20081211 日本経済新聞 朝刊

 団塊世代の六十歳定年退職は今年が二年目だが、消費低迷の中でも旅行や大画面テレビ、乗用車などでは退職記念の消費は活発だったようだ。
 日経産業地域研究所が十月に実施した「第二回定年団塊の消費実態調査」によると、最近一年間に六十歳定年を迎えた人の中で、記念消費をした割合が最も高い分野は国内旅行で、三五%だった。海外旅行も一三%と二ケタ台だ。
 昨年十月の第一回調査では国内旅行は三四%、海外旅行は一四%だったので、ほぼ同水準。特に海外旅行は燃油サーチャージで料金が上昇した割には積極的だ。平均支出額は国内旅行が二十三万円で前回より五割近く、海外旅行は七十八万円で四割強も多い。
 耐久財では大画面テレビを買った人が一三%で前回に比べ三ポイント上回り、国産乗用車(一一%)も前回と同水準だった。特に大画面テレビは価格が大幅低下して46型の有力機種でも三十万円を切るケースがあり、「買い時とみる団塊世代が増えたようだ」(ヨドバシカメラマルチメディアAkiba)。大画面テレビの購入価格は平均三十二万円、乗用車は二百三十九万円だった。
 ただ、家族との記念パーティーを行った人は二三%で前回より四ポイントも低く、衣料品を買った人も前回の一五%から五%へ大幅ダウンした。
 今回調査では、家計を引き締めていると答えた人が全体の八割も占め、特に外食や衣料を切り詰める傾向があった。それが記念消費でも家族とのパーティーや衣料の購入をした人が減ったことにつながったようだ。
 その一方で、海外旅行に「妻への長年の感謝も込めて」(十日間のフランス旅行をしたAさん)出かけたり、「クルマを買い替える最後の機会」(Bさん)といった思いなどから、金額の張る記念消費に踏み切った人も多い。定年記念でも選別消費が進んでいる。
(詳細は「日経消費マイニング」12月号に掲載)
 調査の方法 十月に日経リサーチに委託、最近一年間に六十歳定年を迎えた男性にインターネットで実施。回答者は百九十一人。


-----------------------------------------------

20081211 日本経済新聞 朝刊

 自民党税制調査会(津島雄二会長)は十日、二〇〇九年度税制改正で自動車重量税と自動車取得税について、低公害車を対象に三年間の時限的な軽減措置を設ける方針を固めた。電気自動車やハイブリッド車などの低公害車を新車で購入した場合、環境性能に応じて五〇、七五、一〇〇%の三段階で両税を軽減する。対象台数は二百万台程度で、一台当たり平均十万円程度、軽減額は年二千億円強になる見通し。
 取得税について軽減措置を設けている現行の「グリーン税制」に重量税を加えて拡充する。グリーン税制は燃費や有害物質排出量などの基準に応じて取得税を軽減する仕組み。
 党税調は現行制度を参考に、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車などの新規購入について、重量税と取得税を一〇〇%軽減(免税)する。そのほかの低公害車に関しては、排ガス基準などに応じて五〇、七五%の軽減措置を設ける方針だ。
 自動車取得税は取得価格の五%分がかかる。重量税は新車購入と車検の際にかかり、自家用車で一年につき車両重量〇・五トンごとに六千三百円。新車購入時には三年分が必要になる。
 重量税の軽減措置に関しては、今回は新車購入時に限る。公明党が求めている保有車の車検時の軽減措置は、数年後の税制抜本改革に結論を先送りする方針だ。


-----------------------------------------------

20081211 日本経済新聞 朝刊

 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が売却の方針を示した生命保険会社アリコについて、仏アクサ、米メットライフ、英プルーデンシャルの海外大手保険会社が新たに買収に関心を示しているもようだ。アリコを巡ってはすでに中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)が出資交渉をしている。AIGは年明けにも入札を実施し、売却先を決めるとみられる。
 CICは十一月、中国の保険会社と投資連合を形成し、アリコの株式を最大四九%取得する交渉に入った。欧米三社も買収交渉に加われば、アリコ売却は海外勢による争奪戦に発展する。買収価格は一兆円規模になるとの見方がある。
 AIGは米金融危機の深刻化で資金繰りが急速に悪化し、九月と十一月の二度にわたり米政府と連邦準備理事会(FRB)から公的支援を受け経営再建中。だが米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が、約百億ドルの取引で、かなりの損失が出る可能性があると報道するなど、損失が広がるとの見方も出てきた。
 AIGはより早く、高値で傘下の保険会社を売却したい考えとみられ、アリコについても交渉の対象を広げる可能性を探っているもようだ。九日にはエドワード・リディ最高経営責任者(CEO)が来日し、金融庁の佐藤隆文長官や日銀の白川方明総裁と会談した。
 アリコは米国に本社を置き五十カ国以上で事業展開する。AIGは日本、海外一体でのアリコ売却を目指すとみられる。日本支店のアリコジャパンは医療保険や外貨建て年金の販売に強みを持ち、二〇〇七年度の保険料収入は一兆四千六百億円と国内五位。アリコ全体の保険料収入の六―七割を日本で稼ぐ。売却先次第では国内生保業界の勢力図に大きく影響する。



