行ってきました。

 

 

 

2023年8月19日(土)17時45分開演

『夏の第九』

広島文化学園HBGホール(広島)

 

 

 

 

 

 

 

皆さまご存じの通り、当初予定されていた指揮者は井上道義さん。

 

 

 

 

井上マエストロが体調不良だという話は聞いていましたが、きっと復活されて、この日は広島で情熱的な第九を聴くことが出来るだろうと回復をお祈りしてきました。

 

 

お祖父様が広島県出身で、父親がアメリカ人であることをご自身も45歳まで知らなかったという井上道義さん。

 

 

 

原爆投下から78年。

 

 

そんな井上マエストロが8月の広島で愛と平和を願うコンサートの指揮をするということは

 

とても深い意味があるように感じていました。

 

 

公式Webにもご本人の手記が掲載されていましたが

 

赤裸々に綴られた闘病の様子が本当に大変そうで

 

そんな中でも、冷静に客観的にご自身を観察されている心の強さ。

 

読んでいる私の方が辛くなってしまい、ちゃんと読むことが出来ませんでした。

 

 

 

 

 

井上マエストロと牛田くんは、2019年の8月に一度共演しています。

 

 

この時も、プロコフィエフのコンチェルトの後で、ペンデレツキの『広島の犠牲者に捧げる哀歌』という曲を演奏されて

 

マエストロは

 

「この曲を世界で一番うまく指揮できるのは私です!」

 

と、茶目っ気たっぷりにおっしゃってました。

 

 

井上マエストロの指揮で演奏を聴いたのはこの時だけですが

 

少し毒を含んだユーモアたっぷりのキャラクターと、表情豊かな指揮にすっかり魅了され

 

4年ぶりの牛田くんとの共演をとても楽しみにしていた私としては残念で残念で…。

 

 

 

 

 

ただでさえ、毎年8月になると平和式典が行われ、広島は注目されますが

 

私個人にとっても、今年はとりわけ広島についてテレビや新聞、ニュースなどで広島のことに触れる機会が多かったように思います。

 

 

 

広島には9年前、一度家族旅行で行ったことがあり

 

その時に平和記念公園を訪れて、原爆資料館にも足を運んだので

 

今回はパスしてもいいかなあ、なんて思っていました。

 

 

 

 

 

 

少し前、羽生結弦選手の結婚報道に触れた記事とコメントを読まれた方が、この本を紹介して下さいました。

 

 

 

『親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』

著:吉原真理(アルテスパブリッシング)

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巨匠バーンスタインの熱烈なファンの2人の日本人が書いたファンレターを元に綴られた、バーンスタインと彼らとの交流、日本との交流。

 

そして、平和を願い音楽を愛したバーンスタインの人生が描かれたノン・フィクション。

 

(紹介して下さったfさん、ありがとうございました)

 

 

 

ちょうどこの本を読み始めた頃、たまたま目にしたにNHKの『クラシックTV』でバーンスタインが特集されており、

 

そこで初めてバーンスタインが広島で平和を願う歴史に残るコンサートを行っていたことを知りました。

 

 

原爆資料館を訪れて、展示を見て涙するバーンスタインの姿や

 

亡くなる3ヶ月前の、渾身のシューマンの交響曲のリハーサルの映像に、思わずこみ上げてくるものが…。

 

 

原爆投下のあった8月に、広島でコンサートが行われる。

 

牛田くんがそれに出演する。

 

 

なんだか自分も 導かれているような気がしました。

 

 

やっぱり行こう。原爆資料館。

 

もう一度 この目でしっかり見てこよう。

 

世界平和と井上マエストロのご回復をお祈りしてこよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、皆さま。

 

 

広島県というと、どんなイメージをお持ちですか?

