20081124 日本経済新聞 朝刊

 二〇〇八年冬のボーナスは、支給額が減る企業も多く、厳しい見通しだ。「お隣」はボーナスをどう使うのか。日経生活モニターを対象に調査したところ、減額見通しや株価暴落で、投資や旅行・レジャー費用を夏よりさらに絞り込む人が多かった。一方で今の株価水準を「投資のチャンス」とみて、日本株投資に注目する人も目立つ。
 「共働きだけど、私の冬のボーナスはほとんどなさそう。必要な支払いをすませたら夫婦のボーナスがなくなってしまう」。大分県に住む食品関連の会社員、中村明子さん(44)はため息をつく。医療関連の企業に勤める夫のボーナスにも大きな期待はできない。ボーナス時にまとめて払う生命保険料と車検代で大半は消えそうだ。
 ボーナスで息子の小学校卒業祝いの旅行を考えていた。「家族旅行に付き合ってくれるのもあと少し。交通費が半額になる小学生のうちに思い出づくりを」と思ったが、中学の制服購入費用なども必要になる。旅行は難しいかもしれない。
 〇八年冬のボーナスは厳しそう。日本経済新聞社が十五日集計した今冬のボーナス調査(中間集計)でも全産業の一人当たり支給額は昨冬実績比〇・六三%減で六年ぶりのマイナスだ。
 使い道に関し、生活モニターの回答者の人数を考慮して加重平均すると、夏のボーナスより「生活費補てん」に回る割合が増え、二四%(夏は二一%)。例えばボーナス支給額が百万円だとすると、二十四万円が生活費補てんに回る計算だ。「貯蓄」の割合も夏(三九%)より増え四一%だった(グラフ(1))。
 前年同期との比較でも、ともに増やす傾向がより強まっている(グラフ(2))。反対に減ったのは「旅行・レジャー費用」(一〇%、夏は一三%)と「投資資金」(六%、夏は八%)。こちらは前年同期との比較で夏より減少傾向が強まった。
 神奈川県の専業主婦、田中薫さん(仮名、36)は正月に予定していた温泉旅行を中止。「子供が食べ盛りの時期に物価上昇が重なり、ボーナスも減りそう。今までの生活費の不足分を補うことになり、切実」と話す。昨冬に比べ家計を最も圧迫するようになったのは食費(三七%)。生活必需品の値上げが相次ぐ中でのボーナス減額見通しは、家計を直撃しそうだ。
 物価上昇に続き、夏以降の株や為替相場の急変動も深刻な影響。金融機関に勤める岡山県の深田剛さん(仮名、38)は「株価低迷で、ボーナスが減るのが明らか。生活するので精いっぱい」と、貯蓄、投資、耐久消費財の買い物費用、旅行・レジャー費用を削減。生活費補てんに五割を回す。
 予定していた使い道を延期・中止した人が約三人に一人。理由で最も多いのは「ボーナス減少」で、「家計支出や年金など将来への不安」「株価暴落による含み損拡大」と続く(グラフ(3))。
 新潟県に住む食品関連勤務の森達夫さん(仮名、56)は「以前は高級温泉旅館などに泊まって楽しんでいた。今年は資産の目減りが激しく、余裕がない」と嘆いた。(大賀智子)
 日経生活モニターを対象に実施。回答期間は十一月九―十二日。二十代以上の合計千九百七十人の回答を集計。調査結果の詳細は二十六日に「日経ネットPLUS」(http://netplus.nikkei.co.jp)で。

