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税金が少ないイギリスのスターバックス
竹花さんが最初に個人事業主となって事業を立ち上げ、今まで7年間、経営を行って痛感したことがあります。それは経営で大事なのはよいサービスや商品つくることではなく、どれだけお金自体の知識あり、お金の流れを知っていて、お金を残せるのか、これだけだといいます。例えば、簡単に考えますが、自分が日本で会社をしていて、海外から原材料を1億円で買ったとします。その原材料で商品をつくってお客さんに売ると売上は1億3000万円になりました。原材料の費用の1億円を売上から引くと、残るのは3000万円。その3000万円から約30%の法人税を引くと残るのは2100万円です。これが普通の経営者です。では世界の名だたる巨大企業は税金をどうしているのでしょうか。今回の講座はスターバックスとアマゾンを例にあげ、2つの世界的な巨大企業が税金をどうしていたかについて解説していきます。
まずスターバックス。1998年スターバックスはイギリスに初めて進出しましたが、2012年までの14年間で約30億ポンド(約5590億円)の売上があったにも関わらず、イギリスで納めた法人税は約830万ポンド(約16億円)で売上のわずか約0.286%しか納めていませんでした。
イギリスのスタバの租税回避
これは上記の図のようなの3つの租税回避の方法をとっていたためです。1つ目ですがスターバックスはイギリスをはじめ各国の子会社にコーヒー豆を原産国から直接輸入させませんでした。スターバックスはスイスのローザンヌにコーヒー豆輸入販売の子会社つくり、スイス子会社が世界中のスターバックスが使う豆を輸入します。スイスは法人税が12.5%と安いです。しかもスイスはタックスヘイブンのうちの1つである、メリットになる特定の会社または特定の事業活動のみに特別な税制上の優遇措置をとるタックス・リゾートです。コーヒー豆のような自然から採取されたままの状態で、加工されていない物である一次産品の国際取引の利益にかかる税率はわずか5%しかありません。そしてスイスの子会社が輸入した豆は価格を20%上乗せし、割高な材料費でイギリスや世界各国の子会社に買い取らせ、各地の工場で焙煎されます。こうして税金の安いスイスに利益を多く残せます。2つ目ですが、スターバックスはオランダにも子会社をつくり、コーヒー製法などの知的財産権や商標を親会社であるアメリカの本社からオランダ子会社に移転し所有させ、イギリス子会社や世界中の子会社に貸していました。イギリスや世界中のスターバックスではコーヒー1杯につき売上の6%(現在では4.6%)という高いライセンス料をオランダ子会社に支払います。オランダは法人税率が16%と安く、しかもオランダ子会社が得たライセンス料の半分はアメリカに無税で送金できるという優遇税制もありました。これは昔、アメリカへのライセンス料の送金はオランダでは無税とすると両国で取り決められていたこと、あとオランダは税務当局と企業が直接交渉して税について様々な優遇を受けられるタックス・リゾートであることが関係しています。これでオランダ子会社はライセンス料で得た多くの利益を無税で親会社であるアメリカのスターバックス本社に送金できました。
3つ目ですが、農産物、貴金属、株価指数、外国為替、エネルギーの先物取引などを幅広く取り扱うアメリカの大規模な電子取引所であるインターコンチネンタル取引所がLIBOR(London Interbank Offered Rate)という金利を計算して公表しています。LIBORとはロンドンの金融機関などの限られた参加者が資金の運用と調達を行うインターバンク市場で提示される銀行間のお金の貸し借りでの平均貸し手金利のことです。このLIBORは世界中の企業向け融資、銀行のローン、教育ローン、社債、クレジットカードの金利や期間1年以内の金利である短期金利の世界的な指標となっていました。スターバックスはこのLIBORに4%上乗せした金利でイギリス子会社からアメリカ子会社に多額の借金をさせていました。LIBORに4%上乗せしたは非常に高額な金利になります。これでアメリカ子会社がイギリス子会社の利益を吸い上げられます。ちなみにLIBORについては2012年に欧米の有力銀行が不正に金利を操作していたことが発覚し、それをきっかけに2023年6月末で廃止されています。
こうしてスターバックスはイギリス子会社にコーヒー豆をスイス子会社から高い材料費で買い取らせ、高いライセンス料をオランダ子会社に払わせ、高い金利でアメリカ子会社から借金させ、アメリカ親会社やスイス子会社で利益を貯めて、イギリス子会社の利益をなくして14年間わざと合法的に赤字にすることができたのです。
