20080819 日本経済新聞 朝刊

 物価の上昇が響き、消費者が食品や日用品などの節約志向を強めている。総務省がまとめた六月の家計調査では、生活必需品を含む「基礎的支出」が物価変動の影響を除いた実質で前年同月比三・九%減り、四カ月連続で減少した。一方、ライフスタイルを反映する家電などの「選択的支出」は一・四%増と二カ月連続で増加している。通常の景気低迷期とは違って、生活必需品を中心に切り詰めているようだ。
 家計調査(二人以上の世帯)の基礎的支出には多くの食品やガソリン、電気・ガス代などが含まれる。名目では〇・五%減。六月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が前年同月比一・九%上昇したが、基礎的支出の品目はこれを上回る三・五%上昇となった。
 消費者は景気が悪くなると選択的消費を削り、基礎的支出を維持しようとする傾向がある。今回はガソリンや食品の値上がりが大きく、物価全体が大幅に上がっているわけではない。一部の家電製品など実質的に値下がりしている品目もあり、割高感が強い食品や日用品などの節約が強まっているようだ。
 第一生命経済研究所の新家義貴氏は「商品ごとの相対価格が大きく変わっており、基礎的支出と選択的支出の区分にかかわらず、値上がり品目の購入が手控えられている」と話している。
 基礎的支出については、ガソリンや食パンなどの値上がり品目が名目で増えているが、実質では減少している。六月のガソリンへの支出は実質で六・三%減。ニッセイ基礎研究所の分析によると、一回当たりのガソリン給油量は三十・三リットルで前年同月に比べ一一・三%減った。給油量を少なくして、ガソリン価格が下がるのを待っているとの見方がある。
 小麦価格の上昇で値上がりした食パンへの支出も実質で六・八%減った。スパゲティは三・六%減。価格が安定しているコメを食べる機会を一部増やしているようだ。
 一方、選択的支出は名目一・九%増、実質一・四%増となった。デジタル家電への需要は根強く、ビデオデッキやカメラなどは名実ともにプラスだった。
 ただ「北京五輪の効果もあってデジタル家電は売れたが、海外旅行や外食などの支出は抑えている」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)という。
 内閣府が発表した四―六月期の国内総生産(GDP)統計の形態別にみた個人消費でも、同じような傾向となった。ガソリンや食料品などを含む「非耐久財」は前期比で実質一・九%減ったのに対し、パソコンやテレビなどを含む「耐久財」は二・八%増加した。
【図・写真】食品などの値上がりで購入をためらう消費者が増えているようだ(都内のスーパー)




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8月18日12時36分配信 医療介護CBニュース


 今後、政府に力を入れてほしい分野として、医療や年金などの社会保障構造改革を挙げる人が7割を超えることが、内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」の結果から分かった。これは、現在の形での集計が始まった98年以降では最多の水準で、改革を望む割合は、女性の方がより高かった。


 調査は、現在や今後の生活に関する意識や要望を明らかにする目的で、今年6月12日-29日に掛けて実施。全国の成人1万人が対象で、6146人から回答を得た(有効回答率61.5%)。

 それによると、今後、政府に力を入れてほしい分野として「医療、年金等の社会保障構造改革」を挙げた人は全体の72.8%で、昨年の同調査の72.4%から微増。これに「高齢化対策」57.2%が続いた。

 社会保障改革に対する要望は、06年に72.7%と7割を超え、98年以降最多になった。今回は、これを2年ぶりに更新した。

 社会保障改革を望む人の割合は、男性が67.7%だったのに対し、女性は77.3%だった。特に、主婦の78.5%が改革を望んでいた。
 また、年代別では40歳代が76.7%と最も多く、これに50歳代の74.8%が続いた。40歳代女性の8割以上が改革を望んでいることも分かった。





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 政府は7月29日、社会保障の機能強化のために実施する緊急対策(「5つの安心プラン」)を公表した。医療関係では、医師養成数を抑制していたこれまでの方針からの転換を明記。過去最大程度にまで増員するための具体策を年度内に検討する。また、勤務医や看護師が長時間勤務しなくても済むよう、短時間正規雇用や交代勤務制を導入する医療機関への財政支援も検討する。このほか、病状に応じて受診先を振り分ける「管制塔」的な役割を果たす医療機関の整備も目指す。来年度から新たに実施する施策について必要経費を8月の予算概算要求に反映させるほか、法整備を含めた制度の見直しも検討する。
5つの安心プランは、▽高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会 ▽健康に心配があれば、誰もが医療を受けられる社会 ▽未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会 ▽派遣やパートなどで働く人が将来に希望を持てる社会 ▽厚生労働行政に対する信頼回復―の項目ごとに、これらを実現させるために緊急に講じる必要がある対策と実施工程を示した。