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20081124 日本経済新聞 朝刊

 景気の悪化で企業のリストラが広がり、職を失う派遣や請負労働者が増えてきた。この大波に最もさらされているのが外国人労働者だろう。
 在日外国人は年々増えており、入国して市区町村に登録した外国人は二〇〇七年末段階で、全国合わせて二百十五万人に上る。「仕事がなくなったので海外に帰って」などという話が通るような問題ではない。
 国が出入国管理法を改正し、日系人に就労先の制限なく滞在を認めたのは一九九〇年。バブル景気で深刻だった人手不足を補う目的だった。この時、日本は事実上の「人材開国」に踏み切ったといえるが、外国人の雇用や生活環境を守る法制度は依然として貧弱だ。
 まず、現在の外国人登録制度では申請がない限り、本人が他の市町村に転居してもわからない。
 外国人比率が人口の一割を超す岐阜県美濃加茂市は今年五月、隣接する可児市と共同で外国人に対し、引っ越しをする際には届け出を求める独自の制度を始めた。わずかこの半年の間に可児市への転出者が三十三人、可児市からの転入者が三十七人いたという。
 正確な住所すら把握できなければ、外国人の子どもを学校に受け入れることもできない。福祉サービスの提供や災害時の緊急対応も困難だ。
 第二に、生活の安全網(セーフティーネット)の外に置かれている点も問題だ。外国人の比率が高い自治体で構成する「外国人集住都市会議」の調査では、健康保険に加入している人は三、四割。年金などの加入者はさらに少ない。
 外国人側が手取り収入の減少を嫌がる面もあるが、保険料負担を避けるために雇用契約を意識的に短期間にとどめている事業者が少なくない。
 労働条件も厳しい。特に、国際貢献を名目に、外国人に現場で働きながら技能を身につけてもらう「研修・技能実習制度」の評判が悪い。実態は労働者なのに、一年間の研修期間を終えた後も最低賃金すら守らない不正行為が後を絶たず、海外から批判されている。
 九〇年に事実上の開国をしたころには、数年で帰国する短期滞在者が多かったが、今では家族を呼び寄せ、生活基盤を日本に移した人が少なくない。永住資格をもつ外国人は全体で八十七万人、ブラジル人だけでも八万人程度いる。
 政府は外国人向け台帳制度の創設などに乗り出したが、周回遅れの状況だ。職もなく、日本語も話せない外国人が増えれば、地域社会のなかで思わぬトラブルを招くおそれもある。
 群馬県大泉町や豊田市など製造業の町で目立つ日系ブラジル人は三十一万七千人に上る。少なくとも、こうした地域で働く大半の外国人は日本人と同じ「生活者」だ。
 教育や雇用対策などあらゆる面で、彼らと共生する社会基盤を官民共同で早急に整える必要があるだろう。
(編集委員 谷隆徳)

