20081211 日本経済新聞 朝刊

 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が売却の方針を示した生命保険会社アリコについて、仏アクサ、米メットライフ、英プルーデンシャルの海外大手保険会社が新たに買収に関心を示しているもようだ。アリコを巡ってはすでに中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)が出資交渉をしている。AIGは年明けにも入札を実施し、売却先を決めるとみられる。
 CICは十一月、中国の保険会社と投資連合を形成し、アリコの株式を最大四九%取得する交渉に入った。欧米三社も買収交渉に加われば、アリコ売却は海外勢による争奪戦に発展する。買収価格は一兆円規模になるとの見方がある。
 AIGは米金融危機の深刻化で資金繰りが急速に悪化し、九月と十一月の二度にわたり米政府と連邦準備理事会(FRB)から公的支援を受け経営再建中。だが米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が、約百億ドルの取引で、かなりの損失が出る可能性があると報道するなど、損失が広がるとの見方も出てきた。
 AIGはより早く、高値で傘下の保険会社を売却したい考えとみられ、アリコについても交渉の対象を広げる可能性を探っているもようだ。九日にはエドワード・リディ最高経営責任者(CEO)が来日し、金融庁の佐藤隆文長官や日銀の白川方明総裁と会談した。
 アリコは米国に本社を置き五十カ国以上で事業展開する。AIGは日本、海外一体でのアリコ売却を目指すとみられる。日本支店のアリコジャパンは医療保険や外貨建て年金の販売に強みを持ち、二〇〇七年度の保険料収入は一兆四千六百億円と国内五位。アリコ全体の保険料収入の六―七割を日本で稼ぐ。売却先次第では国内生保業界の勢力図に大きく影響する。



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