20081120 日本経済新聞 夕刊

 医薬品卸六位のバイタルネットと同七位のケーエスケー(大阪市)は二十日、来年四月に経営統合する方針を固めた。売上高は単純合算で五千億円を超え、統合時点で業界四位の規模になる見通し。国が医療費抑制に動く中、医薬品卸の経営環境は厳しさを増しており、規模を追求する再編の動きが加速してきた。
 同日午後に発表する。株式移転で共同持ち株会社を設立する。新会社は「バイタルケーエスケー・ホールディングス」。社長にバイタルの鈴木賢社長(60)、会長にケーエスケーの深田一夫社長(61)が就任する。バイタル株一株に対し新会社株一株、ケーエスケー株一株に対し新会社株〇・八一株を割り当てる。バイタルは東証一部上場を廃止し、代わりに新会社が上場する。
 両社は近く統合準備委員会を発足させる。


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20081119 日本経済新聞 地方経済面

 愛知県がまとめた七―九月期の完全失業率は二・八%となり、前年同期に比べて〇・四ポイント上昇した。前年より悪化するのは二期連続で、女性の完全失業者数が六割近く増加したことが響いた。県は「景気に陰りが見え始めていたことを反映している」と分析。世界的な金融危機が深刻化した十月以降の雇用情勢は厳しさを増しているとみている。
 完全失業率は十五歳以上の働く意思のある人のうち、職に就いていない人の割合を示す。愛知県の水準は全国平均(四・〇%)をなお下回っているものの、輸出環境の悪化などの影響が次第に雇用にも及び始めている。
 男女別の完全失業率は、男性が前年同期と同じ二・五%だったのに対し、女性は一・一ポイント上昇の三・二%となった。女性の完全失業者数は前年の三万三千人から五万二千人に大きく増加した。家計を支えるために職を求める女性が増えた可能性があり、県も「職を探し始めた女性が思うように仕事を見つけられていない」(統計課)と指摘している。


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20081119 日経MJ(流通新聞)

燃料高・エコで脚光
 燃料高などを受けて、昔懐かしい湯たんぽが装いも新たに復活してきた。布団にこっそり忍ばせていたのは昔の話で、最近はリビングルームや屋外で堂々と使うスタイルが定着しつつある。使用場面の変化に応じて、暖かさだけでなく、デザイン性や付加機能などが充実した湯たんぽも多くなり、真冬に向けて、熱気は増す一方だ。
 「最近はこんな形のものもあるんですか」。11月上旬、東京・銀座の「PLAZA GINZA」に1歳の息子と訪れた東京都在住の主婦(32)は動物などをかたどったぬいぐるみ型の湯たんぽが所狭しと並ぶのを見て、目を丸くした。「子供が小さいのでストーブなどは心配だった。湯たんぽは安全そうだし、光熱費の節約にもなる」と品定めしていた。
 同店を運営するプラザスタイルは昨年、湯たんぽ販売が前年比25%増と急伸。「欠品がなければもっと売れたはず」とみており、実際のところ今年は10月上旬から本格販売を始めると、昨年をさらに50―60%上回る売れ行きだ。
 大手湯たんぽメーカーなどの推定では、湯たんぽの市場規模は2004年ころまで年100万個前後だったが、07年は一気に300万個弱に拡大。製造が追いつかず注文を断るメーカーも相次いだ。
 ブームの発火点とされるのが灯油高などが生活を直撃した北海道。昨年いち早く販売が伸び、今や湯たんぽのトレンドを全国に先行して示す位置にある。
 ロフトは昨年、湯たんぽ販売が全体で前年比約30%以上伸びたが、札幌ロフトは同2.5倍とケタ違いの実績を残した。今年10月も昨年の3.6倍を販売した。「今年は単に販売量が伸びているだけでなく、屋外での使用を考える女性が増えるなど需要の質が変わった」とみる。
 実際、ユーザーの声からもひっそり寝床で使うスタイルは完全に過去のものになったことが見て取れる。東京都在住でタレントとして活動する朱瑠巳さんは昨年、今年と2年連続で湯たんぽを購入。「昨年の1台目は部屋の中でイス代わり。今年の2台目は一回り小さい携帯用。冬の屋外ロケではカイロよりも湯たんぽのほうが効果的」という。
 リビングや屋外など人目に触れる場での使用が一般化したのに対応して、湯たんぽの形状も多様化し始めている。
 例えば、「となりのトトロ」「バーバパパ」「ケアベア」など著名キャラクターをあしらった湯たんぽカバーが続々と登場している。キャラ付き商品は以前からあるが、無名キャラが主流だった昨年までと違い、今年はメジャーなキャラが大挙して参入しているのだ。ほかにも、カバーをニットセーターのように仕上げたり、金属製の本体表面に光沢加工したりした商品もある。
 一風変わったところでは長靴型の「足湯たんぽ」もある。もとはウエットスーツメーカーのヘルメット潜水(大分県国東市)が今年発売したもので、家事などをしながら手軽に足湯気分が味わえるというアイデア商品。同社はウエットスーツ素材で肩にかけたり、顔に載せたりするユニーク湯たんぽも開発済みという。
 今年は『ダブルエコ』と呼べる新たな環境配慮型の湯たんぽも現れた。電気やガスを使わず、もともとエコ志向にかなう暖房である湯たんぽに、もう一段の環境改善効果を加える趣向だ。
 プラザスタイルは12月25日まで、すべての湯たんぽをカーボンオフセット付きとするキャンペーンを展開。売り上げの一部を温室効果ガス削減事業の費用に向け、湯たんぽ1個につき二酸化炭素(CO2)30キログラム分の削減に役立つという。雑貨メーカーほんやら堂(群馬県高崎市)は温暖化防止に取り組む特定非営利活動法人のシンボルキャラ「そらべあ」の湯たんぽを発売した。こちらは売り上げの一部をグリーン電力普及などに使う。
 節約、かわいさ、エコ――。時代のキーワードを次々取り込み、熱を帯びる湯たんぽ人気。「株価は経済の体温計」とされるが、湯たんぽの販売動向も冬場を迎えた家計の状況を示す指標の1つかもしれない。(堀大介)


