081002 日本経済新聞 朝刊

急増の影で質に問題の声も
 有料老人ホームは営利法人などが高齢者を入居させて生活サービスを提供するもので、これ自体は介護保険の施設ではない。元気なうちに入居し介護が必要になった場合は退去する「健康型」、自宅同様、外部の介護事業者を利用する「住宅型」、施設が介護サービスを提供する「介護付」の三種類がある。
 このうち、介護付は施設側が特定施設入居者生活介護(特定施設)という指定を受けると、入居者は特養などと同じく介護保険を使って要介護度別の一日当たりの金額でサービスを受けることができるようになる。
 特定施設の指定は有料老人ホームに限らない。比較的低額で食事や入浴サービスを受けられるケアハウス、高齢者専用賃貸住宅も条件を満たせば指定を受けられる。ただ、いずれも住まいの部分は制度外となっている。自宅でサービスを受けているとみなされ、施設でなく居宅サービスに分類されるからだ。
 一方、認知症高齢者向けの施設としては、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)がある。九人以下の小規模でケアを提供するのが特徴。介護保険で制度化された。
 特定施設もグループホームも法人種類別の参入制限がなく柔軟な経営が可能で、急拡大してきた。そのため質に問題のある施設も少なくないが、居住費や低所得者向けの補足給付がなく、介護保険施設と比較して国などの負担も少なくてすむ。しかし、利用者の平均要介護度は特定施設が約二・三、グループホームが二・六。特養の約三・八よりかなり軽度で、在宅サービス利用者の約二・〇に近い。つまり、両サービスの急増は軽度の入所を促し、かえって保険の負担を大きくしている面もある。このため、徐々に設置が制限され始めている。
 二〇〇六年度の制度改革でグループホームは地域密着型サービスに位置づけられた。共用スペースや空き室を活用したデイサービス(日帰り介護)、ショートステイ(短期入所)も制度化され、地域のサービス拠点としての役割を期待されている。

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20081002 日本経済新聞 大阪夕刊

 参院は二日午前の本会議で、麻生太郎首相の所信表明演説への各党代表質問に入った。首相は基礎年金の財源を保険料から税金のみに置き換える制度改革について「全額税方式はよい方法と考えている。一つの選択肢として議論を進めてもらえればと思う」と述べ、今後の検討課題との考えを示した。民主党の輿石東参院議員会長への答弁。
 首相にとって「ねじれ国会」の主戦場となる参院で初の論戦。輿石氏は二〇〇八年度補正予算案について「私たちは審議拒否も引き延ばしもするつもりはない」として、予算成立後の速やかな衆院解散・総選挙を求めた。首相は「衆院解散という政局より景気対策など政策の実現を優先したい」と強調した。
 首相は一一年度までに国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標に関して「達成すべく努力するという方針は一貫している」と言及。後期高齢者医療制度の見直しでは「廃止するのではなく改めることが必要だ」と重ねて強調した。
 輿石氏は公明党の支持母体の創価学会などを念頭に「税制上優遇されている宗教法人が選挙対策の中心拠点となって政党以上の選挙を行っているといわれている」とけん制。首相は「政教分離原則は宗教法人の政治的活動を排除する趣旨ではない」との見解を示した。
 自民党の山崎正昭参院幹事長は首相と民主党の小沢一郎代表による党首討論の早期開催を要請。首相は「来週の予算委員会で小沢代表と議論したい」と語った。午後は衆院で代表質問を続行し、公明党の太田昭宏、共産党の志位和夫、社民党の重野安正、国民新党の亀井久興の各氏が質問する。

