20090123 日経MJ(流通新聞)

電子チラシや冷蔵庫管理… サイトをフル活用
 スーパーなどでの日常の買い物の際、携帯電話を巧みに活用する主婦が増えている。モバイルサイトの進歩によって、小さな画面の中には、様々な店のチラシ比較や、数十万ものレシピ検索など、驚くほど多様な情報が集まってきているのだ。片手で様々な機能を呼び出し、スマートに消費する「ケータイ主婦」の進化する買い物術を追った。
 「最近は買い物のときはケータイを手放せないですね」。神奈川県在住の主婦、矢野きくのさんは、凸版印刷が運営する電子チラシサイト「シュフー!」のケータイ版画面を見ながら話す。シュフーは2001年から始まった、全国各地のスーパーやドラッグストアなどのチラシをインターネット上で閲覧できるサイト。昨年11月から携帯電話でも利用可能になった。ケータイ版の特徴は全地球測位システム(GPS)を使い、自分が現在いる位置の近くにある店の場所やチラシを手軽に調べられること。矢野さんはこの機能がお気に入りだ。
 家計運営などについて著作があり、節約アドバイザーとして活動する矢野さんはテレビ番組ロケなどで様々な場所に出かけ、自分の買い物の時間は決して多くない。そこで、最近は仕事が終わった場所で、GPS検索を活用。近くにある店を調べ、お買い得品があれば、そこで買い物を済ませて帰る。「思わぬ掘り出し物が見つかることも多いし、色々な地域のチラシに目を通すと相場観が養われて普段の買い物にも有益」と満足げな矢野さん。
 「子供が小さいと、やっぱりパソコンや本よりケータイですね」。こう話す埼玉県在住の高橋亜紀さんは生後8カ月の息子、陽貴ちゃんを抱っこしつつ、上手にケータイを操る。高橋さんはレシピ投稿・検索サイトのクックパッド(東京・港)が手がけるモバイルサイト「モバれぴ」愛用者。同サイトはパソコン版クックパッドと同様に約46万ものレシピが検索できる。
 結婚前まで料理経験が少なかった高橋さんは友人に聞き、2年ほど前から同サイトを使い始めた。以前はパソコン版のクックパッドも試したり、別のレシピ本を買ったりもしたが、陽貴ちゃん誕生後は完全にケータイ派に。両手がふさがるパソコンや本と違い、ケータイなら子供をあやしながらでも片手で短時間に情報収集ができるからだ。
 最近は自分や夫用の料理に加え、陽貴ちゃんの離乳食メニューも同サイトで調べる高橋さん。買い物に出かける前には、モバれぴでその日の料理に必要な食材などの情報を出し、内容をさっとメモして出発する。「買い物時間が短縮でき、買い過ぎも減った気がする」という。
 「今ではケータイが買い物メモの代わり」と話すのは東京都在住の斎藤由佳さん。ウェブサイト製作のアースゲート(横浜市)が運営する賞味期限管理サイト「ショミカン」を昨年春から使う。同サイトは、自分が購入した食品の賞味期限を登録すれば、期限が近づくとケータイなどに通知してくれる。斎藤さんは以前は節約しようと特売情報をまめに集めていたものの、「安いと思うと、つい買い過ぎて結局、無駄にすることが多かった」。今は買い物から帰ると、冷蔵庫にしまう前に、ショミカンに期限登録するのを習慣にしている。
 こうしておくと、期限が迫った食品の通知はもちろん、現在の冷蔵庫の中身を思い立ったときにいつでもケータイを通してチェックできる。最近はスーパーなどの店内でもケータイを使って同サイトを見ながら買い物しており、買い過ぎは大きく減少。「ショミカンを使い始めた後、月間の食費がおよそ2万円も節約できるようになった」(斎藤さん)
 ケータイをメモ代わりに使う方法はほかにもある。冒頭に登場した矢野さんはケータイ内蔵のデジカメを駆使。定期的に冷蔵庫の中身を撮影して買い物前に見ておく。視覚的に自分の家の食品の『在庫』を把握できるため、「こまごまとメモをとるのが面倒なときでも、買い過ぎ防止に効果がある」(矢野さん)というわけだ。
 使うサイトの中身は様々でも『ケータイ主婦』の行動に共通するのは効率性の追求。景気低迷下で、今後もケータイを羅針盤に堅実に行動する消費者は増え続けそうだ。
パケット料金定額制 高速通信端末の普及 若い世代ほど浸透
 携帯電話が広く普及してすでに久しいが、日常の買い物に活用する人々が目立ち始めたのは実はごく最近の現象。背景には何があるのか。
 インフラの面で、最も大きいのはパケット料金定額制と高速通信可能な携帯電話機が一般化したことだ。チラシなど画像情報を多く伴うものもケータイから閲覧することに抵抗感がなくなり、「定額制にした以上は、有益なサイトをきちんと探そうという意識が芽生えた」(矢野さん)という人も多くなった。
 加えて「ネット検索自体がパソコンよりケータイの方がなじみがある」(高橋さん)という20歳代女性がすでに主婦層の一角を占め始めたことも見逃せない。ケータイの機能向上による脱パソコン化を学生時代に経験してきた世代は結婚して子供が生まれた後、ケータイ重視の傾向を一段と強めるのかもしれない。(堀大介)

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