先の「セル 数値は右寄せ、文字は左寄せ」でお話ししたように、セルに入力されたデータは「数値型」または「文字列型」(さらに「関数型」)として認識され、それぞれに応じた扱いを受けます。

そのときの例示「2021年」というように、数値である「2021」に「年」という文字を合わせて入力すると、これは「文字列型」と認識されます。
後の処理のためにこれを「数値型」として扱うためには、セルには「2021」と数値だけを入力し、「セルの書式設定」で「0"年"」というように「ユーザー定義」します。
ここまでを先回お話ししました。

それでは、セルの表示形式についてご紹介します。
ただし、少し長くなりそうなので 2~3回に分けて掲載します。
また、すべての事例を載せられないので、よく使うものを中心にご紹介します。

Excelを起動して A1セル(どこでも可)に「1234」と入力し、改めて A1セルを選択しておきます。
[ホーム]タブ-[数値]グループにある「標準」と書かれた窓の「∨」をクリックするとさまざまな表示形式が表示されます。(下図)

 

既定では「標準」形式が設定されているわけですね。

(1) 「標準」形式
文字通り Excelの既定の表示形式です。
この形式では

  • 基本的には、入力された数値をそのまま表示する
  • 数値に対してセル幅が狭い場合は、少数なら四捨五入、11桁以上の数値なら指数表示になる

‥‥というルールです。

Excel セルのサイズ」でお話ししたように、セルの幅は「8.38」という既定値で表示され、これは既定のフォントサイズの半角数字で 8文字と少しの幅です。
つまり(小数点を含め)数値が 8文字以内ならそのまま表示されます(例:「1234.567」)。
例外的に、整数で 8~10桁の数値ならセルの幅を広げて表示され、小数点を含む数値の場合は整数部分の桁数に応じて小数点以下の桁数が調整されます。

要は、できるだけ表示幅が少ない形式で表示されます。
ここで大事なのは、入力された数値はそのまま記憶され、表示されるときに指定の表示形式で表示されるということです。
数式バーには元の数値が表示されています。

(2) 「数値」形式
A1セル「1234」に対して「数値」形式を適用してみます。
このとき、どのように表示が変化したでしょう。
下図のように、数値の後ろに半角スペースが付いて表示されました。

 

この状態で、[数値]グループの右下のアイコンをクリックしてみると、下図の「セルの書式設定」が現れます。

 

ついでながら、先回も表示した「セルの書式設定」画面を開くショートカットキー [Ctrl]+[1]も覚えておきましょう。
セルを選択した状態で [Ctrl]+[1]キーを押すと、上図の「セルの書式設定」画面が開きます。

その左側で「ユーザー定義」を選択すると、右側の種類は「0_);[赤](0)」が選択されています。
何やら暗号めいている表記ですが、「;」の前が正値である場合の表示形式、その後が負値である場合の表示形式を表しています。
「0」は入力された数値そのまま(小数点以下は四捨五入)表記し、「_)」は「)」と同じ幅のスペースを入れるという意味です。
負値の場合は、「[赤]」は赤色フォントで、「(0)」は括弧「(」「)」で挟んで入力数値をそのまま(小数点以下は四捨五入)表記するという意味になります。

A2セルに「-5678」と入力し、「数値」形式で表示してみると、下図のようになります。

 

負の数値は赤色フォントで「(」と「)」で囲まれて表示されます。
これは、欧米の証券系・会計系で見られる形式らしく、Excelで既定の「数値」形式になっています。
上図をご覧いただくと、A1、A2セルの数値の1桁めが揃っていますね。
このために「_)」というように正値には半角スペースを付けて表示していたわけです。

日本でこのように括弧付きで負値を表わす職種を私は存じません。
上の「セルの書式設定」画面を見ると、同じ「数値」形式でもいろいろな「負の数の表示形式」が用意されていますので、使い慣れている形式を選択してお使いください。

ちなみに、正の数値だけを扱うときにこの「数値」形式で表示を使うと、半角スペースのお陰で隣のセルとの境が分かりやすくなるという“効能”があります。
見やすくなるという作用のためにこの「数値」形式をお使いになる方もいらっしゃいます。

(3) 「通貨」形式
A1セル「1234」、A2セル「-5678」に対して「通貨」形式を適用してみます。(下図)

 

先と同様に「セルの書式設定」を開き「ユーザー定義」を選択すると、「\#,##0_);[赤](\#,##0)」と表記されています。
この「通貨」形式は(日本では)数値の前に「\」マークを付け、数値には 3桁ごとの桁区切り「,」が入ります。
さらに先ほどの「数値」形式同様に数値の後には半角スペースも付けられて表示されます。

ここでも負値のときの括弧付き表記が既定になっていますが、使い慣れている形式を選択してお使いください。

なお、「1,234円」というように数値の後に「円」と付けて表示したい方は、「ユーザー定義」にて「#,##0"円";[赤]#,##0"円"」とすればよろしいです。
詳しい説明は、次回以降にいたします。

(4) 「会計」形式
A1セル「1234」、A2セル「-5678」、さらに A3セルに「0」と入力し、それらに対して「会計」形式を適用してみます。(下図)

 

ここでは、分かりやすいように敢えてセル幅を広げて表示しています。
先の「通貨」形式に似ていますが、先頭に半角スペース、続いて「\」マーク、その後に適当なスペースを置いてから桁区切り付きの数値、最後に半角スペースを付けて表示しています。

これを「セルの書式設定」で「ユーザー定義」で見ると、「_ \* #,##0_ ;_ \* -#,##0_ ;_ \* "-"_ ;_ @_ 」と表示されます。
だんだん複雑になってきました。
先の例では「;」を挟んで正値と負値の表示形式を設定していましたが、ここでは「;」が 3つありますので 4つの場合分けが設定されています。
順に 正値・負値・ゼロ・文字列 に対応しています。

正値に対しては「_ 」は半角スペースと同じ幅のスペース、そして「\」マーク、続く「* 」は半角スペースを必要な分だけ繰り返し、その後に「通貨」形式同様に桁区切り付きの数値、最後に半角スペースを付けて表示しています。
負値に対しては数値の前に「-」が付くだけで、ほぼ正値と同様です。
ゼロの場合は、半角スペースと「\」マーク、そして必要な分だけ半角スペースを繰り返し、「-」と半角スペースを最後に付けて表示します。
今回はありませんが、文字列(テキスト)に対しては半角スペースに続いて「@」はセルに入力された文字列そのものを意味し、最後に半角スペースを付けて表示します。

今回はよく使う数値関連の 4つの表示形式をご紹介しました。
正しい理解のために「ユーザー定義」の書式にまで踏み込み、難しいという印象を与えてしまったかもしれません。
でも、Excelにおいて「数値型」とすべきセルには数値だけを入力し、表示形式により所望の書式で分かりやすく表示する‥‥という基礎を習得していただきたいためにご紹介しました。
少しずつ慣れていってください。

より詳しい解説は、Microsoftのサポートページをご参照ください。