20081122 日経プラスワン

 円高が進むと、海外での買い物は円ベースでの支払額が少なくてすみ、安くなる。注意が必要なのは「いつの時点の為替レートで支払うか」だ。最近の円相場は変動幅が大きいだけに、一日違いでも支払額は大きく変わる。為替相場の動向や見通しに応じた「買い物代金の有利な支払い方法」を探った。
 三カ月前(二〇〇八年八月半ば)の円相場は一ドル=約一一〇円。現在(十一月二十日時点、約九五円)と比べると約一五円の円高で、百ドルの商品を円ベースで約千五百円も安く買える計算だ。海外旅行やインターネットの海外サイトなどでの買い物に魅力を感じる人は多いだろう。
 円相場は現在、円高方向に動いているが、一日で一ドル当たり二、三円動くこともあり、仮に二円動けば千ドルの買い物で支払額に約二千円の差が出てしまう。「できるだけ円高の有利なタイミング」を選びたいところだ。
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 米国旅行のケースで考えてみよう(表A)。出発前に「現時点の方が旅行中よりも円高」との見通しを持ったり「今のうちに円ベースの資金がいくら必要か確定したい」と思ったりする場合は、国内で両替でき、両替した時点のレートが適用される方法を選ぶと有利。銀行などで両替する方法が一般的だ。
 しかし、それでは手数料が一ドル当たり二―三円とやや割高だ。そこで、ファイナンシャルプランナー(FP)の国場弥生さんは「コストを抑えるためには、ドルで支払うカードの利用を検討してみてはどうか」と提案する(表B)。
 ソニーファイナンスインターナショナルが十月に取り扱いを始めたクレジットカードは、ドルで支払った買い物代金を、あらかじめ開設したソニー銀行の米ドル普通預金から引き落とせる。円を両替して米ドル預金口座に預け入れる際に、一ドル当たり一〇―二五銭の為替手数料がかかるが、カードの利用時に追加料金はかからない。
 現金を使う場合は、一部の証券会社が提供している外国為替証拠金取引(FX)の両替サービスを利用すると、手数料を抑えられる。FXの口座に預け入れた円をドルに両替した後、シティバンク銀行に送金し、現地のATMで現金を引き出す方法で、ひまわり証券では手数料が一ドル当たり二〇銭で済む。
 外貨預金などと連動するこれらの方法は、預け入れ後に利息を得られるなどの利点もある。ただ、年会費や口座管理手数料などがかかる場合もあるので、注意が必要だ。
 一方、現時点よりも旅行中の方が円高になるとの見通しを持った場合は、旅行先に着いてから買い物をするまでの間のレートが適用されるようにするのが有利だ。現地のATMで現金を引き出すか、銀行などで両替すれば、その時点でのレートが適用される。
 ATMで現金を引き出す手段は様々だが、手数料で比べると、国際キャッシュカード(引き出し額の三―四%)やデビットカードでのキャッシング(利用額の約一・六%)に比べて、クレジットカードのキャッシングを利用し、早く返済した方が安くなる場合がある。例えば年率一八%で借りて十日後に返済した場合、手数料に該当する利息負担は利用額の約〇・五%だ。
 また、現地での両替は「円の流通量が多くないため、手数料が高くなる場合が多い」(旅行ジャーナリストの村田和子さん)ので注意しよう。
 買い物をした後にさらに円高が進むと判断した場合は、円で支払うクレジットカードを現地の店舗で提示して決済すると有利だ。この場合、店舗からカード会社に支払いの請求が届いた時点のレートが適用されるのが原則。当日から二日後になることが多いようだが、一カ月後になるケースもあるという。
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 村田さんは相場変動による損失を軽減する方法として、旅行前に円高と思うタイミングで両替して外貨預金に預け入れ、旅行には円で支払うカードとドルで支払うカードの両方を準備することをすすめる。旅行中に円高になれば円で支払うカードを使い、外貨預金は次の旅行まで取っておけばよいからだ。
 ユーロの場合、米ドルほどは支払い手段が充実していない。村田さんは「チップや交通費など必要な現金は日本で両替して持って行くか、クレジットカードのキャッシングで借りて帰国後すぐに返済するのがおすすめ」と話す。
 いずれの場合も盗難にあった場合の補償の有無なども考慮し、使い勝手のよい方法を選ぼう。(小林由佳)


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