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20081119 日経産業新聞

「国家戦略の中核」狙う 効能発揮にはハードルも
 日本から先進医療を世界に送り出すための「先端医療開発特区(スーパー特区)」が動き出した。十八日、新型万能細胞(iPS細胞)などの研究チーム二十四組が選定された。安倍政権時代には、リーディング産業の「一丁目一番地」と期待された医薬品産業も、厳しい医療費削減政策が続き「もはや住所不定」(製薬首脳)。スーパー特区は医薬品産業のカンフル剤となるか。(11面参照)
 「これまでの研究成果を応用するための好機」。慶応大学の岡野栄之教授はスーパー特区に期待を寄せる。
 すでに共同研究などを進めてきたチームでの申請が多く「内容に新味はない」との声もあるが、参加する大学や製薬会社などの研究者らは、特区ならではの優遇措置を期待する。円滑な臨床試験(治験)手続きや審査、共同治験のための薬事法改正などだ。それだけ、現行制度は先端医療の研究開発にそぐわなくなっていた。
 例えば岡野教授が取り組む脊髄損傷治療。これまでも大日本住友製薬や中外製薬、生化学工業などと炎症の抑制や神経再生治療をサルなどの動物実験で治療効果を確認してきたが、壁を感じることも多かったという。
 再生医療に使う細胞や組織は、医療機関で医師が独自に培養し、医療目的で使う場合のみ認められた。企業が参加する複数施設での治験は薬事法の対象となる。そのため一つの施設で作った細胞を、他の施設に提供するには複雑な申請手続きや安全性確認作業などが逐一、求められた。
ネズミなら上手
 薬事法による安全性などの審査基準の分類も「薬」と「医療用具」の二種類だけ。ヒト組織を使った細胞シートや患部に的確に薬を運ぶ微細粒子など、新技術については適正な評価基準はない。こうした現状を知る海外の研究者らは「日本人はネズミの治療がうまい」と冷やかす。マウス段階の研究は進むが実用化はお粗末という意味だ。
 医薬品産業を日本のリーディング産業と明確に位置づけたのは安倍晋三元首相だった。首相就任最初の所信表明演説(二〇〇六年九月末)の中で、国家の成長に貢献する産業として「医薬」を真っ先に掲げた。首相の演説を聞いた製薬業界は「国家戦略の一丁目一番地」と沸いた。
 しかしその先に待ち受けていたのは、元首相の言葉とは裏腹の厳しい現実だった。〇八年四月の薬価改定で、医療費抑制を急ぐ政府は平均五・二%の薬価引き下げを実施した。製薬各社を特にがっかりさせたのは「再算定ルール」。企業の予想よりも二倍以上売れた薬剤については薬価を“再算定”して引き下げ幅を拡大する仕組みだ。
 武田薬品工業やアステラス、第一三共など各社の主力薬である血圧降下剤「アンジオテンシンII受容体きっこう剤」(ARB)が再算定の対象となり、引き下げ幅は平均値の二倍の一〇・一%に達した。製薬各社からは「販売努力も報われず、日本市場の魅力は薄れるばかり」との声が漏れた。
進む日本離れ
 実際、製薬会社の日本離れは進んでいる。アステラスは四月、臨床試験(治験)の統括機能を米国に移した。医薬産業政策研究所の調べでは、国内製薬会社が見つけた新薬候補品のうち「日本先行」で開発する品目数は一九九六年に百九十五品目あったが、〇六年には半分以下の七十三品目まで減った。安倍政権が「一丁目一番地」と持ち上げる一方で、国内の医薬品産業は徐々に地盤沈下していたのだ。
 医療機器産業でも欧米の後じんを拝してきた。国内の市場規模は約二兆二千億円だが、貿易収支では五千七百億円程度の輸入超過だ。心臓ペースメーカーなど心疾患の治療に使う装置は大半が米国製。手術ロボットや血管治療に使うカテーテル(医療用細管)の特許数も米国が圧倒する。
 スーパー特区はこうした負の循環を逆転できるのか。期待が高まる一方で、研究開発促進などの実効性を疑問視する声もある。
 実はスーパー特区が公募時にうたった利点は「研究資金を省庁や年度をまたがって運用できる」「審査当局との早期相談」など、立法措置を伴わない支援策のみだった。
 先の「構造改革特区」では、構造改革特区法という法律のもと、酒税法を緩和した「どぶろく特区」や株式会社による病院経営など革新性があった。それと比べると魅力に欠ける面は否めない。
 〇九年度以降に、スーパー特区のための法律を制定する方向で検討が進んでいるが、薬事法など既存の規制に対してどれだけ踏み込んだ特例措置を設けることができるか。選ばれた医療技術が特区の年限である五年後の実用化に間に合うか。特区への過剰な期待がため息に変わらない迅速さが求められている。
(下田英一郎、吉野真由美)

