20090124 日経プラスワン

 家庭ごみの約三割を占める生ごみ。その大半が調理くずや本来なら口に入る食べ残し、期限切れ食品なので、上手に減らせれば家計にも環境にも優しい。インターネット調査会社のマクロミルを通じ、女性を対象に期限切れや開封済み食品に関する判断を尋ねた(一月上旬実施、有効回答数千三十)ところ、開封したバターをいつまで使うかでは「一カ月以内」と答えた人が約三割で最も多かった。
 消費期限と賞味期限は別物だ。弁当や総菜など傷みやすいものに義務付けられるのが消費期限。一方、比較的長持ちする食品が対象なのが賞味期限で、その日付までなら「おいしく食べられる」とメーカーが保証するもの。たまごは「生食の期限」(日本養鶏協会)だ。
 ただし、ともに「決められた保存条件のもとで」「未開封なら」というのが条件。開封後は早めに食べたい。旭化成ホームプロダクツの調べではマヨネーズやケチャップ、ドレッシング類の開封後の冷蔵保存の目安は一カ月と、記載された賞味期限より大幅に短くなる。
 購入、開封から時間のたった食材とどう付き合うか。東京農業大学教授の徳江千代子さんは「におい、見た目、味など五感を磨いて判断して」と話す。
 やむを得ず食材を捨てる理由で多かったのが「特売品などをつい買いすぎる」「予定を変更して外食したり、総菜を買ってきたりしてしまう」というもの。こんな場合は、食材保存の巧拙が無駄の有無に直結する。
 期限日の表示義務がない野菜。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会の小林かおるさんは「生育環境と同じになるように保存して」と話す。例えば上に向かって成長するほうれん草やアスパラガスなら、冷蔵庫の野菜室内で立てるように置くといい。土中で育つじゃがいもなど根菜類は、庫外の涼しい場所が基本だ。白菜や大根などカットして売られている場合は、野菜室に。
 小林さんは「風味の落ちた野菜を食べて野菜嫌いになる子どもは多い」とみる。ストックがないと不安という人には「旬の時期に瞬間・急速冷凍され、風味や栄養を逃さないよう造られている」として、市販の冷凍野菜の活用をすすめる。
 料理研究家の堀江ひろ子さんに「半端に残った野菜を使うおすすめレシピ」を聞くと(1)甘酢でごぼうやれんこん、きのこ類を煮込む甘酢煮(2)(うまみや栄養分の多い)皮のきんぴら(3)野菜を細かく刻んでつくるキーマカレー――を挙げた。甘酢煮は冷蔵庫で十―十四日持つという。
 保存の際の一手間も重要。堀江さんによると、かぶは買ったらすぐ葉を落とし刻んで塩もみするか、ゆでる。鶏肉なら照り焼きのタレに漬けておくことで、冷蔵庫での日持ちが数日違うという。
 冷凍は「新鮮なうちに」「小分けして」「なるべく短時間で凍らせる」のが大原則だ。おかずなら、作りたてを冷ます。スライス肉ならトレーから出して広げ、ラップで包んで冷凍し、凍ったら専用保存袋に移す。保存袋に入れることで、庫内のにおいを吸ったり、乾燥して酸化したりするのを防ぐことができるからだ。
 食品の保存場所としてよく目にする「冷暗所」とはいったいどんな場所か。東京農大の徳江さんは「常温よりも低い温度に保たれ、光の当たらない場所」と説明する。
 かつての日本家屋の多くは北側に台所があり、この条件に当てはまっていた。住宅の高気密化や、居間と台所を日当たりの良い場所に一体配置する設計が広がり「現代の冷暗所は、冷気の安定した冷蔵庫の野菜室が最適になった」。
 パナソニックによると、米や調味料などを野菜室で保存する家庭は増えているという。気を付けたいのが、野菜を押しつぶすようなしまい方をしないようにすること。
 冷蔵室も詰め方には注意を。詰め込みすぎると、冷気の通り道がなくなって室内の温度が偏るからで「満杯時の七割程度の詰め方なら、電気代も一割程度の節約につながる」という。

