基本的な「オートフィル」操作は前回「オートフィル(1)」でご紹介しましたが、実用的な観点から覚えておくとよい Tipsをいくつかご紹介します。

(1) 日付データ
A1セルに「1/13」と入力すると「1月13日」と表示されます。
改めて A1セルを選択しいくつかオートフィルしてみると、日付については 1日ずつ増分する連続データとなります。
ここで、フィルオプションを開いて「連続データ(月単位)」を選択してみると、1月ずつ増分する連続データとなります。(下図)

 

日付データはシリアル値として格納され、元々は整数だったので、オートフィルすると本来はコピーなのですが、日付データについては 1日ずつ増加させます。
上記は「月単位」の例でしたが、フィルオプションを見ると他にも「週日単位」や「年単位」での増加も出来ることが分かります。

ただし、時刻については「時」部分のみ 1時間ずつ増加させるだけで、「分」「秒」については対応していません。

(2) 書式なしコピー
オートフィルはセルの中の値だけでなく“書式”もコピーします。
A1セルに「1234」と入力し、さらに塗りつぶしの色として薄い緑を設定します。
改めて A1セルをいくつかオートフィルしてみると、他のセルも薄い緑に塗りつぶされます。
ここで、フィルオプションを開いて「書式なしコピー」を選択すると、A1セル以外のセルの背景色は既定の白色に戻りました。(下図)

 

Excelで言う“書式”は、ざっくり言って [ホーム]タブの [フォント]から[セル]グループの間で設定したものを指します。
上の例では背景色を設定しましたが、先に「Excel 表示形式(1)」などでご紹介した「表示形式」などももちろん含みます。

フィルオプションには、上図で示すように「書式のみコピー」もあります。
こちらは、A1セルの値はコピーされず、背景色などの書式だけが他のセルにコピーされます。

(3) フラッシュフィル
Excel2013で追加された機能です。
データの規則性を認識し、自動的に入力してくれる機能です。

簡単な例を示します。
セル A1~A5に電話番号らしきデータが入力されています。
B1セルには A1セルの市外局番「03」を入力しました。
ただし、単に「03」と入力して[Enter]すると「3」になってしまいますので、表示形式のユーザ定義で「0###」と設定します。
あるいは、B1セルの表示形式を「文字列」に設定した上で「03」と入力します。
B1セルが「03」と表示出来たら、B5セルまでオートフィルし、フィルオプションで「フラッシュフィル」を選択します。
すると、市外局番だけの並びが作れました。(下図)

 

C1セルに市内局番「1234」を入力して、同様にオートフィル、フラッシュフィルと操作するとC5セルまで市内局番の並びが抜き出されます。

とても便利な機能で、規則性さえあればデータが大量にあってもフォーマットを変換するときなどアッと言う間に片付いてしまいます。

(4) 数式
数式や関数については改めてご紹介しますが、その予告編としてオートフィルに関係する部分だけ書いておきます。

下図のように、A2~A6セルには価格が入力されています。


 

B2セルにはその消費税額を求める数式「=A2*10%」が入力されています。
そして、改めて選択した B2セルから B6セルに向けてオートフィルすると、B3~B6セルも正しく計算されます。

このとき、B3セルを選択し、数式バーで確認すると「=A3*10%」となっており、B4セルは「=A4*10%」、以下 B6セルまでセルアドレス部分だけが増加しています。

このように、数式や関数の中にセルアドレスを含んでいる場合は、オートフィルした方向(上の例では行方向)のアドレスだけが変化するようになっています。

これも、大量のデータについて同様の演算をしたり同じ関数を適用する場合に活用される方法なので覚えておきましょう。