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20081123 日本経済新聞 朝刊

 住宅ローンの借入先の銀行に預金すると、ローン利息の支払額を減らせる――。一部の第二地方銀行や外国銀行などが販売する「預金連動型住宅ローン」と呼ばれる商品で、ローンと預金を一体として取り扱うのが特徴だ。どんな人に向いているのか、試算をもとに検証した。
 表Aに主な預金連動型住宅ローンの概要を掲げた。各商品には表の記述以外にも相違点があり、詳細は確認する必要があるが、まずは東京スター銀行の商品で仕組みを把握しよう。
借入金利は高め
 ローン残高から普通預金残高を差し引いた額が、利息支払額の計算の基となる実質的なローン残高になるのが基本的な設計だ。預金が繰り上げ返済と同じ効果を持ち、利息の支払額が減る。(1)普通預金なので原則いつでも引き出せる(2)ローン残高が減るわけではないので、住宅ローン減税(年末のローン残高の一定割合を税額から差し引く措置)の効果が出やすい――などの利点がある。
 注意点もある。高めの借入金利や、団体信用生命保険(団信=借り手の死亡時などに返済を肩代わりする保険)の保険料が支払利息に含まれる通常型住宅ローンと違い別途必要なこと、利息軽減に使う部分の円普通預金に金利が付かないことなどだ。
 では、通常型の住宅ローンと比べて有利なのか。利用者の手元資金額の多寡に応じてケース別に試算した(表B)。あくまで利息支払額、団信保険料とローン減税額だけをもとに負担額をはじいた簡略計算だ。
 試算の前提として、東京スターでは自宅購入費(三千万円)の二割に当たる頭金を手元資金で手当てし、残りを同行から借りることにする。手元資金の残りは普通預金に預け、利息支払いの軽減に活用する。返済が進むとローン残高が普通預金を下回るようになる。預金のうちローン残高を上回った分には金利が付くし、その部分を引き出して別途運用することも可能だが、試算では考慮しなかった。
 一方、メガバンクの通常型ローン利用時には、いざという時のため、四百万円を購入費用に充てずに銀行に預け、残った手元資金を頭金に充てて足りない分を借りることにする。預金金利は普通、定期とも今は低いのでゼロと仮定した。
資産運用機会逸失も
 結果を見ると、ケースAでは東京スターが有利。資金の余裕度が相対的に低いケースBとCでは、通常型ローンが得だった。政府・与党は住宅ローン減税を二〇〇九年から大幅拡充する方向で調整中で、実現すればケースBでも東京スターが有利になる可能性がある。ただ、ローン減税は一定の納税額がないと利点を享受できない。
 表Bの試算から言えそうなのは、借入残高を多めにしてローン減税の利点を享受する一方で、豊富な預金で利息軽減効果を出すという組み合わせが、預金連動型ローンの上手な使い方ということだ。つまり、資金に余裕がある人が有利になる。ちなみに愛媛、北日本、関西アーバンの各行は、親など家族の預金も利息支払額の軽減に活用できる(表A)。
 試算には注意点がある。ケースA(手元資金が二千万円)で通常型ローンより預金連動型ローンが有利としたが、通常型が有利になるやり方もあることだ。借入額を増やすことで手元に残すお金を増やし、その分を定期預金、株式、投資信託などで運用する方法だ。
 金利や株価の上昇で高い運用成果が望めるなら、この方法が有利になり、預金連動型は使わない方がいいかもしれない。「預金連動型で手元のお金をローン残高の相殺のために塩漬けにするより、通常型を借りて手元資金を運用に回す方が得な可能性もある」(ファイナンシャルプランナーの浅田里花さん)
 以上の試算結果をまとめると、預金連動型が向いているのは表Cの三つの条件を満たすひとだと言えそうだ。利用に当たっては自らの収入や相場環境などを十分勘案したうえで判断しよう。(編集委員 清水功哉)



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20081122 日経プラスワン

 マンションを買うか迷うとき、いかんともし難いのが予算枠。値下げの可能性は最大限追求したいところだが、いくら値下がりしたら買うか尋ねたところ「一〇%以上三〇%未満」が三一%で最も多く、三〇%以上五〇%未満」も二七%と多かった。
 値引き交渉では「これ以上値引きはしないと言われたのに、ほかの人にさらに値引きを提案するファクスが間違って届いた。責任者を呼び、同じ割合を値引きしてもらった」(京都府の女性、49歳)といったシビアな駆け引きのエピソードも寄せられた。
 購入代金を安く抑えたい場合、条件面で何を妥協するか。最も多いのは「部屋の階数を下げる」(三五%)。階数によって価格が違うのが一般的で、同じ物件なら目をつぶるという人が目立つ。ただ「お金が足りずに一階下の部屋にしたら、景色が悪くなった」(大阪府の男性、30歳)とがっかりした人もいる。
 次に多いのが「場所を地価の安い郊外に変更する」(三一%)。立地面での妥協は「古い物件にする」(一二%)や「狭い物件にする」(六%)を大幅に上回った。
 人生最大の買い物といわれるだけに、予算の検討や価格交渉は慎重に進めよう。
 調査の方法 調査会社のマクロミルに依頼し、インターネットで実施。対象は全国の成人既婚男女で、有効回答は六百十八人(男女半々)。