 

 

 

47都道府県の中でも、割とイメージしやすい県ではないかと思います。

 

 

 

ざっと私のイメージを挙げてみるならば

 

・広島風お好み焼き

・牡蠣

・原爆

・厳島神社

・もみじ饅頭

・広島カープ

・尾道

 

 

といったところでしょうか。

 

 

 

 

ちなみに9年前、家族旅行をする前に

 

「予習をしておこう」と、ジャックが1本のDVDを借りてきました。

 

 

 

『時をかける少女』

 

懐かし~っ!( ´艸`)

 

『転校生』『さびしんぼう』と並ぶ大林宣彦監督の尾道三部作の代表的作品。

 

 

これを超久しぶりに家族3人で見たのですが、

 

当時小学校5年生だった娘。

 

原田知世ちゃんを見て「男だよ、絶対男」って言うんですよ(^^;)

 

 

なぜなら、高柳良一さん演じた一夫が、知世ちゃんのことを「芳山くん、芳山くん」って呼んでるから。

 

それにかなりのショートカットだし。

 

 

 

しかも、当時はなんにも思わなかったけど、あらためて見てみると、みんなの演技がかなりの棒(^^;)

 

 

で、全体の雰囲気が暗ーい。

 

特に、骨董品のお店で急に掛け時計が逆に回り出して「ボーンボーン」と鳴ったり

 

地震が来て古い人形がガタガタ揺れるシーンなんて、まさに恐怖映画ガーン

 

 

かくして予習のはずの名作ロードショーは、怖がりの娘に恐怖心だけを植え付けて

 

かつて純真無垢な少年少女だったジャックと私に「本当に名作だったんかい…?」というビミョーな疑念を抱かせる結果となりました😅

 

 

 

家族旅行では原爆ドームや資料館、尾道、熊野古道、ちょっと足を伸ばして山口の錦帯橋などを回りました。

 

 

その時知ったのは、広島に「牛田」という素敵な地名があるということ😍

 

「うした」と読むらしいのですが、この素敵な地域に行けなかったことが無念すぎて、当時こんなアホな記事を…(///∇//)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広島行きの前の何日間か、なんだかんだでかなり忙しかった私。

 

今回も全くといっていいほど下調べが出来ず、準備を始めたのも前日の夜。

 

 

同じ日に娘が友人達と北海道旅行に行くことも直前に知り

 

我が家のリビングは、広げた2つのスーツケースと細々した荷物でごった返してましたあせる

 

 

 

 

そんな私に、今回救世主となってくれたのが広島在住のファン友Pンダさん。

 

かつて本当に面白い爆笑ブログを書かれていたのですが

 

息子の子Pンダちゃんがコロナ禍でオンライン授業を受けるのでパソコンを取られてしまい

 

子Pンダちゃんのことを書いたブログが彼の友人に見つかってしまいそうになったため記事をすべて取り下げてしまったそう。

 

残念。紹介したかったのに。

 

 

私の広島行きを知って、もう随分前から牡蠣の美味しいお店などを調べてくれました。

 

 

当日は、広島カープの試合があるので広島駅周辺のホテルは混雑するのでやめたほうがいいことや

 

ちょっと高いけど飛行機よりも新幹線で行った方がいいことなんかも親切に教えてくれてました。

 

 

 

当日、また呑気にしてて、結局ギリギリで間に合った新幹線。

 

夏休み&お盆の週の週末だからでしょうか。ギッシリ満席です。

 

 

先月21日から、東海道新幹線のチャイムが変わったんですよね。

 

聴き慣れたあのチャイムが、TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」だったということをつい最近知ったばかりなのですが(^^;)

 

新しくなったのは、現在CMでも流れているUAの「会いにいこう」。

 

初めてリアルで聴きました照れ

 

 

今までのが、どちらかというと「おかえりなさい」と疲れを癒やしてくれる的な雰囲気だったのに対し

 

新しいのは「行ってらっしゃい!」と未来に向かって背中を押してくれる感じ。

 

明るくて好きです。

 

 

 

新幹線の中で初めてガイドブックを広げた私。

 

