20090129 日本経済新聞 地方経済面

 財務省長野財務事務所は二十八日、二〇〇八年十―十二月期の県内経済情勢の総括判断を「悪化している」とし、前回の「弱い動きとなっている」から引き下げた。総括判断の下方修正は四・四半期連続。八つの個別判断項目のうち個人消費、住宅投資、設備投資、生産活動、景況感、雇用情勢の六項目が前四半期から悪化した。
 個人消費は新車販売や家計消費支出が前年割れ。設備投資は〇八年度計画が前年比一九%減の見込み。
 財務事務所は「雇用の大幅な調整や資金繰り悪化による倒産などで更なる下振れリスクも懸念される」と先行き警戒感を示した。
 公共事業と企業収益の二項目は、前四半期と判断を変えなかった。ただ公共事業は前年割れ、今年度利益は減益見通しと悪い状況が続いている。
 財務事務所が総括判断を「悪化している」という厳しい表現で経済情勢を説明するのは〇一年十―十二月期以来、七年ぶり。ITバブル崩壊後の不況以来になる。

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20090129 日経産業新聞

「プロ」育成、効果を精査 ユーザー間で情報交換も
 効率経営を求められているのは企業だけではなく、国の医療費抑制に直面している病院も同じだ。能登半島最大の総合病院、恵寿総合病院(石川県七尾市)はIT(情報技術)を駆使、コスト低減とサービス向上の両立を目指す。過疎地という厳しい経営環境の中でなぜ実のあるIT投資ができたのかを探った。
 恵寿総合病院では、医療器具を棚から取り出す際にある作業をしなければならない。器具に付いているICタグ(荷札)に専用のリーダーをかざして、情報を読み取らせるのだ。この作業によって医療器具をいつどれだけ取り出したのかを正確に把握できる。必要以上に購入して過剰在庫を抱えてしまうリスクを減らすのが目的だ。
職員の負担軽減
 使用する際にもリーダーで情報を読み取り、どの患者のどの治療で用いたのかを正確に記録する。恵寿総合病院の梅田信一・企画開発課長は「医療事故や診療報酬請求記載ミスの防止に役立つ」と説く。
 ミスが少なくなったことで職員の負担が軽くなり、患者の待ち時間が短縮するなどサービス面でも効果が表れているという。
 「IT化は、医師や看護師が本業の医療行為に専念できる環境を提供するのが目的」。恵寿総合病院を運営する社会医療法人財団董仙会(石川県七尾市)の神野正博・理事長は語る。在庫は悪という意識をスタッフに浸透させ、効率化で生まれた時間を患者に対するサービス向上に使うように促したのだ。
 恵寿総合病院がITを採り入れ始めたのは一九九三年。高齢者介護施設の建設など拡大路線を進めた結果、経営が厳しくなり、「改革を迫られたのがきっかけだった」(神野理事長)。
 真っ先に着手したのが在庫削減だ。多品種少量で高価な医療器具や医薬品は、管理に手を抜くと何年も使われないまま倉庫に眠る「死蔵在庫」となりやすい。恵寿総合病院もこの悪弊からは逃れられず、資金繰りが悪化していた。
 そこで現在のICタグを使った在庫管理の前身となるバーコード管理システムを導入した。導入後の三年半で合計三億七千万円の仕入れコスト削減に成功した。
 その後、検査や投薬、注射などの指示(オーダー)を入力すると、その内容が情報ネットワークを通じて関係部署に瞬時に伝わる「オーダリングシステム」を導入した。診療から薬品の処方、会計が迅速かつ正確に行われるようになった。
 電子カルテシステムも採り入れた。診療内容をデータベース化して、必要な情報をすぐに引き出せるようにした。カルテの情報はインターネットを通じて周辺地域の開業医にも提供している。
 神野理事長は「医療器具や医薬品といったモノの管理に役立てるだけでなく、ITを地域全体の医療の質向上に生かしたいという狙いがある」と話す。
 七尾市がある能登半島は東京都とほぼ同じ面積でありながら、人口は東京都の二%未満の約二十万人しかいない。
 しかも病院のIT投資によるコスト削減効果は明確ではない。厚生労働省の審議会である中央社会保険医療協議会が二〇〇七年七月にまとめた調査によると、IT投資で「業務が効率化して人件費が減った」と答えた病院は二二%で、「減らなかった」の二八%を下回った。
 このような厳しい状況の中で、恵寿総合病院がIT投資で成果を得られたのはなぜか。「システム会社の言いなりにならずに、必要な機能に絞ったシステムを構築するように心がけてきた」と神野理事長は答える。
 「情報管理課」という病院には似つかわしなくない名称の組織が恵寿総合病院にはある。職員の中から情報システムの専門家を養成して同課に集め、費用対効果を精査したうえでIT投資を実行するかどうかを決めている。こうすることで、必要な機能だけを持った簡素なシステムができあがる。初期投資も維持・運用費用も抑えられる。
ムダな更新防ぐ
 安く効率的なシステム作りの背景には、「ユーザー会」という組織もある。これは同じシステムを使う全国各地の病院の集まりで、九八年に発足し、恵寿総合病院をはじめとする約二百の医療機関が加入している。同会の同意がないとシステム会社が仕様変更できないようにして、ムダな更新投資を防いでいる。
 地域の医療機関同士がアイデアを出し合うことで、低コストで使い勝手の良いシステムの導入につなげている。メンバーが考案したシステムは他のメンバーも自由に使える。恵寿総合病院でも、処方せんを二次元バーコードで管理するシステムをユーザー会を通じて採り入れた。神野理事長は「オープン(開放的な)な協調がユーザー会の特長」と語る。
 同じシステムでも運用の仕方で効率が変わる。ユーザー会にはシステムエンジニア(SE)を集めた分科会のほか、幹事病院の会合などが定期的に開かれる。そこで運用上手な病院の成功事例を共有している。
 基本は自前で精査するが、助け合える点は他者と協力する。こうした姿勢がIT投資の効果を最大限に引き出し、コスト低減とサービス向上の両立につながっていると言えそうだ。(星正道)
 恵寿総合病院 正式名称は「社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院」。院長は山本達氏。一九三四年(昭和九年)設立の神野病院を前身とする。二〇〇八年十二月一日時点での病床数は四百五十一、職員数は六百二十二人。一般企業の売上高に相当する医業収入は約九十八億円(〇七年度)。