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20081122 日経プラスワン

 円高が進むと、海外での買い物は円ベースでの支払額が少なくてすみ、安くなる。注意が必要なのは「いつの時点の為替レートで支払うか」だ。最近の円相場は変動幅が大きいだけに、一日違いでも支払額は大きく変わる。為替相場の動向や見通しに応じた「買い物代金の有利な支払い方法」を探った。
 三カ月前(二〇〇八年八月半ば)の円相場は一ドル=約一一〇円。現在(十一月二十日時点、約九五円)と比べると約一五円の円高で、百ドルの商品を円ベースで約千五百円も安く買える計算だ。海外旅行やインターネットの海外サイトなどでの買い物に魅力を感じる人は多いだろう。
 円相場は現在、円高方向に動いているが、一日で一ドル当たり二、三円動くこともあり、仮に二円動けば千ドルの買い物で支払額に約二千円の差が出てしまう。「できるだけ円高の有利なタイミング」を選びたいところだ。
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 米国旅行のケースで考えてみよう(表A)。出発前に「現時点の方が旅行中よりも円高」との見通しを持ったり「今のうちに円ベースの資金がいくら必要か確定したい」と思ったりする場合は、国内で両替でき、両替した時点のレートが適用される方法を選ぶと有利。銀行などで両替する方法が一般的だ。
 しかし、それでは手数料が一ドル当たり二―三円とやや割高だ。そこで、ファイナンシャルプランナー(FP)の国場弥生さんは「コストを抑えるためには、ドルで支払うカードの利用を検討してみてはどうか」と提案する(表B)。
 ソニーファイナンスインターナショナルが十月に取り扱いを始めたクレジットカードは、ドルで支払った買い物代金を、あらかじめ開設したソニー銀行の米ドル普通預金から引き落とせる。円を両替して米ドル預金口座に預け入れる際に、一ドル当たり一〇―二五銭の為替手数料がかかるが、カードの利用時に追加料金はかからない。
 現金を使う場合は、一部の証券会社が提供している外国為替証拠金取引(FX)の両替サービスを利用すると、手数料を抑えられる。FXの口座に預け入れた円をドルに両替した後、シティバンク銀行に送金し、現地のATMで現金を引き出す方法で、ひまわり証券では手数料が一ドル当たり二〇銭で済む。
 外貨預金などと連動するこれらの方法は、預け入れ後に利息を得られるなどの利点もある。ただ、年会費や口座管理手数料などがかかる場合もあるので、注意が必要だ。
 一方、現時点よりも旅行中の方が円高になるとの見通しを持った場合は、旅行先に着いてから買い物をするまでの間のレートが適用されるようにするのが有利だ。現地のATMで現金を引き出すか、銀行などで両替すれば、その時点でのレートが適用される。
 ATMで現金を引き出す手段は様々だが、手数料で比べると、国際キャッシュカード(引き出し額の三―四%)やデビットカードでのキャッシング(利用額の約一・六%)に比べて、クレジットカードのキャッシングを利用し、早く返済した方が安くなる場合がある。例えば年率一八%で借りて十日後に返済した場合、手数料に該当する利息負担は利用額の約〇・五%だ。
 また、現地での両替は「円の流通量が多くないため、手数料が高くなる場合が多い」(旅行ジャーナリストの村田和子さん)ので注意しよう。
 買い物をした後にさらに円高が進むと判断した場合は、円で支払うクレジットカードを現地の店舗で提示して決済すると有利だ。この場合、店舗からカード会社に支払いの請求が届いた時点のレートが適用されるのが原則。当日から二日後になることが多いようだが、一カ月後になるケースもあるという。
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 村田さんは相場変動による損失を軽減する方法として、旅行前に円高と思うタイミングで両替して外貨預金に預け入れ、旅行には円で支払うカードとドルで支払うカードの両方を準備することをすすめる。旅行中に円高になれば円で支払うカードを使い、外貨預金は次の旅行まで取っておけばよいからだ。
 ユーロの場合、米ドルほどは支払い手段が充実していない。村田さんは「チップや交通費など必要な現金は日本で両替して持って行くか、クレジットカードのキャッシングで借りて帰国後すぐに返済するのがおすすめ」と話す。
 いずれの場合も盗難にあった場合の補償の有無なども考慮し、使い勝手のよい方法を選ぼう。(小林由佳)


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