LINEでパンダさんとやり取りしながらいろいろ教えてもらいました。

 

 

漠然と決めていた今回の広島訪問の目的は次の5つ。

 

1.コンサート

2.原爆資料館&平和記念公園

3.牡蠣を食べる

4.広島風お好み焼きを食べる

5.もし余裕があったら厳島神社

 

 

全部は厳しいかな~(^▽^;)

 

 

パンダさんが言うには、原爆資料館は8月ということもあって、2時間ほど暑い中で並ぶのを覚悟した方がいいとのこと。

 

お好み焼きのお店も、外人観光客で混み合っていてかなり待つらしい。

 

 

う~ん。そうかぁ…😓

 

甘かったみたい、私汗

 

 

 

 

東海道新幹線でこんなに遠くまで行くのは初めて(〃∇〃)

 

 

岡山駅では「牛田くんも中高時代はここに来てたのね♡」としみじみ(*^.^*)

 

車内アナウンスが「桃太郎線🍑へのお乗り換えは…」と言ってました。カワイイ~🥰

 

 

 

電車好きな男の子達の憧れ、ドクターイエローにも遭遇しましたよ!

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近すぎるけど…(^^;)

 

 

 

岡山を過ぎたあたりから、山が多いのかトンネルが増えました。

 

 

 

 

到着~!

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お腹がすいたので駅周辺でお昼を食べることに。

 

広島のお好み焼きを食べようと、駅の隣のビルのレストランフロアに行ってみたら

 

観光客で溢れかえってつづら折りになった超長蛇の列。

 

 

 

仕方ないので、すぐ食べられる海鮮丼に路線変更。

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私、お刺身大好きだからまったく問題なし♪

 

 

 

 

 

 

鹿児島に続き、広島も路面電車の街だとは行くまで知りませんでした。

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広島駅から、広島港や宮島など各方面に向かって走ってました。

 

バスとか路面電車って、地域によって乗車ルールが違うんですよね。

 

これは乗るとき、降りるときにPASMOをタッチするタイプ。

 

 

 

 

なんと、ホテルまでパンダさんが迎えに来てくれました。

 

パンダちゃんの手書きイラスト付きメッセージのついた手土産のお菓子まで!😭

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聞けばもう中学3年生なんだって!

 

J.PRESSのベスト着てコンサートに来てた子パンダちゃんは、まだ幼稚園とか小学校低学年で

 

小さな牛田くんみたいだったのに。

 

 

 

 

広島の街と平和記念公園を案内してくれました。

 

なんて心強いんでしょう(T-T)

 

 

 

 

 

パン屋さんの「アンデルセン」

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関東にも店舗はあるけれど、比較にならないくらいゴージャスキラキラ

 

パンはもちろん、ケーキや焼き菓子、雑貨やお花も販売されていてカフェもあり、カルチャースクールやウェディングまでやっているらしい。

 

 

裏側のテラスと庭もとってもお洒落キラキラ

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「袋町小学校平和資料館」

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被爆当時、かろうじて焼け残った校舎で被災者の救護活動が行われたそう。

 

 

 

伝言に使われた壁が今も残ってました。

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階段には、全国の小学生達が折ったたくさんの折り鶴。

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しばらく歩くと、見えてきました、原爆ドーム。

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外人観光客が多く、写真を撮っていました。

 

 

360度、どの角度からも見ることが出来ます。

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元々は何だったの?と訊くと、お土産屋さんのような施設だったそう。

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パンダさんのお父様も、ここで買い物をしたことがあるそうです。

 

まさかここが将来「核廃止と平和の象徴」の世界遺産になるなんて、当時は誰も想像しなかったでしょうね。

 

 

 

 

 

 

広島の市街地には、何本もの川が通っています。

 

平和記念公園は平安川と本川に挟まれた中洲にあります。

 

 

 

 

公園にはいくつもの記念碑や像がありました。

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原爆死没者慰霊碑

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原爆の子の像

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中の鐘も折り鶴の形をしており、誰でも鳴らすことが出来ます。

