20081211 日本経済新聞 朝刊

 与党は十日、今年度に基礎年金の国庫負担割合(現在三六・五%)を〇・八%引き上げる国民年金法改正案を継続審議にせず、廃案とする方針を決めた。野党の反対で年度内成立が見込めないと判断。引き上げ分として浮く形となる千三百五十六億円は旧政府管掌健康保険(現・全国健康保険協会)で新たに必要となる国庫負担に回す。
 政府は三分の一だった基礎年金の国庫負担割合を二〇〇四年度から毎年段階的に引き上げてきた。同法案の廃案で来年四月から国庫負担割合を二分の一とする目標実現に必要な財源は、当初見込みの約二兆三千億円から二兆五千億円程度に増大する。
 与党は旧政管健保への国庫負担のうち、約一千億円を大企業の健康保険組合に肩代わりさせる特例法案の廃案方針を固めている。国民年金法改正案を廃案にすれば、今年度の社会保障費の伸びを年二千二百億円抑制する目標の維持に活用できるとの思惑もある。
 政府は来年の通常国会に提出する今年度第二次補正予算案で、基礎年金への支出を減らして旧政管健保への国庫負担を増やす増減額修正を実施する見通しだ。


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20081211 日本経済新聞 朝刊

今後2年の購入分対象
 自民党税制調査会(津島雄二会長)は十日、来年から二年間に購入した土地について譲渡益の非課税枠を設ける方針を固めた。五年超の長期保有を条件とし、その後に売却して利益が出た場合は一千万円を上限に課税所得からの控除を認める。中小企業の法人税の軽減税率に関しては、現行の二二%を来年度から二―三年程度は一八%に引き下げる方向だ。
 十一日の党税調幹部会で原案を提示し、十二日にまとめる来年度与党税制改正大綱に盛り込む。
 土地譲渡益の非課税枠は法人、個人に関係なく適用する。時限措置で不動産取引の活性化を狙うとともに、長期保有を条件として短期転売による利益確保などを排除する。二〇〇九年に購入した土地を最短の五年保有で売却した場合、一四年以降の譲渡益から一千万円までの所得控除枠が利用できる。
 例えば四千万円で購入した土地を五年経過後に五千万円で売却した場合、申請すれば一千万円の譲渡益は全額が控除対象となる。現行制度で五年超の長期保有の土地の譲渡益課税は(1)個人は二〇%(所得税一五%、住民税五%)(2)法人は二二―三〇%(法人税)――となっている。
 〇九―一〇年に土地を購入した企業には法人税の優遇措置も設ける。新規に土地を購入した場合、それから十年間に他の保有地を売却して譲渡益が出ても八割(一〇年取得分は六割)程度の法人課税の繰り延べ(圧縮記帳)を認める。ただ課税を猶予する譲渡益は、新しく購入した土地の取得額を限度とする方向だ。
 譲渡益課税に関する減税措置は、柳沢伯夫税調小委員長が先月末に「三年間の非課税措置の検討」を表明。しかし「土地売却が増えて土地市場の需給が悪化する」との批判の声もあがり、当面の購入を促進しつつ短期の転売は抑制する方式に切り替えた。
 一方、十日の党税調幹部会では、資本金一億円以下の中小企業の所得金額のうち年八百万円以下の部分に適用される二二%の軽減税率について、二―三年程度は一八%に下げる方針も確認した。



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20081210 日経MJ(流通新聞)

