20090124 日本経済新聞 朝刊

 「トヨタ、日生、三井、住友グループ。日本有数の顧客基盤を持つ保険グループになる」。都内ホテルで記者会見した三井住友海上の江頭敏明社長はこう強調した。
「シェア30%超」
 三社合算の損害保険料収入は〇八年三月期の連結ベースで二兆七千三百億円。東京海上を二千億円超上回る。「国内では、あらゆる分野の保険でシェア三〇%を超える」(江頭社長)という“メガ損保”の誕生だ。
 三社を動かしたのは国内市場の低迷。損保二十六社の〇八年九月期の保険料収入は二・六%減。〇九年三月期はさらに落ち込むのは必至だ。今後も自動車販売、住宅需要の減少が続く見通し。株安などで運用部門の収益環境も悪化。「経営効率の改善が必要という認識で三社が一致」(ニッセイ同和の立山一郎社長)し、再編を決断した。
 再編は損保だけで動き出したわけではない。あいおい損保の筆頭株主であるトヨタ自動車とニッセイ同和の経営権を握る日本生命保険の二社が損保の将来に危機感を示した。そこに、常に再編の機会を探っていた三井住友海上が加わった。
 損保の前回の再編は〇一年から〇二年にかけて。大手銀行の大再編を受けて金融系列にとらわれない再編が進んだ。保険自由化が始まり、系列の銀行にも頼れない状況に陥り、相次いで再編が起きた。今回の金融危機では国内の銀行・証券の再編に先駆け、まず損保が動き出した。再編が一組誕生すればバタバタと再編が動く可能性がある。「銀行の三メガ体制のように損保も三大グループになる」(大手損保幹部)との指摘もある。
消費者にも利点
 損保の「メガ化」は消費者にとってもメリットがありそうだ。これまでは東京海上が商品の保険料設定などでリードしてきたが、「同格」損保の誕生で、あらゆる面で競争する構図になれば、保険料の引き下げや契約者へのサービス充実につながる可能性がある。
 統合会社の最大の課題は効率化の徹底だ。金融再編では常に主導権争いにつながるシステムの共有化をどう進めるか。成長が見込める海外事業はどこに重点を置くのか。「三社統合はトップの意見調整が難しい」とされるなか、「経営の選択と集中」が試される。

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