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20090124 日本経済新聞 朝刊

 「トヨタ、日生、三井、住友グループ。日本有数の顧客基盤を持つ保険グループになる」。都内ホテルで記者会見した三井住友海上の江頭敏明社長はこう強調した。
「シェア30%超」
 三社合算の損害保険料収入は〇八年三月期の連結ベースで二兆七千三百億円。東京海上を二千億円超上回る。「国内では、あらゆる分野の保険でシェア三〇%を超える」(江頭社長)という“メガ損保”の誕生だ。
 三社を動かしたのは国内市場の低迷。損保二十六社の〇八年九月期の保険料収入は二・六%減。〇九年三月期はさらに落ち込むのは必至だ。今後も自動車販売、住宅需要の減少が続く見通し。株安などで運用部門の収益環境も悪化。「経営効率の改善が必要という認識で三社が一致」(ニッセイ同和の立山一郎社長)し、再編を決断した。
 再編は損保だけで動き出したわけではない。あいおい損保の筆頭株主であるトヨタ自動車とニッセイ同和の経営権を握る日本生命保険の二社が損保の将来に危機感を示した。そこに、常に再編の機会を探っていた三井住友海上が加わった。
 損保の前回の再編は〇一年から〇二年にかけて。大手銀行の大再編を受けて金融系列にとらわれない再編が進んだ。保険自由化が始まり、系列の銀行にも頼れない状況に陥り、相次いで再編が起きた。今回の金融危機では国内の銀行・証券の再編に先駆け、まず損保が動き出した。再編が一組誕生すればバタバタと再編が動く可能性がある。「銀行の三メガ体制のように損保も三大グループになる」(大手損保幹部)との指摘もある。
消費者にも利点
 損保の「メガ化」は消費者にとってもメリットがありそうだ。これまでは東京海上が商品の保険料設定などでリードしてきたが、「同格」損保の誕生で、あらゆる面で競争する構図になれば、保険料の引き下げや契約者へのサービス充実につながる可能性がある。
 統合会社の最大の課題は効率化の徹底だ。金融再編では常に主導権争いにつながるシステムの共有化をどう進めるか。成長が見込める海外事業はどこに重点を置くのか。「三社統合はトップの意見調整が難しい」とされるなか、「経営の選択と集中」が試される。

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20090123 日経MJ(流通新聞)