家庭菜園・日曜大工を再開
ポイント
(1)定年後の団塊男性では三分の一は家計をかなり引き締めている
(2)国内旅行、パソコンなど多くの分野で趣味を持つ人が定年後増えた
(3)かつての趣味を定年後に再開する動きが余暇需要を堀り起こす
 団塊世代の大量退職が始まって二年目の年がもうすぐ終わるが、団塊男性は定年後に家計は引き締めつつも、趣味への出費意欲は旺盛なことが日経産業地域研究所の調査で明らかになった。旅行やパソコンなどは新たに趣味にする人が多く、ガーデニングや家庭菜園では、かつて経験した人が再び始めるケースも目立つ。いずれも団塊向けに有望な消費市場といえよう。(詳細は「日経消費マイニング」12月号に掲載)
 団塊世代は今年、五十九―六十一歳になる。産地研では昨年十月に続いて今年十月、全国のすでに六十歳定年になった男性を対象に「第二回定年団塊の消費実態調査」を実施した。回答者は定年後二年目と一年目の計四百三十八人。
 定年後二年目の六割強、一年目の七割強は継続雇用や再就職などで仕事をしているが、景気後退下で家計の引き締め意識は強く、「かなり引き締めている」が定年二年目で三四・四%を占めた(図表1)。十一月に実施した別の調査では、勤め人全体ではこの割合が二〇・〇%だったのに比べ一四・四ポイントも多い。定年一年目もほぼ同じ程度に引き締め意識は高い。
 「かなり」または「いくらか」家計を引き締めている人に引き締めている費目を尋ねると(複数回答)、外食が七二・一%で最も多く、「衣料・服飾雑貨など」が五九・五%で次いだ(図表2)。趣味では旅行が三四・二%にとどまり、ガーデニング(園芸)は三・三%とごくわずか。趣味の分野は引き締めたくないという意識がうかがえる。
 趣味については、取り上げた二十三分野のうち十九の分野で定年前よりも現在、趣味にしている人の数が多かった(図表3)。
 定年後に減ったのは「競馬・パチンコなど」(定年前に比べ四・九ポイント減)、「ゴルフ」(四・五ポイント減)、「登山・つり・ダイビングなどアウトドアスポーツ」(一・二ポイント減)、「テニス」(〇・八ポイント減)だけだ。
 現在、趣味にしている割合が七六・五%と最も高い国内旅行では、定年前より七・三ポイント増えた。これに次ぐパソコン(六八・八%)は一二・一ポイントと二ケタ台の増加。海外旅行も六・一ポイント増え、四〇・九%となった。
 旅行は定年退職の記念消費としても人気だ。〇七年の第一回調査(ネットの回答者での集計)では、定年記念に三四・四%が国内旅行、一四・一%が海外旅行に出かけていた。今回調査でも定年一年目の三四・六%が国内旅行に、また一二・六%が海外旅行に定年記念で出かけている。
 定年二年目では過去一年間に国内旅行に二回以上行った人が六〇・八%、海外旅行も過去一年間に行った人が二四・三%と堅調。今後も、国内旅行に年二回以上は行きたい人が六五・二%、海外旅行に年一回以上は行きたい人が三四・〇%を占め、旅行ニーズは高い。
 最近一年間で一番満足した旅行が「国内旅行」と答えた人を対象に「体験して良かったこと」を聞くと、「温泉に入る」が六二・二%で最も多く、「自然に触れる」(六〇・八%)が小差で続いた。団塊世代の利用が多いクラブツーリズムでは「山歩きなどガイド付きのツアーが人気」と話す。
 一方、一番満足したのが「海外旅行」の人では良かった点のトップは「名所・旧跡を訪れる」(六六・七%)だったが、「買い物」や「料理を楽しむ」を挙げた人も三―四割あり、目立った。
 定年前に比べた増加幅が最も大きいのは「家庭菜園や農作業」で一二・二ポイント増え、二一・五%となった。パソコンの一二・一ポイントが次ぎ、三番目は「ガーデニング(園芸)や日曜大工・庭いじりなど」で一一・〇ポイント増え、二九・六%となった。
 園芸と庭いじりを趣味にしている理由を尋ねたところ、最も多いのは「心が癒やされる、生活に潤いが出るから」で六八・九%。「生活に植物や緑があった方がよいから」(六七・二%)、「季節感を楽しめるから」(六〇・七%)も多い。定年後に家で生活を楽しむ雰囲気づくりの手段として重視しているわけだ。
 かつてやっていた趣味を定年を機に再開する動きも広がっている。今回、再開した趣味を尋ねたところ、定年二年目では「家庭菜園や農作業」を挙げる人が七・七%で最も多く、「園芸・日曜大工・庭いじりなど」「アウトドアスポーツ」もそれぞれ四・五%あった(図表4)。
 こうした経験のある趣味の再開は、リカレント市場と呼ばれ、余暇需要の掘り起こし策として注目され始めている。技能の習得などの消費者の“参入コスト”が低く、新規顧客の開拓よりは費用対効果が高いからだ。
 世界的な金融危機と景気減速の中で、定年後の生活が厳しくなる不安も高まっている。趣味を続ける場合も、コストをかけない楽しみ方の提案が今後、求められよう。
(日経産業地域研究所
主任研究員 永家一孝)
 ▼調査の概要 調査は日経リサーチに委託、十月に同社の消費者モニターのうち六十歳で定年退職した男性にインターネットで実施。回答者数は〇七年一―九月に定年を迎えた「定年二年目」が二百四十七人、同年九月―〇八年九月に定年を迎えた「定年一年目」が百九十一人。