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20081001 日本経済新聞 夕刊

 Aさん一家を見てみましょう。構成は夫婦(夫三十七歳サラリーマン、妻三十四歳=専業主婦)と子供二人(長女八歳、長男六歳)の四人家族。賃貸マンションに居住していますが、妻の実家で二世帯住宅購入を検討中。収入は夫の年収五百五十万円のみです。
 定期預金の二千百万円が全資産。うち住宅資金の頭金に千二百万円、教育資金に九百万円をと考えています。積極運用を検討していたところ、今回の金融危機に遭遇。損失を免れたもののこれからどうすればいいのか。これを機に投資に向けてマネー生活を大改革することになりました。
 まずお金が必要な場面が相次ぐため、失うことに一番注意しなければならない世帯といえるでしょう。Aさんの勤務先がつぶれることもありえます。最低限の生活資金は年収二年分といわれますが、非常用資金として千百万円も準備しておく余裕はありません。失業した場合には、生活費を切り詰め年三百五十万円、二年分として七百万円確保します。
 では、どのように真水の余裕資金を生み出すのか。当初は、二世帯住宅を考えていたのですが、妻の母と相談し完全同居を選ぶことになりました。将来、投資が収益を生めば二世帯住宅を建てることに。
 次に、教育資金です。大学受験に向けた環境が充実することに期待して、公立学校コースを選択。万が一、私立になれば不足分は学資ローンなどを活用することにしました。生命保険は、子供たちが大学を卒業するまでは現状維持です。
 義理の母親と同居すると、昼間、子供たちの面倒を見てくれることから、Aさんの妻も働きにでることが可能となりました。妻の収入と貯蓄は子供たちの教育資金の準備金にすることもできます。
 ここで、Aさん世帯のBS(世帯の貸借対照表)をみますと、土地・住宅・自動車などの実物資産がなく負債もないために、金融資産二千百万円がすべての資産です。将来的な住宅購入までは金融資産の増加が予定されます。
 金融資産の構成は非常用資金七百万円は定期預金、金利がよいネット定期を活用することとし、教育資金は大学時点で必要になることから長期国債八百万円としています。投資用資金としては、六百万円が生み出されたわけです。ここで、非常用資金としての定期預金ですが、半分に分割して二つのネット銀行へ。また、投資用の資金の口座を、家計用と区分するため、四つの銀行に分散されることになります。子供も幼く世帯主が働き盛りの家計では資金需要が旺盛です。長期資金の優先順位を明確にして投資資金を確保することがポイントです。