 高齢者が安心して暮らせる社会づくりのための施策には、介護労働者の人材確保や、福祉・介護サービス分野への新規従事者の定着促進などを挙げた。来年度の予算概算要求に経費を盛り込む。また、サービス提供体制の改革や人材確保を図るために適切な報酬を来年度の介護報酬改定で設定する。

 一方、誰もが医療を受けられる社会づくりでは、▽短時間正規雇用や交代勤務制を導入する医療機関への財政支援 ▽管制塔の役割を担う医療機関の整備 ▽業務負担が特に多い休日・夜間の救急に従事する勤務医への支援―などの施策を列挙。また、勤務医が本来の業務に専念できるよう、メディカルクラークの普及や看護師との役割分担にも取り組む。必要な経費を概算要求に反映させるとともに、地域医療の確保などに向けた診療報酬体系について来年度中に検討するとしている。

 医師の養成数では、過去最大程度にまで増員させる方針を明記。そのための具体策を年度内に固める。同時に、実習環境や指導体制など医学教育環境の整備のための経費を予算概算要求に反映させる。

 このほか厚生労働行政への信頼回復については、有識者や大臣が参加する懇談会で改善策を議論する。懇談会で議論した内容は、最終報告を待たずに業務改善など具体的な動きにその都度反映し、早期の信頼回復につなげる。







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 舛添要一厚生労働相の提案で設置された厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン会議」の初会合が7月24日に開かれ、介護をめぐる現状と課題について意見交換した。公務のため途中から出席した舛添厚労相は、「介護報酬を上げただけで終わりではなく、介護の現場の方々が『今は苦しいけれども、必ず明るい未来がある』と思えるような長期的なビジョンがないといけない」と述べ、同会議の議論に期待を寄せた。意見交換では、「現実的な課題の解決か、長期的なビジョンの策定か」という今後の議論の方向性が焦点となったが、舛添厚労相は双方を“車の両輪”として取り組む意向を示した。(新井裕充)
冒頭、座長に就任した前田雅英氏(首都大学東京都市教養学部教授)が「皆さんの協力を得て、円滑な議事運営に努めたい」とあいさつ。「事務局から資料について説明してもらった後、フリーディスカッションの形式で皆さんから意見を頂きたい」と述べ、議事に入った。

 この日の議題は、「安心と希望の介護ビジョンについて」で、配布資料は「開催要項」(資料1)と「介護を取り巻く状況」(資料2)の2点。厚労省老健局の大澤範恭・総務課長が、資料に沿って説明した。

 「開催要項」では、同会議の目的や検討事項を提示した。高齢化の進展に伴う介護費用の増大など、介護制度をめぐるさまざまな問題に対処するため、将来を見据えた制度改革の必要性を指摘。同会議の目的について、「あるべき介護の姿を示す『安心と希望の介護ビジョン』の策定を進めるため、本会議を開催する」とした。
 今後の検討事項は、(1)自助・公序・共助を組み合わせたケアの構築(2)持続可能な介護保険(3)介護を担う介護従事者の人材確保(4)医療サービスと介護サービスの適切な提供(5)都市部や地方などの地域ニーズに対応した地域ケア構想のための仕組みづくり―の5点。介護報酬の引き上げなど財源の手当てに頼った政策よりも、地域のネットワークを生かした、“財政抑制型”のトーンが強い。

 「介護を取り巻く状況」の資料の最初のページでは、やはり「75歳以上の高齢者の増大」を挙げた。2ページで「平均寿命の国際比較」を示し、「わが国の平均寿命は男性79歳、女性が86歳であり、世界の中で最も高い」との一行を罫線で囲んで強調。高齢化が猛スピードで進んでいる日本の現状を具体的なデータで示した。
 資料は以後、介護をめぐるこれまでの政策や介護保険制度の仕組みなどを紹介した上で、「介護保険財政の動向」という“本題”に入っていく。
 資料によると、2000年度に3.6兆円だった介護保険の総費用は、08年度予算で7.4兆円と倍増。同年4月末に2165万人だった「第1号被保険者」(65歳以上の被保険者)は、07年11月末に2722万人に増加している。

 大澤課長は配布資料の説明を終えた後、社会保障制度の抜本改革を検討する「社会保障国民会議」に触れた。「今後、社会保障国民会議では将来費用の推計を行った上で、この秋を目途に最終報告書を取りまとめる予定と聞いている。社会保障国民会議の今後の状況も見ながら、『介護ビジョン』の策定に向けた議論をお願いしたい」とクギを刺して締めくくった。

