皆さまー!
ついに、ついにこの日がやってまいりましたーっ!![]()
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2019年8月31日(土)14時~
井上道義×牛田智大×読響
《華麗なるプロコフィエフ》
かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
最後に牛田くんの演奏を聴いたのは、今年の5月6日、新百合ヶ丘にて。
それから約4ケ月。
牛田日照りに喘ぎながら なんとか頑張って過ごしてまいりました。
考えてみたら、6年前に牛田くんのファンになってから、こんなに間があいたのは初めてかも。
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
蝉ノ死骸ニモ夏ノ暑サニモマケズ…
深刻な牛田不足に耐え抜いて、よくぞここまで頑張った。
エライぞ、自分!
さて、このかつしかシンフォニーヒルズ、
以前も牛田くんのリサイタルで訪れたことがあるらしいのですが、
・・・全く記憶にありません![]()
探してみたら、ありましたよ!当時のチラシ。
この時は、モーツァルトホールではなく、お隣のアイリスホールでリサイタルだったんですね。
・・・って、まだ思い出せない。どうしよう
ヤバいぜ、自分!
同じ東京都とはいえ、初めて降り立った(気がする
)青砥は遠かった。
駅の前にはヴァイオリンを弾く男性の像。
「ワルツの塔」と書いてありました。
かつしかシンフォニーヒルズのモーツァルトホール。
1318席の立派なホールです。
この日のプログラム。
♪プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調Op.26
♪ペンデレツキ:広島の犠牲者に捧げる哀歌
♪プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲から(井上道義セレクション)
1.モンターギュ家とキャピュレット家
2.朝の踊り
3.ロメオとジュリエット
4.情景
5.メヌエット
6.朝の歌
7.アンティル諸島から来た娘たちの踊り
8.タイボルトの死
9.ジュリエットの死
舞台中央に置かれたピアノはYAMAHAのCFX。
ついこの前までワルシャワのショパンの聖地で、どっぷりとショパンの世界に浸かっていた牛田くん。
時差のあるワルシャワから帰国したばかりで、ショパンとは全くタイプの違うプロコフィエフを演奏するのって、
体内時計も気持ちの方も、切り替えがとっても大変なんじゃないかしら。
牛田くん、お疲れではないかなあ。。
オーケストラがスタンバイし、井上マエストロが登場しました。
頭はツルツルだけど、お顔はハンサムです。
今ちょっと調べてみたら、実のお父様がアメリカ人なのですね。
そして、ご自身がそのことを知ったのは、45歳のときだったとか!
蛇腹状に波打つ生地の、個性的な黒いスーツをお召しになってました。
やがて、私の胸は苦しくなるくらい早鐘を打ち始めました。
ああ、待ち遠しかったこの瞬間。
登場しました。牛田くん!
まず第一印象で感じたのは、すっかり大人のオーラを身に纏っていること。
前髪を斜め横で軽く分け、額が見えているからでしょうか。
すっきりとした印象で、少し痩せたかな?と感じました。
黒いジャケットとパンツに黒のハイネックという黒牛田スタイルです。
いつもよりは少し硬い表情で挨拶をすると、ピアノの前に座りました。
クラリネットの静かな独奏が始まると、まだ鍵盤に置かれていない牛田くんの右手が
指揮をするように、踊るように、小さくリズムを刻んでいました。
オケの演奏は徐々に登り詰め、
解き放たれるように、勢いよく宇宙に飛び出すように、ピアノの演奏が始まりました。
この瞬間、私はいつもディズニーランドのスペースマウンテンを思い出します。
ゆっくりと徐々に空高く上がっていき、
突然ものすごい速さで広大な宇宙に飛び出していく爽快感。
牛田くんの表情は真剣そのもの。
びっくりしているように、大きく目を見開きピアノと対峙しています。
前方の席で聴いていたので、牛田くんの息遣いが伝わってきて
よく見たら湯気が立ち上っているんじゃないかしら、という熱気と集中力に圧倒されました。
洗練された、男らしい音色。
そして、なんて彩豊かで繊細な音の広がり。
指ならしの音階練習をしているようなメロディが
徐々に速さと強さを増していき、
最初は鍵盤の上でじゃれている黒猫が
やがて黒豹に、そして巨大な魔王になってピアノをねじ伏せている。
今目の前にいるのは、少年ピアニストでも、青年ピアニストですらもなく、
立派な男性ピアニスト。
そこにはショパン(文系)の名残などどこにもなく、
理知的で、冷静で、それでいてものすごい情熱を秘めている理系男子。
時々眉根を寄せて 痛みに耐えるような表情をしたり、
牛田くんの集中している時の独特の癖で
桃色の舌が顔をのぞかせたり引っ込んだり。
どんどん難度を上げていくゲームを攻略するように、
指の動きはありえないような速さで音を刻みます。
込み入った幾何学模様の絨毯を織り上げるように
アレグロで刻む音の階段を昇り詰め、第一楽章のフィニッシュ!