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20081210 日本経済新聞 朝刊

住民税控除を組み合わせ
 二〇〇九年度与党税制改正大綱の原案が九日、明らかになった。税制改正で個人に最も影響がありそうなのは住宅ローン減税の大幅な拡充だ。一般住宅より寿命が長い「長期優良住宅」を一一年末までに新築し入居した場合、所得税額から差し引ける金額は、十年間の合計で最高六百万円になる。所得税から引ききれない分は住民税からも控除できる仕組みを導入し、所得が多くない人でも恩恵を受けられるようにする。
 新制度で優遇を受けられるのは、新築住宅に〇九年から一三年までに入居する人。マンションの購入も対象になる。すでに住宅ローンを利用している人や、今後借り換える人は対象にならない。省エネルギーやバリアフリーのための改修については、一〇年末まで優遇策がある。
最高600万円控除
 税制改正大綱の原案によると、耐震性や省エネなどの性能が高い「長期優良住宅」については、十年間で最高六百万円の税額控除を受けられるようになる。年間で六十万円、税金が安くなる計算だ。十年間合計の六百万円は過去最大規模。現在の優遇策の百六十万円から大幅に拡大する。
 一般住宅については最高五百万円(年五十万円)の控除が受けられる。国土交通省はこの住宅ローン減税で、年間四兆円程度の経済波及効果があるとみている。
 ただ最大規模の減税を受けられるのは一定の期間までに入居した人だけだ。長期優良住宅の場合は〇九―一一年に入居した人に限って、十年間の合計で最高六百万円の税額控除が受けられる。だが一二年入居なら四百万円、一三年なら三百万円にとどまる。一般住宅の場合も、五百万円の控除を受けられるのは〇九―一〇年に入居した人に限られ、その後は控除額が少なくなる。
 所得税の納付が多くなくても、減税効果が出るようにする。たとえば夫婦と子供二人の世帯の場合、年収七百五十万円の人で一年に納める所得税の額は二十三万円程度。税額控除の上限がいくら上がっても、所得税から引ききれない。
 このため所得税から引ききれない分について住民税から最高九・七五万円を控除できるようにする。
投資減税も可能
 耐久性が高い優良住宅を購入した場合は、お金を借りなくても減税される「投資減税」も利用できる。耐久性などが優れる優良住宅は一般に普通の住宅よりも建築費が高いため、割高になった部分(かかり増し費用)の一〇%をその年の所得税から差し引く仕組みだ。税制優遇を利用するには一一年末までに入居する必要がある。
 省エネやバリアフリーの改修工事についても、標準的な工事費用か実際にかかった工事費用のうち、少ない方から一〇%を税額控除する。例えば省エネ改修の場合、すべての窓を改修した場合やその工事とあわせて行う床や天井の断熱工事などが対象となる。こうした認定を受けるには、建築士などの証明が必要になる。
 個人にとって影響が大きそうな証券税制では、株式の譲渡益と配当に対する軽減税率(一〇%、本則二〇%)を一一年まで継続する。小口投資家に対して、株式配当などの一定額を非課税にする制度も今後導入する方向だ。ハイブリッド車など環境に配慮した車については、二年程度に限定して自動車重量税や自動車取得税を軽減する。

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20081210 日本経済新聞 朝刊

 金融庁は二〇〇九年度の税制改正で要望している保険料控除制度の見直し案を修正した。控除の総額を所得税で現在の十万円から十五万円に引き上げる要望案を出していたが、財務省が難色を示したことで、十二万円に引き下げた。十日に開く自民党の財務金融部会・金融調査会で報告する。

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