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20081001 日本経済新聞 夕刊

 認知症高齢者をよく理解して的確な介護ができる新しいケア手法が広がってきた。施設入居者向けに始まったが、在宅の要介護者を抱える家族も積極的に使い出した。アルツハイマー病など原因が分からないため、対応が難しい認知症ケアに光が差し込んできたようだ。
 このケア手法は「認知症の人のためのケアマネジメント・センター方式」。介護保険施行の翌二〇〇一年に厚生労働省が設立した認知症介護研究・研修東京センター(東京)が〇四年に開発し、普及させてきた。
 認知症を患う本人の一日の生活行動をはじめ、なじんできた習慣や好み、支援者の一覧、家族関係、生い立ちなどをケアマネジャーなどが調べて複数のシートに記入することから始まる。その情報をすべての介護関係者が共有し、ケアサービスの見直しに役立てる。
手描きイラスト
 千葉県船橋市の西村文雄さん(67)は、近くに住む娘の野島朋子さん(42)と一緒に七月、センター方式のシートに妻の雅子さん(67)の情報を書きこんだ。雅子さんは四年前にアルツハイマー病と診断され、現在はデイサービス(通所介護)に週六日朝から夕方まで通っている。
 朋子さんは「元気だったころの母の様子は、仕事で忙しかった父より私の方がよく知っているので二人で話し合いながら記入した」。子どもや人形が好きなことを思い出して、早速、ぬいぐるみの人形を母に持たせるようにしたという。
 本人の全身像をイラストで描いたシートには「一人でいるのは寂しい」「きれいなものやかわいいものを見たり触っていたい」「延命治療は望まない」などと、以前聞いていた雅子さんの気持ちも書き添えた。
 「支援マップ」という別のシートには、自宅を拠点に二つのデイサービス事業所やケアマネジャー、診療所、朋子さん宅などを図にして、その行き来を一目で分かるように描く。
 文雄さんは、これら八枚のシートをデイサービスやショートステイ(短期宿泊)の介護事業所に渡していく。「介護者に妻の生い立ちなどを話す機会は少ないので、この方が効果がありそう。何よりも良いサービスを受けられるのが目的ですから」と期待している。
 文雄さんは、認知症の人と家族の会千葉県支部の会員で、同支部が東京センターから講師を呼んだ学習会に参加したのがきっかけで記入を始めた。
 神奈川県鎌倉市のデイサービス「ケアセンターりんどう」の稲田秀樹センター長は「対応が難しい高齢者の介護方法をセンター方式で改善できた」と利用効果を話す。
妻を殴った理由
 利用者でピック病を患う岩壁貞良さん(67)が、入浴など介護をされることを嫌がっていた。妻の文子さん(67)は自宅で、拒否反応が高じて再三殴られた。
 だが「本人の前からでなく後ろから声をかけ、介助するといい」とスタッフがシートに書き込んだのをヒントに背中を軽く押して入浴を促し、シャワーも後ろから使いだした。すると貞良さんの抵抗は止まった。情報を全スタッフが共有化した結果であった。稲田さんは「前から近づくと恐怖心が起きてしまうのかもしれない」と振り返る。
 貞良さんの側に立って介護法を見直したのである。認知症ケアで最も大切なのは、当事者本位で考えること。環境を変えないで、本人のなじんだ暮らし方に近づくようなケアを目指す。
 シートの中の支援マップから適切なケアに結びついたのは、東京都品川区で一人暮らしのAさん(79)の場合だ(図参照)。品川区台場在宅介護支援センターでは、親族の家やスーパーと並んで銭湯がAさんの行きつけの好きな所だと分かったが、最近行かなくなっていたことに気づいた。
 「毎日通っているよ」と認知症が進んだAさんは話すが、半年間入浴していなかった。「デイサービスの入浴を試しては」と声をかけると、半年後には週五日通うようになった。「できなくなったことよりも、関心のあることに着目してケアにつなげるのがセンター方式のいいところ」と担当した所長の谷川智宏さん。
 センター方式の各シートはホームページ「いつどこネット」(http://itsu-doko.net)から無料でダウンロードできる。これまでは主に特別養護老人ホームなど施設入居者に使われてきたが、各種のサービスを利用し、複数のスタッフが関係する在宅の要介護者とその家族にこそ使われるべきだろう。(編集委員 浅川澄一)
 高齢者ケアの先進地、北欧では本人の生活歴把握が認知症介護の共通認識だ。仕事、結婚、育児など人生の節目での楽しかったことや苦しかった出来事をたどる。認知症の人が「どのようなことに強い思いを抱き、どんな暮らしをしたいか」を理解することで認知症ケアが成り立つからだ。本人本位や生活の継続、残存能力の活用という北欧で確立した高齢者ケアの原則を実践しており、センター方式はこの考え方を踏まえた手法だ。
 ケア手法の改革にとどめずに「施設入居への歯止めに活用しよう」と意気込む自治体も現れた。石川県加賀市である。
 「適切なケアが施されれば在宅生活が長続きするはず」と、老人保健施設など施設建設をストップ。代わって、小規模多機能型居宅介護など在宅サービスの拡大に乗り出した。センター方式導入役の地域推進員を四年間で二十五人任命。市内のケアマネジャーなどに利用法の説明にあたらせている。
 ご意見、情報をお寄せください。〒100-8065(住所不要)日本経済新聞生活情報部、FAX03-5255-2682、電子メールseikatsu@nex.nikkei.co.jp
【図・写真】本人の気持ちなどが記入された岩壁貞良さんのシートを見ながらのケア検討会(神奈川県鎌倉市のケアセンターりんどう)

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20081001 日本経済新聞 朝刊

 住友生命保険は二〇〇九年十月、損害保険事業から事実上撤退する。全額出資子会社のスミセイ損害保険が持つ自動車保険や火災保険の契約を同月から順次、三井住友海上火災保険の商品に切り替え、新たな契約の獲得も中止する。生保事業に経営資源を集中するのがねらいだ。
 スミセイ損保は一九九六年設立で、住友生命の営業職員を通じて保険を販売。〇八年三月期の保険料収入は二百九十四億円。〇〇年から三井住友海上と法人営業や損害調査で提携している。
 〇九年十月から住友生命の営業職員は三井住友海上の損保商品を販売する。すでに契約しているものについては、満期がくるたびに三井住友海上の商品を薦める。一〇年十月以降に残った長期契約は金融庁の認可を条件に、三井住友海上にまとめて移転する。生保各社は九六年から相次いで損保事業に参入した。

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