 

 

 

 

 

その後ろに、平和を願って世界から贈られた たくさんの折り鶴。

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老紳士に話しかけられ、道を尋ねられるのかと思ったら、「気付いたらカレンダーから『原爆の日』の記載が消えている」と嘆いていました。

 

自分も先が短いのに、忘れられてはいけないことなのに、と。

 

手にしていたのは、なんと偶然にもPンダさんのご主人の会社のカレンダー。

 

 

この場所には、広島市内だけでなく、こんなふうに強く平和を願う人や何かを伝え続けたい人が世界中から来るそうで、特に珍しくない光景だそう。

 

 

 

残念ながら時間がなくて資料館には行けませんでした。

 

 

 

 

 

 

ホールは、平和記念公園のある中洲を、さらに5分ほど南に行ったところにありました。

 

 

 

 

広島文化学園HBGホール

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広島交響楽団の本拠地だそうです。

 

 

このホールは、広島駅からそれなりの距離があり、広島交響楽団の終身名誉指揮者でもある秋山和慶先生が「もっと駅の近くにクラシックのホールを!」とご尽力されたそうですが、残念ながら叶わなかったそう(パンダさん談)

 

私実は、井上マエストロの体調不良を聞いたとき、代役はもしかしたら秋山先生かな、と思ってました。

 

 

 

 

 

今回の代役、アンドリス・ポーガさんについて、全く知識がないのですが、一体どんな指揮者なのでしょう。

 

読売交響楽団のTwitterXのツイートポストのこの写真。なんだかとっても優しくて穏やかそう。

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牛田くんの笑顔も相変わらず素敵ラブ

 

おかえりなさい!牛田くん。

 

 

 

 

 

 

ロビーの看板のポスターは、井上マエストロの写真のまま。

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ポスターの上に「出演者変更のお知らせ」がありました。

 

 

 

 

 

ロビーの観葉植物の植木鉢カバーも折り鶴です。

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皆さま。

 

大変長らくお待たせいたしました。

 

 

 

 

 

広島文化学園HBGホール(2001席)

 

 

 

 

(画像お借りしました)

 

 

 

舞台の壁と天井はオフホワイト、ホールの壁は薄いグレーと白のボーダーです。

 

黒いファブリックの座面の椅子は扇状に広がり

 

天井は段になって弧を描き、白いシンプルな丸型ライト。

 

白・黒・グレーが基調のすっきりと洗練されたホールです。

 

 

 

舞台の前面中央にスタンウェイ。

 

ピアノの前の低い椅子を見て、今日も「牛田くんの椅子だ!」と嬉しくなりました。

 

 

レインボーのように半円を描いて並ぶオケの椅子。

 

コンマスの椅子のみ、同じ椅子が2つ重ねて少し高めになってます。

 

 

後ろの方はひな壇になり、たくさんの椅子が並んでいました。

 

第九の合唱団用ですね。

 

 

 

 

プログラム

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「夏の第九」の力強い文字。

 

一見シンプルですが、よく見ると、「DAIKU」の「I」の文字が原爆ドームの形をしています。

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「A」も慰霊碑のデザインではないでしょうか(大発見)

 

 

 

 

指揮者のアンドリス・ポーガさんのプロフィール

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ラトビア出身。

 

ん?ラトビアってどこだっけ…?(^^;)

(すぐ分かる方、いらっしゃいます?)