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イギリスの反発
2012年10月、ロイター通信がスターバックスの租税回避の手法をスクープして報道。スターバックスはこれらの方法は合法であり、イギリスでは競争も激しく利益が出ないと主張しました。ちなみに2022年1月時点のイギリスのコーヒーショップのチェーンの店舗数はコカ・コーラ傘下のコスタコーヒーが1位で2792店舗、2位はベーカリーショップであるグレッグスが2176店舗、スターバックスの店舗数は2023年8月時点で1228店舗ですが3位に留まったままです。しかし報道をきっかけにイギリスの政治家や消費者が反発。スターバックスのイギリス代表が議会の公会計委員会に呼ばれて糾弾され、大規模な不買運動も起きかねない状態になりました。スターバックスは法律の根拠がないのにもかかわらず、2013年から2年にわたり2000万ポンド(約37億3000万円)の法人税を納めることでイギリス政府と合意しました。しかし2000万ポンドでも30億ポンドの売上に比べれば(約5590億円)の0.661%とであり微々たるものでスターバックスは大した打撃を受けず、事態を鎮静化させることができました。
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アマゾンと売上税
2008年12月のニューヨークタイムスの記事では、アメリカのビジネスメディア、Fast Companyでのアマゾンの創設者のジェフ・ベソスさんの1996年インタビューの内容が掲載されています。東洋経済の2019年11月の記事にも載っていることですが、かつてニューヨークでD.E. Shawというヘッジファンド(限られた大富豪、大企業、大規模金融機関だけから資金を集めて、様々な投資で利益を上げる会社や組合のこと)で働いていたベソスさんは独立、起業してアマゾンの始まりとなるネット書店を開こうとしていました。起業するにあたって、考えないといけないのは、アメリカの売上税の問題でした。売上税は日本の消費税に当たりますが、日本は消費税が国税なのに対して、アメリカの売上税は州や市などに払う地方税になります。1990年代当時のアメリカのネットビジネスでの買い物で売上税を払うのは、本社や物流拠点がある州に住むお客さんだけという決まりでした。アマゾン創業当時のアメリカの総人口はや2億6340万人、当時で一番人口の多い州はカリフォルニア州で3132万人、べソスさんがいたニューヨーク州の人口は1816万人。(人口はアメリカ合衆国国勢調査局調べ)例えばカリフォルニア州に事業の拠点をおくと、アメリカの全人口の約11%、ニューヨーク州におくと全人口の約7%が売上税の対象となってしまうようなもので、事業には大きく不利になります。そこでベソスさんはまず、カリフォルニア州にある、アメリカ大陸の先住民インディアンの居留地で事業を行うと税金をとられないことに目をつけ、そこに拠点をおくことを試みます、居留地で税金がとられないのは、長年差別を受けてきたインディアンを企業に雇用してもらう政策があるからです。しかしカリフォルニア州政府に拒否されてしまいました。またベソスさんは人口の少ない州に拠点をおこうとしますが、試験があってそれに通りませんでした。しかしなんとかワシントン州のシアトルを選んで拠点にすることができました。ベソスさんがシアトルを選んだのは以下の3つが理由です。
➀シアトル郊外のレドモンドには当時すでにマイクロソフトが本社を構えていて、たくさんのコンピューター技術者が集まっていた。シアトルは起業のためにマイクロソフト出身者などの優れた人材を集め安かった。
➁シアトルに近いオレゴン州のローズバーグには世界最大の書籍倉庫があり、このような倉庫に近い場所に拠点をおくのは起業には必要不可欠。といってもローズバーグはシアトルの南約534キロも先にあるが、これでも近い方だった。
➂1994年当時のシアトルがあるワシントン州の人口は533万人。シアトルに拠点をおけば売上税の対象となるのは全人口の約2%で済む。
ベソスさんにとって、シアトルは起業の条件が整った数少ない場所の1つだったのです。こうして起業して売上税を抑えて、有利に事業を進めて今のアマゾンを築き上げました。もう一度繰り返しますが、経営で大事なのは、経営で大事なのはよいサービスや商品つくることではなく、どれだけお金自体の知識あり、お金の流れを知っていて、お金を残し、マネーゲームに勝てるかなのです。
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