電子チラシや冷蔵庫管理… サイトをフル活用
 スーパーなどでの日常の買い物の際、携帯電話を巧みに活用する主婦が増えている。モバイルサイトの進歩によって、小さな画面の中には、様々な店のチラシ比較や、数十万ものレシピ検索など、驚くほど多様な情報が集まってきているのだ。片手で様々な機能を呼び出し、スマートに消費する「ケータイ主婦」の進化する買い物術を追った。
 「最近は買い物のときはケータイを手放せないですね」。神奈川県在住の主婦、矢野きくのさんは、凸版印刷が運営する電子チラシサイト「シュフー!」のケータイ版画面を見ながら話す。シュフーは2001年から始まった、全国各地のスーパーやドラッグストアなどのチラシをインターネット上で閲覧できるサイト。昨年11月から携帯電話でも利用可能になった。ケータイ版の特徴は全地球測位システム(GPS)を使い、自分が現在いる位置の近くにある店の場所やチラシを手軽に調べられること。矢野さんはこの機能がお気に入りだ。
 家計運営などについて著作があり、節約アドバイザーとして活動する矢野さんはテレビ番組ロケなどで様々な場所に出かけ、自分の買い物の時間は決して多くない。そこで、最近は仕事が終わった場所で、GPS検索を活用。近くにある店を調べ、お買い得品があれば、そこで買い物を済ませて帰る。「思わぬ掘り出し物が見つかることも多いし、色々な地域のチラシに目を通すと相場観が養われて普段の買い物にも有益」と満足げな矢野さん。
 「子供が小さいと、やっぱりパソコンや本よりケータイですね」。こう話す埼玉県在住の高橋亜紀さんは生後8カ月の息子、陽貴ちゃんを抱っこしつつ、上手にケータイを操る。高橋さんはレシピ投稿・検索サイトのクックパッド(東京・港)が手がけるモバイルサイト「モバれぴ」愛用者。同サイトはパソコン版クックパッドと同様に約46万ものレシピが検索できる。
 結婚前まで料理経験が少なかった高橋さんは友人に聞き、2年ほど前から同サイトを使い始めた。以前はパソコン版のクックパッドも試したり、別のレシピ本を買ったりもしたが、陽貴ちゃん誕生後は完全にケータイ派に。両手がふさがるパソコンや本と違い、ケータイなら子供をあやしながらでも片手で短時間に情報収集ができるからだ。
 最近は自分や夫用の料理に加え、陽貴ちゃんの離乳食メニューも同サイトで調べる高橋さん。買い物に出かける前には、モバれぴでその日の料理に必要な食材などの情報を出し、内容をさっとメモして出発する。「買い物時間が短縮でき、買い過ぎも減った気がする」という。
 「今ではケータイが買い物メモの代わり」と話すのは東京都在住の斎藤由佳さん。ウェブサイト製作のアースゲート(横浜市)が運営する賞味期限管理サイト「ショミカン」を昨年春から使う。同サイトは、自分が購入した食品の賞味期限を登録すれば、期限が近づくとケータイなどに通知してくれる。斎藤さんは以前は節約しようと特売情報をまめに集めていたものの、「安いと思うと、つい買い過ぎて結局、無駄にすることが多かった」。今は買い物から帰ると、冷蔵庫にしまう前に、ショミカンに期限登録するのを習慣にしている。
 こうしておくと、期限が迫った食品の通知はもちろん、現在の冷蔵庫の中身を思い立ったときにいつでもケータイを通してチェックできる。最近はスーパーなどの店内でもケータイを使って同サイトを見ながら買い物しており、買い過ぎは大きく減少。「ショミカンを使い始めた後、月間の食費がおよそ2万円も節約できるようになった」(斎藤さん)
 ケータイをメモ代わりに使う方法はほかにもある。冒頭に登場した矢野さんはケータイ内蔵のデジカメを駆使。定期的に冷蔵庫の中身を撮影して買い物前に見ておく。視覚的に自分の家の食品の『在庫』を把握できるため、「こまごまとメモをとるのが面倒なときでも、買い過ぎ防止に効果がある」(矢野さん)というわけだ。
 使うサイトの中身は様々でも『ケータイ主婦』の行動に共通するのは効率性の追求。景気低迷下で、今後もケータイを羅針盤に堅実に行動する消費者は増え続けそうだ。
パケット料金定額制 高速通信端末の普及 若い世代ほど浸透
 携帯電話が広く普及してすでに久しいが、日常の買い物に活用する人々が目立ち始めたのは実はごく最近の現象。背景には何があるのか。
 インフラの面で、最も大きいのはパケット料金定額制と高速通信可能な携帯電話機が一般化したことだ。チラシなど画像情報を多く伴うものもケータイから閲覧することに抵抗感がなくなり、「定額制にした以上は、有益なサイトをきちんと探そうという意識が芽生えた」(矢野さん)という人も多くなった。
 加えて「ネット検索自体がパソコンよりケータイの方がなじみがある」(高橋さん)という20歳代女性がすでに主婦層の一角を占め始めたことも見逃せない。ケータイの機能向上による脱パソコン化を学生時代に経験してきた世代は結婚して子供が生まれた後、ケータイ重視の傾向を一段と強めるのかもしれない。(堀大介)