-----------------------------------------------

20081211 日本経済新聞 朝刊

行革相と厚労相合意
 甘利明行政改革担当相と舛添要一厚生労働相は十日、厚労省所管の独立行政法人、雇用・能力開発機構の存廃問題を巡って会談し、同省所管の別の独法、高齢・障害者雇用支援機構と統合させることで合意した。統合する機能は職業訓練業務に絞り、統合後の新独法の運営に労使代表らが参加する。数のうえでは独法が一つ減ることになるが、具体的な業務の効率化がどこまで進むかは不透明だ。
 行革相は厚労相との会談後、二法人の統合案について「年内に閣議決定したい。職員はスリム化する」と述べ、存廃問題が決着したとの認識を強調した。自らが二つの独法の統合案を提案したことも明らかにした。統合時期は今後詰める。
「妥協案」で決着
 雇用・能力開発機構を巡り、政府は年内に存廃の結論を出すとしていた。政府の行政減量・効率化有識者会議(座長・茂木友三郎キッコーマン会長)が九月に機構の廃止・解体を打ち出した一方、厚労省は雇用政策に国が責任を持つためにも国の組織として存続させる必要があると主張。厚労省は業務を縮小し、職業訓練に特化させる案を示したが、両者の隔たりは大きかった。
 行革相の提案は、同機構を廃止するという基本線は守りつつ、厚労省の主張通りに国の関与は残すという、いわば「妥協案」。厚労相は行革相案をほぼ丸のみし、厚労省が引き続き関与するという「実」をとった。
 雇用・能力開発機構を公益法人など国の別の組織に衣替えし、厚労省と経済産業省の共管とする案も浮上していた。だが結局は雇用・能力開発機構の業務を中小製造業の競争力強化に役立ちそうな職業訓練に絞り、高齢・障害者雇用支援機構と統合。統合後の新独法の運営に中小企業の代表らを参画させて、意見を反映しやすい仕組みとする方向で落ち着いた。
 独法改革は行政組織を縮小し、効率のよい「小さな政府」の実現が狙い。今回の合意により、形式的には雇用・能力開発機構はなくなる。しかしどれだけリストラが進むかは不透明さが残る。
 例えば雇用・能力開発機構の傘下にある全国約六十カ所の職業訓練施設について、行革相と厚労相は「都道府県の希望があれば運営を移管する」としただけ。全国に十カ所ある高度なものづくりの技術を教える「職業能力開発大学校」も、国の運営が事実上続く公算だ。
しごと館は廃止
 職業訓練の指導員を養成する「職業能力開発総合大学校」は「今後、役割を評価し、あり方を検討する」との合意にとどまった。一方、「私のしごと館」は廃止し、早期売却をめざす。
 統合先となる高齢・障害者雇用支援機構は、職業訓練機能で雇用・能力開発機構と重複する部分もあるが、相乗効果は未知数だ。統合までに具体的な合理化策を進めなければ「看板の掛け替え」で終わる恐れもある。
 ▼雇用・能力開発機構 二〇〇四年三月に独立行政法人化し、職員数は約四千人。雇用保険の約一千億円を財源に、失業者の再就職のための職業訓練や訓練指導員の養成をしている。職業訓練などのほか、中高生の職業体験や職業情報を提供する「私のしごと館」なども手掛けている。
 全国に約六十カ所ある職業訓練施設については、都道府県や民間へ移管するなどの効率的な組織運営を求める声が出ていた。私のしごと館には、巨額の赤字を垂れ流しているとの批判が相次いでいた。
 ▼高齢・障害者雇用支援機構 二〇〇三年十月に独立行政法人化し、職員数は約七百人。高齢者や障害者を雇用しようとする事業主向けに相談・支援事業をするほか、障害者の職業訓練などの就職支援を実施。高齢者の雇用状況を把握する調査研究などもしている。



-----------------------------------------------


20081211 日本経済新聞 朝刊

 参院予算委員会は十日、麻生太郎首相も出席し経済・社会保障に関する集中審議を開いた。首相は企業による新卒者の採用内定取り消しの増加について「これからスタートする人がかなり大きな失望を味わう。あってはならないことであり甚だ問題だ」と批判した。
 年内の衆院解散・総選挙の可能性に関しては「政局より政策と言っている」と否定。今年度第二次補正予算案の提出先送りは「二次補正、本予算、税制といったものを十二月末にパッケージで出す方がより適切だ」と説明した。
 医療スタッフが乗る救急専用の「ドクターヘリ」の導入を促進する意向も表明。社会保障費の年二千二百億円の抑制方針の見直しに関しては「最終的に財源を勘案したうえで、予算編成過程で検討する」と述べるにとどめた。



-----------------------------------------------