20080521 日本経済新聞 朝刊
民主、共産、社民、国民新の野党四党は二十日、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)を二〇〇九年三月末に廃止する法案を二十三日に参院に提出する方針を固めた。六月上旬に可決する構えで、年金問題の実態解明に向けた国政調査権発動も検討する。与党は廃止には応じない考え。論戦がかみ合わず、盛り上がりを欠く終盤国会となる可能性もある。
野党四党は二十日の政策担当者会議で法案を決定、その後の国会対策委員長会談で法案を六月上旬まで参院で審議することを確認した。これに先立つ民主党の幹部協議では月内に参院採決する方向となっていたが、「衆院に送っても(与党が)まともに審議に応じない」(山岡賢次国対委員長)との見方が強まり、来月上旬まで審議する方向となった。
与党が衆院で法案をたなざらしにすれば、六月十五日の会期末まで二週間以上も野党が追及の場を失うことになりかねない。野党は多数を占める参院をフル活用し、終盤国会で存在感を示すためにも早期の衆院送付は得策でないとみている。山岡氏は二十日の記者会見で「六月二日の週いっぱいかけて徹底審議をする」と強調。地方公聴会や参考人質疑などで高齢者らから意見を聴取する構えだ。
野党が年金・医療問題の審議を重視する背景には、「ほかに攻めどころが見当たらない」(民主党幹部)という現実もある。
福田政権が解散・総選挙も棚上げする姿勢を貫けば、野党側は攻めあぐねることになる。野党四党は二十三日の廃止法案の参院提出直前にも幹事長・書記局長会談を開き、審議での追及方法などを詰める。
一方、自民、公明両党は二十日、国会内で後期高齢者医療制度への対応を検討するプロジェクトチームの初会合を開き、制度見直しの本格検討に着手。野党の制度廃止法案の国会審議が来週に始まる見通しとなったことを踏まえ、取りまとめ時期を当初予定の六月から月内に前倒しすることで一致した。
制度の骨格を維持し、政省令改正で低所得者層の保険料負担の減免拡大などを実施することでも大筋合意。座長を務める自民党の鈴木俊一社会保障制度調査会長は記者団に「制度の枠組みを維持するとの認識は共有できた」と強調した。
尾辻秀久参院議員会長も民放CS番組の収録で「骨格はこれしかない」と語った。与党は廃止法案の審議では制度の必要性を訴えるとともに、野党側に後期高齢者医療制度に代わる対案の提出を求めていく方針だ。