Excel データの入力操作(1)」、「Excel データの入力操作(2)」の回に、Excelでのデータ入力方法についてご紹介しましたが、もうひとつ便利な入力方法が用意されています。
それが「オートフィル」です。

「オートフィル」は“auto-fill”で、文字通り自動的に(セルを)埋めてくれる機能ということですが、もっと分かりやすく言えば「(条件に応じてモードが変わる)コピー」です。

普通のコピーは「Excel データの入力操作(2)」で触れましたが、「オートフィル」はコピー元のセルの内容に応じて“どのようにコピーするか”を自動的に変化させます。

例を示しながら説明します。

(1) 単なるコピー
A1セルに「1」と入力、改めて A1セルを選択し、セルの右下にある小さな■(フィルハンドラ)にマウスポインタを合わせると「」にポインタが変わります。
そのまま下方にドラッグ(つまり、左ボタンを押しながらずらす)します。
すると、ドラッグした分だけコピーされました。(下図)

 

これは数値に限らず、例えば「ABC」と入力されたセルで試してもコピー動作になります。
また、下方に限らず、上下左右どの方向にでもドラッグしてコピーできます。

(2) 連続データ
「1」と入力されている A1セルを再度選択し、先ほど同様に「」ポインタを下方にドラッグします。
最後のセルの右下に薄く「フィルオプション」が見えていますので、これを開き、その中の「連続データ」を選択します。
すると、A1セルの「1」から順に 1ずつ増分していく数値で埋められていきました。(下図)

 

「フィルオプション」を使う代わりに、A1セルの「」ポインタを [Ctrl]キーを押しながらドラッグしても同様に連続データを入れることができます。

これは入力された数値に対する動作で、文字列が入力されたセルについては「連続データ」はできず、単にコピーとなります。

(3) 連続データ その2
A1セルに「2021年」と入力します。
セル 数値は右寄せ、文字は左寄せ」の回にご紹介したように、数値に加えて“年”という文字を加えたため、これは「文字列型」として扱われます。
以前の Excelでは、このような文字列のセルをオートフィルしてもコピーにしかならなかったものが、少なくとも Excel 2019や Office 365では数値が含まれている文字列型のセルにおいても「連続データ」を適用します。

そのため A1セルの「」ポインタをドラッグすると「2022年」「2023年」‥‥と連続データで埋められていきます。(下図)

 

その拡張仕様なのですが、全角で「2021年」と入力したセルについても、やはり連続データでのオートフィルが働きます。
数字の文字も全角のままです。

これの応用としてよく使われるのが、「1月」と入力しそれをオートフィルすると「1月」「2月」「3月」‥‥となり、「1月1日」と入力しそれをオートフィルすると「1月1日」「1月2日」「1月3日」‥‥となり月次・日次のデータを入れる項目行などを作るときの定番の方法です。

ポイントは、セルの文字列の中に算用数字が含まれると、オートフィル操作により数字部分が連続データとして増分していきます。
漢数字では単にコピーとなりますので、ご注意ください。

(4) 連続データ その3
例えば、「1」「3」「5」‥‥のように奇数列を作る場合は、A1セルに「1」、A2セルに「3」と入力し、A1セル・A2セルを選択します。
複数のセルの選択は「Excel セル範囲の選択」でもご紹介していますのでご参照ください。
A2セルの右下にあるフィルハンドラでポインタを「」にして下方にドラッグします。(下図)

 

カレンダーなどでは同じ曜日の日付は 7日間隔ですので、2つのセルに例えば「1」「8」というように入力してオートフィルすればよろしいです。

ちなみに、このようにオートフィルした後で、「フィルオプション」から「セルのコピー」を選択すると「1」「3」「1」「3」‥‥と繰り返す数列になります。

(5) ユーザー設定リスト
A1セルに今年の干支「丑」と入力し、いくつかオートフィル操作をしてみてください。
干支が順番に並んだ列ができましたね。(下図)

 

改めてこれらのセルを選択して確認しても、「文字列型」であり、かつ算用数字も含まれていません。
これのタネ証しは、[ファイル]タブを開き [オプション]-[詳細設定]-[全般]と辿っていき、「ユーザー設定リストの編集」ボタンをクリックします。
下図の「ユーザー設定リスト」が表示されます。

 

左側のリストの中に「子, 丑, 寅, 卯, 辰, ‥‥」という行が見えると思います。
つまり、セルにこの「ユーザー設定リスト」の中にある文字が入力されているときにオートフィル操作をすると、その文字がある行の続く文字でセルが埋められていきます。

例えば干支なら 12の干支(十二支)がリストを構成しており、12以上のセルにわたってオートフィルすると最初に戻って繰り返します。

上図のリストには「日, 月, 火, ‥‥」という曜日も含まれていますので、「日」と入力したセルをオートフィル操作をすれば「日」「月」「火」‥‥という並びが容易にできます。
注意としては、リストにない文字は単にコピーとなるだけなので、「日曜」としてもそれがコピーされるだけです。
「日曜日」とすれば順に並びます。

なお、「ユーザー設定リスト」というくらいですから、必要であれば自由にリストを定義することができます。
上図の「リストの項目」欄に、例えば「部長」「課長」「係長」「担当」などと [Enter]キーで区切りながら入力し、「追加」ボタンを押します。
「部長, 課長, 係長, 担当」というリストが追加されますので、セルにいずれかの文字を入力してオートフィルすれば、順に並んだセルが作れます。