20080521 日本経済新聞 夕刊

 中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)は二十一日、後期高齢者医療制度の診療報酬に関する見直し論議に入った。回復の見込みが乏しいとみられる七十五歳以上の治療方針を患者と医師らがあらかじめ話し合って文書にまとめた場合、医療機関に報酬が支払われる制度の是非が焦点。与野党から「医療費削減ありきで延命治療の中断につながる」との批判が出ていたためだ。
 この制度は「終末期相談支援料」と呼ばれ、今年度に改定された診療報酬で定められている。患者が元気なうちに自らの意思で終末期の延命治療の有無などを決めておくようにする狙いがある。ただ民主党から「延命治療をやめろといっているようなものだ」などの批判があるほか、与党内でも見直し論がある。
20080521 日本経済新聞 夕刊

 訪問介護大手コムスンの不正問題を受け、事業者規制の強化策を盛り込んだ改正介護保険法は二十一日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。周知期間を経て来年施行する。同法は組織的な不正行為が疑われる場合は国や自治体が事業所の本部に立ち入り検査し、是正を勧告・命令できるようにするのが柱。

乳癌(がん)腫瘍の成長(増殖)速度(growth rate)は患者によって異なるが、若い女性ほど速い傾向があることが、ノルウェーの研究者らによって示され、医学誌「Breast Cancer Research」オンライン版5月8日号で報告された。研究者らは、今回の知見がスクリーニングプログラムや臨床試験、他の研究の計画や評価に有用であるとしている。

今回の研究で、ノルウェー癌登録機構病因研究部門のHarald Weedon-Fekjr氏らは、新しい数学モデルを用いて、マンモグラフィ(乳房撮影)で検出可能な乳癌の数を推定することにも成功。これは、腫瘍の成長速度とマンモグラム(乳房X線像)の腫瘍検出能を同時に推定する新しいアプローチである。同氏らは、50~69歳の女性39万5,188人のマンモグラフィ結果を用いて、このモデルを検証した。

その結果、腫瘍の成長速度は患者によって有意に異なることが判明した。腫瘍20個のうち約1個が1カ月で10mmから20mmへ2倍の大きさになったが、2倍になるまで6年以上かかった腫瘍も同数認められた。この結果に基づき、同氏らは、腫瘍が2倍になるには平均1.7年かかると推定した。

腫瘍の成長速度は若齢女性のほうが速く、加齢とともに遅くなった。また、マンモグラフィによるスクリーニングテスト感受性は、腫瘍が大きくなると著しく上昇し、5mmの腫瘍は検出率が26%であったが、10mmの腫瘍では91%にまで上昇した。Weedon-Fekjr氏は「乳癌スクリーニングプログラムの感受性の意義は大きい」と述べている。

米国癌協会(ACS)のDebbie Saslow氏は「今回の研究で、40歳以上の女性にはやはりスクリーニングが必要で、若いほど腫瘍の成長が速いことが示された。若齢女性は1~2年毎、高齢女性は毎年スクリーニングを受けるべきというガイドラインは理にかなっていない」と述べている。




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20080521 日本経済新聞 朝刊

 民主、共産、社民、国民新の野党四党は二十日、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)を二〇〇九年三月末に廃止する法案を二十三日に参院に提出する方針を固めた。六月上旬に可決する構えで、年金問題の実態解明に向けた国政調査権発動も検討する。与党は廃止には応じない考え。論戦がかみ合わず、盛り上がりを欠く終盤国会となる可能性もある。
 野党四党は二十日の政策担当者会議で法案を決定、その後の国会対策委員長会談で法案を六月上旬まで参院で審議することを確認した。これに先立つ民主党の幹部協議では月内に参院採決する方向となっていたが、「衆院に送っても(与党が)まともに審議に応じない」(山岡賢次国対委員長)との見方が強まり、来月上旬まで審議する方向となった。
 与党が衆院で法案をたなざらしにすれば、六月十五日の会期末まで二週間以上も野党が追及の場を失うことになりかねない。野党は多数を占める参院をフル活用し、終盤国会で存在感を示すためにも早期の衆院送付は得策でないとみている。山岡氏は二十日の記者会見で「六月二日の週いっぱいかけて徹底審議をする」と強調。地方公聴会や参考人質疑などで高齢者らから意見を聴取する構えだ。
 野党が年金・医療問題の審議を重視する背景には、「ほかに攻めどころが見当たらない」(民主党幹部)という現実もある。
 福田政権が解散・総選挙も棚上げする姿勢を貫けば、野党側は攻めあぐねることになる。野党四党は二十三日の廃止法案の参院提出直前にも幹事長・書記局長会談を開き、審議での追及方法などを詰める。
 一方、自民、公明両党は二十日、国会内で後期高齢者医療制度への対応を検討するプロジェクトチームの初会合を開き、制度見直しの本格検討に着手。野党の制度廃止法案の国会審議が来週に始まる見通しとなったことを踏まえ、取りまとめ時期を当初予定の六月から月内に前倒しすることで一致した。
 制度の骨格を維持し、政省令改正で低所得者層の保険料負担の減免拡大などを実施することでも大筋合意。座長を務める自民党の鈴木俊一社会保障制度調査会長は記者団に「制度の枠組みを維持するとの認識は共有できた」と強調した。
 尾辻秀久参院議員会長も民放CS番組の収録で「骨格はこれしかない」と語った。与党は廃止法案の審議では制度の必要性を訴えるとともに、野党側に後期高齢者医療制度に代わる対案の提出を求めていく方針だ。


20080521 日本経済新聞 朝刊

 福田康夫首相=似顔=は二十日夕、野党四党が後期高齢者医療制度廃止法案の今国会提出を決めたことについて記者団に「元に戻して本当にいいのかなあと思う。若い世代の人たちがそれでいいのか、よく考えなければならない」と述べ、現役世代の負担増への懸念を強調した。
 首相は「前の老人保健制度ではどんどん増える高齢者を支えるのは無理だということで、高齢者に集中的に税金を投入しようと決めた」と導入理由を説明した。