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20081119 日経産業新聞

プロの心得、50週で800問解く
 「例えパートタイムで働く主婦でも、お客様にとってはプロでなければならない」――。生命保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)で社員教育を担当する個人アソシエイツサポート部の松永大輔さんは、保険商品を直接顧客に販売する代理店の社員教育制度を全面的に刷新した。これまでの座学中心の研修に代えて導入したのはeラーニング(インターネットを使った遠隔教育)。二〇〇六年夏から構想を練ってきたシステムは十月に本格稼働を始めた。
 全国に六百店舗あるアフラックの認定販売代理店「サービスショップ」の社員が対象。企業向け教育システム開発大手のウィルソン・ラーニングワールドワイドが構築した。ソフトの期間貸し(ASP)形式で、ウィルソン・ラーニングのデータセンターでシステムを運用し、全国の店舗やアフラックの本社にインターネットを通じて配信する。
 システムは教材と学習者の割り付け、学習の進ちょく状況の管理を一元化するLCMS(ラーニングコンテンツマネジメントシステム)を基盤に構築した。一年半かけてアフラック専用のコンテンツを作成。商品を購入しない人の分析などを盛り込んだ消費者心理学など、独自の試験項目を作り上げた。
 システムにはIDとパスワードさえ確認できれば、どのパソコンからも接続できる。週に一度、試験問題を配信。五十週にわたって八百問以上を解く仕組みで、一問でも間違っていれば「修了」できない。同じ問題を複数回繰り返すときには選択肢の順番が代わるなど、答えの番号を覚えて正解するような不正がないように設計した。
 システム導入の狙いは販売力強化とコンプライアンス(法令順守)の徹底。同じ商品を売っているのに店舗や接客する社員によって説明が違えば、企業としての信頼を失うことにもなりかねない。顧客の顔を見て販売する代理店社員だからこそ、サービスを均一化する必要があった。
 教育内容は商品知識や販売方法のほか、関連する法律や医学にまで及ぶ。サービスショップが抱える顧客数は千四百万件。来店する顧客は新規顧客だけでなく、すでに保険契約をしている人も含まれる。時には現在販売中の商品だけでなく、十数年前まで販売していた商品の説明責任も負う。がん保険などの加入者からは最新の治療法など、医学的知識の提供を求められることも少なくない。
 新システムでは、代理店の社員一人ひとりの学習の進ちょく状況を本社側で管理する。一〇年三月末までに全学習工程を修了した社員がいない代理店とは認定代理店の契約を解除する方針で、eラーニングを義務化することで教育の徹底を図る。新システムの導入で、代理店社員の東京での研修に費やしていた宿泊費や交通費などのコストを削減する効果も得られた。
 対象社員は約三千人という大規模システム。導入には約二億円を投資した。保険金の不払い問題や告知義務違反など、問題の相次いだ保険業界で「確かな信頼を勝ち取るには必要な投資だった」(松永さん)という。アフラックという企業と消費者をつなぐ窓口になる代理店の販売社員の教育システムを通じて、顧客との信頼関係構築を図っている。
(岡田真知子)

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