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20090123 日経産業新聞

 ――職を失い、生活に困る派遣従業員が相次いでいる。
 「まずは雇用のセーフティーネットを構築しなければならない。派遣のように雇用期間が限定されている従業員には、雇用保険の加入要件を満たせない人たちが多い。職を失っても保険の給付を受けられない状況は改善すべきだ」
 「雇用保険に短期間しか加入していない人が給付を受けると、不公平感が生じる可能性がある。そこで能力開発と生活支援を併せ持つ『就労・生活支援給付制度』を作る。雇用保険と生活保護の中間的存在だ。政府がこうした仕組みを設けてこなかったことが現在の事態を招いている」
 ――製造業派遣に対する見解は。
 「製造業派遣そのものが問題ではない。製造業が注目を集めているのは働いている人の数が多いからだ。職を失った派遣従業員はどの業界にもいる。雇用のセーフティーネットの構築とともに、派遣会社に登録した人が仕事のあるときだけ派遣される登録型派遣を廃止する必要がある」
 「登録型は派遣されているときに限って派遣会社と労働者に雇用関係が生じる。この不安定な状況を解消するため、専門性の高い業務以外では登録型をやめ、派遣会社が常時雇用する常用型派遣だけを認める。常用型であれば雇用保険も適用される」
 ――登録型を廃止すれば影響は大きい。
 「企業は常用型の派遣従業員を受け入れるか、直接雇用するかを選べばよい。ただ、現実的には一般業務の労働者を常時雇用しようとしても、人件費負担が重くて耐えられない派遣会社が出てくるだろう」
 ――相次ぐ雇用調整をどう見ているか。
 「企業が不景気で体力を失ったとき、人員削減に踏み切るのは当然の判断だろう。しかし、非正規社員の人員削減は社会問題になっている。それは労働者に占める非正規社員の割合が急速に大きくなったからだ」
 「雇用形態の多様化という名の下に、企業は景気回復期に人手不足を非正規社員で補ってきた。非正規社員から正社員へと戻す必要がある」
 ――今後も企業は人員削減を迫られる可能性がある。
 「企業は派遣従業員を減らしてから、最後の手段として正社員を解雇する。解雇対象者を選ぶときには、家庭の経済的損害の度合いも考慮する。これは、非正規社員の賃金が家計を補う役割だったときの流れだ。現在は主に非正規社員の賃金によって生活している家庭がかなりある。正社員の解雇は非正規の後でよいのか。私の考えもまとまっていないが、検討する必要はあるだろう」
 はせがわ・ゆうこ 郵便局勤務を経て、全逓信労働組合(現・日本郵政グループ労働組合)で組合活動に取り組む。99年に連合へ出向、05年から現職。58歳。

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20090123 日本経済新聞 朝刊

 社債市場で格付けの高い債券への買い需要が回復してきた。二十二日に起債した東海旅客鉄道(JR東海)債と三菱商事債はいずれも販売が好調だった。日銀が発表した社債買い入れなどの資金繰り支援策を、社債市場は先回りして織り込みつつあったともいえる。ただ投資家が購入に慎重な低格付け社債にまで、こうした動きが広がるかどうかは不透明だ。
 ▼…JR東海は二十二日、十年債、二十年債あわせて五百億円を発行した。格付けはダブルA(格付投資情報センター=R&I)。当初は三百億円程度発行する見通しだったが、投資家の購入希望が相次いだため急きょ増額したという。
 五年物、四百五十億円の発行を決めた三菱商(ダブルAマイナス)も百五十億円の予定だったが「条件が市場実勢に見合った妥当な水準と評価する投資家の購入希望が多かった」といい、増額に踏み切った。
 ▼…背景には機関投資家の過度の慎重姿勢が和らぎ始めたことがある。両社の既発債の国債利回りに対する上乗せ幅は最近まで拡大傾向にあったが、東京海上日動火災保険投資部の橋本裕治課長は「コマーシャルペーパー(CP)市場の回復が信用リスク懸念を後退させている」と分析する。
 日銀などのCP買い取り策により、まず信用力のある企業の短期資金の調達環境が改善。徐々に長期の社債などで調達しやすくなる。投資家の間に安心感が広がると、低格付け企業のCPや社債も買う余裕が生まれるという構図だ。
 ▼…市場の今後の焦点は「シングルA格以下の社債の動向」(みずほ証券の香月康伸チーフクレジットアナリスト)だ。昨年十月以降では神戸製鋼所債(四十億円)しか発行実績がない。日銀は残存期間一年以内の社債の買い入れを検討するとしているが「償還期限が一年以内で発行される新発社債はなく、実質的な効果は乏しい」(大手証券の社債関係者)といえる。発行体のすそ野が広がり調達環境が目に見えて改善するのは容易ではなさそうだ。(G)

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