 

 

 

 

 

ロシアの隣。

 

北欧やポーランドとも近いんですね。

 

 

 

 

 

 

牛田くんのプロフィール。

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“神童”として絶賛された後、ストイックな姿勢で音楽性を磨き続けている俊英。

 

というあまり見慣れない書き出しが新鮮。

 

 

今までは、

 

「浜松国際コンクールで第2位。出光賞受賞。いわき市出身」

 

みたいなのが多かった気がします。

 

 

 

いろいろ感心しながらパンフレットを読んでいると、クラリネットやコントラバスが音出しを始めました。

 

 

 

 

 

~ Program ~

 

<第一部>

♪モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491/W.Aモーツァルト

 [ピアノ] 牛田 智大

 

<第二部>

♪交響曲第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」/L.v.ベートーヴェン

 [ソプラノ] 高橋 絵里 [メゾ・ソプラノ] 池田 香織

 [テノール] 工藤 和真 [バス] 池内 響 

 [合唱 ] 東京オペラシンガーズ

 [指揮] アンドリス・ポーガ

 

 

 

 

オーケストラの団員が登場しました。

 

 

男性陣はノージャケットで黒いシャツ姿。

 

シャツの裾をインせずそのままの人も多く、夏らしく涼しげな雰囲気です。

 

 

遅れて登場したコンマスのみジャケット着用しています。

 

おお、ここのコンマスもなかなか個性的。

 

ジャケットのポケットのラインと裏地に使われた真っ赤な布のチラリズム。

 

襟足が長く、ベッカムみたいに中央を立てた髪型も独得です。

 

 

 

 

 

爽やかににこやかに 登場しました!牛田くん。

 

 

今日もパーマのかかった茶色い髪。

 

蝶ネクタイのタキシード。

 

手には白っぽいグレーっぽいタオル。

 

 

 

 

あ、いけない。牛田くんにばかり集中していて、マエストロが登場するところを見逃してしまいましたあせる

 

 

気付けば既にマエストロの体はピアノの蓋の陰になり、短く切り揃えられた頭の上の方だけ見えました。

 

薄茶色の毛並みとの形のいい頭は、カワウソみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

始まったモーツァルトピアノ協奏曲第24番。

 

 

短調の3拍子を刻むオーケストラの音色は

 

艶やかな光沢を放つ 束ねた絹糸のようでした。

 

色に例えるなら白に近いクリーム色。

 

 

ああ、さすがですね!読響さん。

 

すでにうっとりと聴き惚れました。

 

 

 

そしてスタンウェイから紡ぎ出された第一音は

 

こぼれ落ちるように大地に蒔かれた一粒の麦を連想させました。

 

 

ピチピチと生命の息吹を感じるモーツァルト。

 

 

短調なのに明るく感じる音楽は

 

最近まで台風だった空に似ています。

 

天気雨。青い空から降り注ぐ恵み。

 

 

ピアノとオケは一体となって

 

種は芽吹いて空に向かってまっすぐ伸び

 

やがて たわわに実る麦の穂。

 

風に吹かれ、金色に波打つ麦畑。

 

 

 

今日も前屈みになって

 

ピアノの角に前髪が着きそうになりながら演奏する牛田くん。

 

なびくように後ろに流れるサイドの髪を見て

 

子供の頃見たカマキリの卵を思い出しました。

 

 

 

短調なのに明るく感じるのは

 

もしかして私の心を反映してるのかな。

 

鹿児島で牛田くんのピアノを聴いてから、まだ1ヶ月も経っていないのに

 

ずっとこの日を心待ちにしてたから

 

嬉しくて 嬉しくて…。

 

 

 

第一楽章は春…夏…秋…

 

収穫を喜び、大地に感謝を捧げるような。

 

ああ、なんて心地よいモーツァルト。

 

 

 

 

澄み切った音色のカデンツァに入った途端

 

音楽が突然引き締まりました。

 

 

孤独、嘆き、恐怖、諦観、赦し…。

 

しんと静かな夜の湖に ひらりと浮かぶ薄紫の花びらの舟。

 

 

不純物が一切ないような、どこまでも透明な牛田くんのピアノの音色。

 

 

カデンツァが終わった途端

 

まるで卵が孵化するように

 

さなぎが羽化するように

 

音楽全体が成熟したように感じました。

 

 

濃い灰色の雲が渦巻きながら垂れ込めて

 