 前田座長は「第1回の会合なので、各委員から発言をいただきたい。1人3分をめどに“あいうえお順”で発言していただきたい。まずは石川委員から」と指名した。







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■介護は“地域力”か
 石川誠委員(初台リハビリテーション病院理事長)は、リハビリ専門医の立場から問題点を指摘。医療と介護の橋渡しになる「維持期のリハビリ」が円滑に進むような制度になっていないことや、主治医とケアマネジャーとの連携が不十分であることなどを挙げた。さらに「医療と介護を一体化して包括的にやろうという意識改革が遅れている。ケアマネジャーには大変優秀な人と、『ちょっとどうかな』という人がいて、玉石混交だ。医療と福祉が一緒にできるムードが高まると、介護保険はもっと良い制度になる」と述べた。

 石川良一委員(稲城市長)は、“地域力”を強調した。「会議の検討事項に『自助・公序・共助』とあるが、防災活動などでは『自助・共助・公序』の順だ。地域力、つまり“共序”をいかに見直して再構築するかが重要だ」と指摘した上で、稲城市の「介護ボランティア制度」を紹介。「これは、『お互いが助け合う』という共助の再構築をしていく一つの試金石になっている。医療も含めて『負担が限界点に達している』と言われる中、地域でフォローする体制が求められている」と述べ、“地域力”を介護や福祉の分野に生かすことが、「介護保険における負担と給付」問題の解決策の一つになるとした。

 太田差惠子委員は、利用者の視点から介護制度の問題点を指摘した。太田委員は、離れて暮らす親のケア(遠距離介護)を考える特定非営利活動法人(NPO法人)「パオッコ」の理事長で、働きながら故郷の親を介護する人たちへの支援活動を展開している。
 太田委員は「介護というと『身体的介助』を思い付くが、介護とは人の生き方をサポートすること。生き方が多様化する中、情報も分散しており、どこにどんなサービスがあるのか、たどり着くのが大変な状況だ」と指摘。介護に関する正しい情報の集約化や、“情報の仲介役”となるケアマネジャーのサービスが利用者に分かりやすい環境の整備を求めた。

■厚労省の意向に沿った発言?
 続いて、駒村康平委員(慶應義塾大経済学部教授)が、経済学の視点から今後の議論の方向性や論点を具体的に示した。「3つの視点がある。どういう時間軸で議論するのか、理想の姿を目標に据えて議論するのか、現行制度からベターなものを積み上げて議論するのか」

 その上で、介護保険制度を構成する“3つのセクター”として、「本人・家族・地域というセクター」「財政と給付のセクター」「サービス提供者・労働サイドのセクター」を挙げ、それぞれに関連する論点を具体的に提示。「資源の確保ができなければどうしようもない。経済学の視点から議論したい」と述べた。

 まるで最終報告書の取りまとめのような“仕切り”を見せる駒村委員に、前田雅英・座長(首都大学東京都市教養学部教授)が“待った”をかけた。「先ほどは『あいうえお順』と申し上げたが、(発言者が)あっちに行ったりこっちに行ったりするのも不自然なので、わたしから一言申し述べさせていただく」と断った上で発言した。
 「わたしがこの会議に呼ばれた理由の一つは、20年間母親の介護をしてきたからだろう。介護保険制度ができる前、在宅介護には大変なコストが掛かった。家内は仕事を辞めて母親を介護したが、その間のバトルは大変なものだった。介護保険制度ができて本当に良かったと思うが、うまくいっている面もあれば問題点も多くある。(問題解決に向けて)いろいろなレベルから議論していただきたいが、法律家にとって、“革命”は駄目。格好良い議論はできないが、一歩ずつ良くしていくこと、一歩ずつ進むことが何よりも大事だ」

 前田座長が割り込んで発言した後、再び「あいうえお順」に戻って各委員が発言。袖井孝子委員(お茶の水女子大名誉教授)が「公的サービスの限界」に切り込んだ。
 「介護保険でどこまでカバーすべきかをきちんと議論すべきだ。何でここまで介護保険でやらなければいけないのか、その本質的なものは何かを洗い直す必要がある。『自分でやればいいのではないか』と思うものもある。もう少しシンプルに設計し直して、何もかも取り込まない方がいい。そうしないと、ますます財政的に厳しくなってしまう。稲城市のように“地域力”、NPOとかボランティアとか、インフォーマルなケアを使っていかないと、やれない。無理だ。家族がどこまでやるべきか、ある程度の痛み分けが必要で、国民の側も我慢すべきだ。『利用者本位』とか『権利』などが広がってくると、歯止めが効かなくなる」
 袖井委員の発言を、老健局の鈴木康裕・老人保健課長は大きくうなずきながら聞いていた。







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