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20090129 日本経済新聞 朝刊

派遣の職求め他県に 暖房切って生活費抑制
 急速な景気悪化が、母子家庭の生活に影を落としている。奨学金を貸し出す団体の緊急調査では、約八割の家庭が「昨年九月より生活が苦しくなった」と回答。もともと経済力に乏しい家庭も多く、進学を控えた子供の学費が重くのしかかる。それでも「子どもの夢をつぶしたくない」。暖房を切って生活費を切り詰め、家族総出で働くなど、何とか学費を捻出(ねんしゅつ)しようとしている。
 昨年三月、病院の事務職の契約が満期になって退職した仙台市の女性(46)は再就職を目指したが、約十五社から採用を断られた。雇用保険の給付が切れた同九月以降は、日雇い派遣で得る日給約六千円の収入と夫の月十万円の遺族年金だけが収入源。翌日の生活費を捻出するため、山形県内や東京都内の派遣先にまで、業者が用意した観光バスで往復する日々が続いた。
 仕事がない年末年始は、三年前に病気で亡くなった夫の実家から送られるコメや野菜で年越しした。
 それでも高三の長女(18)と高二の長男(17)の進学だけはあきらめない。長女は都内の音楽大への進学を希望しているが、月四万円のピアノレッスン代だけは死守。「経済的な理由で子どもの夢をつぶしたくない」との思いからだ。
 夫が生前、高校入学祝いにと長女に贈ったフルート。長女からそっとそのフルートを手渡され、質屋で生活費に替えた。子どもたちもアルバイトで家計を支える。「惨めな思いをしないよう、子どもには大学を卒業させたい。『負』が連鎖するのは絶対避けたい」。切実に思う。
 病気などで親を亡くした学生に奨学金を貸し出している「あしなが育英会」は今月上旬、高校生の子どもがいる全国の母子家庭千八百七十八世帯を対象に緊急アンケートを実施(回答率は四三・三%)。その中間結果によると、現在の暮らし向きが昨年九月ごろより苦しくなったと答えた家庭が七八・五%を占めた。
 学費が不足し、子どもの勉強や進学への意欲が落ちたという家庭は一六・四%。子どもが進学をあきらめた家庭も九・一%あり、ともに前回調査(昨年二月)に比べ二ポイント前後増えた。
 十一年前に夫を病気で亡くした東京都中野区の女性(44)。高校三年の次女(18)が今春、高二の長男(17)も来春に大学進学を目指すが、物価高の影響で食費が前年の二割増に。節約するために「おせちのない正月」を初めて過ごした。事務職のパートなどで一家を支える。
 大学三年の長女(21)も含め三人の子どもは学費などを稼ぐためのアルバイトに忙しい。年末年始も家族がそろって過ごしたのは十二月三十日だけ。暮らしている都営住宅では暖房も入れない。常に「お金」を意識し、「長女が就職すれば食いぶちが減るかも」とふと思ってしまう自分が嫌になることもあるという。
手当などの支援 あり方見直しを
 ひとり親を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)の「Wink」の新川てるえ理事長 昨秋から仕事が見つからない母親からの相談が増えている。国は自立支援を名目に手当を減らしているが、心のケアも含めて支援のあり方を見直すべきだ。

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20090129 日本経済新聞 朝刊

 二十八日に開幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発表された「世界で最も持続可能な一〇〇社」(グローバル一〇〇)に、損害保険ジャパンが選ばれた。環境ファンドの運用や東南アジアでの天候デリバティブの販売などが評価されたとみられる。日本の保険会社が選ばれるのは初めて。
 グローバル一〇〇は世界の大企業千八百社を対象に、米調査会社のイノベスト社などが企業の社会的責任(CSR)の取り組みを評価し、上位百社を選ぶもの。二〇〇五年に始まり今回が五回目だ。日本企業ではこれまでリコー、トヨタ自動車、凸版印刷などが選ばれている。

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20090129 日本経済新聞 朝刊

 オリックス生命保険は二十八日、二〇〇九年四月から被保険者が満十五歳未満の死亡保険の販売を中止すると発表した。定期保険「ファインセーブ」など十種類の商品の販売を取りやめる。販売を中止するのは同社が初めてとみられる。

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