不穏な雰囲気のまま第一楽章が終わりました。

 

 

 

 

 

第二楽章は、汚れを知らない白い蘭の花。

 

 

長い冬の終わり。春の兆し。

 

チェロやコントラバスがそっと奏でる太くあたたかな音色は

 

遠くから近付いてくる春の足音のようでした。

 

 

この純真無垢な可愛らしい第二楽章は

 

春のリサイタルで牛田くんが演奏していたシューベルトのピアノ・ソナタ第13番と少し似ている気がします。

 

 

楽章の終わりには春が訪れて

 

ピアノの周りを黄色い蝶が舞っているようでした。

 

 

 

 

 

そんな可愛らしい春の世界に誘った後で

 

第三楽章は、突然世界観が変わります。

 

 

自然界から人間の世界へ。

 

 

真一文字に口を結んで何かを宣言するかのように

 

イメージするのは強い決意。

 

 

「闘い」「革命」

 

そんな言葉が脳裏に浮かびます。

 

 

群衆の叫び、翻る旗。

 

高音で細やかなメロディを刻む右手は

 

胸の奥で強く熱く 燃える炎の青い薔薇。

 

 

 

澄み切った漆黒の闇の中でこだまするようなカデンツァは

 

自分自身との対話。

 

誰にも見せない心の内側の悲痛な叫び。

 

明るく可愛らしい曲を求められ続けてきたモーツァルトの

 

心の叫びのようにも感じました。

 

 

一音一音が、なんてクリアで尊重されているんだろう。

 

 

砂漠の中で、やっとオアシスにたどり着いたような気分。

 

 

牛田くんのピアノを聴くと心が研ぎ澄まされる。

 

自分自身の「軸」というか「核」のような部分が

 

本来あるべき正しい位置に戻るような気がする。

 

そしてやっぱり自分は、この音色を聴くために生きているんだと思う。

 

 

 

やがて、オーボエの音色と共に うっすらと空から差す光と勝利への希望。

 

 

第一楽章の終わりよりももっと勢いのある渦巻く黒い雲に覆われて

 

突き抜けるように第三楽章が終わりました。

 

 

 

 

 

「ブラボ!」という男性の短い声が聞こえました。

 

湧き上がる拍手。

 

 

 

立ち上がり、マエストロの方に歩み寄り

 

敬意を示すように左手を胸に当てたまま笑顔で握手。

 

次いで、コンマス、副コンマスと握手。

 

 

笑顔の余韻を残して正面に向き直り

 

目線を上に向け、ほんの一瞬真剣な表情になる瞬間が好きです。

 

今の今まで偉大な演奏をしていた彼が、その瞬間だけちょっぴり幼く見えます。

 

 

深々と頭を下げて 両手を膝に当て

 

顔を上げると、きゅっと横に線を引くように口角をあげて笑顔になる

 

その一連の彼の挨拶が好きです。

 

 

 

 

お疲れ様!

 

ありがとう!

 

今日もやっぱり最高です!

 

 

 

 

 

 

 

 

アンコールは「トロイメライ」でした。

 

 

何度聴いても、同じ景色を見ることのない

 

不思議な牛田くんのトロイメライ。

 

 

 

最後に聴いてから、そんなに経っていないはずなのに

 

なんともいえない懐かしさを感じました。

 

 

10年前、牛田くんのピアノと出会って

 

久しぶりにピアノが弾いてみたくなり

 

楽譜を買って毎日一生懸命練習した曲。

 

初めてブログを書いたときの記事にもなったこの曲。

 

なかなか上手には弾けなかったけれど

 

自分の指が 聴き慣れたこのメロディを生み出しているのだと思うととても嬉しかった。

 

 

そして、

 

ああ、なんだろう。この気持ち。

 

 

帰りたい…。

 

家に帰りたい…。

 

故郷へ 家族の元へ帰りたい。

 

 

今の現実を生きる私がそう思っているのではなくて

 

もっともっと深い場所で 魂がそう言っている。

 

