20081119 日経MJ(流通新聞)
燃料高・エコで脚光
燃料高などを受けて、昔懐かしい湯たんぽが装いも新たに復活してきた。布団にこっそり忍ばせていたのは昔の話で、最近はリビングルームや屋外で堂々と使うスタイルが定着しつつある。使用場面の変化に応じて、暖かさだけでなく、デザイン性や付加機能などが充実した湯たんぽも多くなり、真冬に向けて、熱気は増す一方だ。
「最近はこんな形のものもあるんですか」。11月上旬、東京・銀座の「PLAZA GINZA」に1歳の息子と訪れた東京都在住の主婦(32)は動物などをかたどったぬいぐるみ型の湯たんぽが所狭しと並ぶのを見て、目を丸くした。「子供が小さいのでストーブなどは心配だった。湯たんぽは安全そうだし、光熱費の節約にもなる」と品定めしていた。
同店を運営するプラザスタイルは昨年、湯たんぽ販売が前年比25%増と急伸。「欠品がなければもっと売れたはず」とみており、実際のところ今年は10月上旬から本格販売を始めると、昨年をさらに50―60%上回る売れ行きだ。
大手湯たんぽメーカーなどの推定では、湯たんぽの市場規模は2004年ころまで年100万個前後だったが、07年は一気に300万個弱に拡大。製造が追いつかず注文を断るメーカーも相次いだ。
ブームの発火点とされるのが灯油高などが生活を直撃した北海道。昨年いち早く販売が伸び、今や湯たんぽのトレンドを全国に先行して示す位置にある。
ロフトは昨年、湯たんぽ販売が全体で前年比約30%以上伸びたが、札幌ロフトは同2.5倍とケタ違いの実績を残した。今年10月も昨年の3.6倍を販売した。「今年は単に販売量が伸びているだけでなく、屋外での使用を考える女性が増えるなど需要の質が変わった」とみる。
実際、ユーザーの声からもひっそり寝床で使うスタイルは完全に過去のものになったことが見て取れる。東京都在住でタレントとして活動する朱瑠巳さんは昨年、今年と2年連続で湯たんぽを購入。「昨年の1台目は部屋の中でイス代わり。今年の2台目は一回り小さい携帯用。冬の屋外ロケではカイロよりも湯たんぽのほうが効果的」という。
リビングや屋外など人目に触れる場での使用が一般化したのに対応して、湯たんぽの形状も多様化し始めている。
例えば、「となりのトトロ」「バーバパパ」「ケアベア」など著名キャラクターをあしらった湯たんぽカバーが続々と登場している。キャラ付き商品は以前からあるが、無名キャラが主流だった昨年までと違い、今年はメジャーなキャラが大挙して参入しているのだ。ほかにも、カバーをニットセーターのように仕上げたり、金属製の本体表面に光沢加工したりした商品もある。
一風変わったところでは長靴型の「足湯たんぽ」もある。もとはウエットスーツメーカーのヘルメット潜水(大分県国東市)が今年発売したもので、家事などをしながら手軽に足湯気分が味わえるというアイデア商品。同社はウエットスーツ素材で肩にかけたり、顔に載せたりするユニーク湯たんぽも開発済みという。
今年は『ダブルエコ』と呼べる新たな環境配慮型の湯たんぽも現れた。電気やガスを使わず、もともとエコ志向にかなう暖房である湯たんぽに、もう一段の環境改善効果を加える趣向だ。
プラザスタイルは12月25日まで、すべての湯たんぽをカーボンオフセット付きとするキャンペーンを展開。売り上げの一部を温室効果ガス削減事業の費用に向け、湯たんぽ1個につき二酸化炭素(CO2)30キログラム分の削減に役立つという。雑貨メーカーほんやら堂(群馬県高崎市)は温暖化防止に取り組む特定非営利活動法人のシンボルキャラ「そらべあ」の湯たんぽを発売した。こちらは売り上げの一部をグリーン電力普及などに使う。
節約、かわいさ、エコ――。時代のキーワードを次々取り込み、熱を帯びる湯たんぽ人気。「株価は経済の体温計」とされるが、湯たんぽの販売動向も冬場を迎えた家計の状況を示す指標の1つかもしれない。(堀大介)
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