 

 

あっ…。

 

 

 

突然、今日のコンサートの意味を思い出しました。

 

今ここに 自分がいる意味を考えました。

 

 

78年前、突然日常を奪われてしまった人達。

 

失われていった14万の命。

 

母を失った子供。

 

子を失った母。

 

 

この人達の魂は、ちゃんと家族の元へ帰れたのだろうか…。

 

 

 

やっぱり明日、原爆資料館に行ってみよう。

 

平和への祈りを捧げてこよう。

 

 

 

 

 

心にしみた~!今日の牛田くんのトロイメライ

 

(T^T)゚。

 

 

 

 

カーテンコールで再び登場した時は

 

にっこり微笑んでオーケストラに大きく左手をかざしました。

 

 

挨拶を終えて、颯爽と舞台を去って行く後ろ姿。

 

ああ、なんて素敵なピアニストなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モーツァルトのコンチェルトを、ものすごく集中して聴いたため

 

休憩後はかなり脱力してしまいました。

 

 

 

ピアノが姿を消し

 

割と近い距離で半円を組んで座るオーケストラ。

 

最前列は全員男性です。

 

メガネ率高し。

 

なんか、雰囲気いいな。楽しそう。

 

このメンバーで終演後に打ち上げに行ったら楽しいに違いない。

 

 

 

などと考えていたら

 

全貌を現わしたラトビア出身のマエストロ。

 

 

スタンドカラーの黒い上着。

 

キャッチコピーをつけるなら、「気は優しくて力持ち」。

 

野球をするならキャッチャーですね。

 

柔道着も似合いそう。

 

ちなみに白帯。受け身は得意だけど技をかけるのが苦手(失礼)

 

そして、絶対絶対優しくていい人♡

 

 

大きな体なのに指揮は割と控えめで

 

時々見える笑顔がとてもチャーミングでした。

 

 

 

ここ数日忙しかったのと

 

日中の暑さと長距離移動の疲れが出たのか

 

本来なら気合いを入れて聴くべきであろう第九なのに

 

ウトウトと睡魔に襲われてしまいましたあせる

 

 

 

 

第二楽章が終わると

 

ぞろぞろと合唱団が登場しました。

 

女性は白いブラウスに黒のロングスカート。

 

男性は、黒蝶ネクタイのタキシード。

 

さっきの牛田くんとおんなじだ。

 

この中に牛田くんが紛れ込んでたら嬉しいのにな~ラブ

(絶対ガン見しちゃう…)

 

 

合唱団はすぐには歌わずに静かに着席しました。

 

 

続いてソロの4人も登場。

 

女性2人が華やかなピンクと紫色のドレスを着ていたので

 

舞台は花が咲いたように彩られました。

 

 

 

私の母が、何十年もコーラスをやっていて

 

毎年第九を歌っていたようなんですが

 

子供の頃のことだったので、あまり興味も記憶もなく…。

 

 

第九は『歓喜の主題』こそ知っていたものの

 

それ以外はこんな曲だったのか~、とあらためて知りました。

 

 

 

第四楽章で突然立ち上がり歌い初めた合唱団とソロの方達の歌声に眠気も吹き飛び

 

人間の声の持つパワーに圧倒されました。

 

 

 

 

会場はブラボーの声と共に熱く沸きました。

 

 

ああ、来てよかった!😭

 

 

 

 

 

 

初めて見たポーガマエストロの指揮ももちろん素晴らしかったけれど

 

正直やっぱり井上マエストロの指揮が見たかったなあ、と少し寂しく感じました。

 

 

 

 

 

 

 

主催団体『愛は平和を運ぶ』のTwitterXより

 

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お二人とも、和やかないい表情キラキラ

 

 

牛田くん、今回は日本で少しはゆっくり出来たかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

欲張っていろいろ書いてたら、またしても文字数オーバーになりそうです😓

 

 

 

 

 

 

次の記事に続きます。