あまりにも鮮やかでキレがあり、拍手したいのを必死でこらえました。
第一楽章が終わると、椅子の横のつまみを回して、高さを少し調整。
…ん?もしかして牛田くん、風邪気味かな…?
静かなメロディで滑り出す第2楽章。
静かな湖の水面の煌きを連想していると、いきなり知らない世界に引きずり込まれる。
行先の分からない列車に飛び乗ってしまったような
不可思議な現代アートを見せられているような
なんともいえない感覚に、好奇心が刺激される。
こんな感覚初めて!
知らない国の言葉をペラペラと話しているような牛田くんのピアノ。
それにやっぱり外国語で答えるオーケストラ。
何を話しているの?どこに連れていかれるの?
ああ、もう!なんなの?この癖になりそうなプロコフィエフの食感は!(≧∇≦)(食べてません)
第3楽章。
はじける弦楽器のピチカートとボソボソ独り言を言っているようなファゴット。
オーケストラのおしゃべりに無遠慮に割り込むピアノ。
なぜだかとても日本的だと感じる。
祭りの神輿を見ているような。
和太鼓の連打を聴いているような。
やがてピアノとオケは融合して大きな湖に。
…と思ったら再び始まる祭り唄。
だんだん速さを増し、強さを増し、牛田くんの背後には熱い炎が見えるよう。
額から滑り落ちた汗の雫が、顎を伝って ぽとり、ぽとりと落ちていく。
縦横無尽に鍵盤の上を動き回る指から紡ぎ出される骨太な音の輪郭。
きりりと濃い墨でしたためられた『日本男児』の文字が頭に浮かぶ。
指の動き、腕の動き、力強さ。
クラクラするようなグリッサンド。
なんてアクロバティック!
猛スピードで駆け上がり、駆け下りる。
まるでスポーツ観戦をしているみたい。
モー本当に、なんなの?プロコフィエフ!(≧∇≦)
やがてそれは一層激しさを増し、登り詰め、
スケールで測ったかのようにピッタリと息を合わせてオケと共にフィニッシュ!
沸き上がる拍手と飛び交う「ブラボー!」の声。
牛田くんは立ち上がり、マエストロとガッチリ両手で握手。
コンマスにも手を差し出し握手。
牛田くんの顔には無数の汗の粒が光っていました。
そんなにたくさん汗を流しながら なお爽やかに
いつもよりクールな印象のまま、舞台袖に消えて行きました。
アンコールに弾いてくれたのはショパンの前奏曲第4番。
ワルシャワ帰りの牛田くんのショパンが聴けると言うだけで
感激のあまり鳥肌が立ちました。
ちょっと待ってよ。
この切り替えの早さは何?!
そこにはプロコを理知的に弾きこなす日本男児の片鱗はなく
哀しさと寂しさとせつなさに沈むショパンの想いが切々と。。。
これさっきとおんなじピアノ?と疑いたくなるくらい柔らかな輪郭の音色が
心の隅々まで染み渡ります。
牛田日照りでカラカラに乾いていた全身の細胞ひとつひとつを
静かに潤してくれる牛田くんのショパン。
ショパンの生家を訪ね、ショパンのことを想って過ごした中で
彼は何よりも「哀しみ」というショパンの感情に
寄り添ってきたのではないかと感じました。
そして、彼が演奏家として、また少し遠い人になったことを
世界にその翼を広げていることを実感しました。
休憩が終わる前に、マエストロが舞台に姿を現しました。
マイクを手に持って会場を見渡すと、
「この かつしかシンフォニーヒルズのモーツァルトホール。
いつもはなかなか満員にならないんですよ。
今日は満員になってうれし~い♪」
と言って、優雅にくるりと1回転ターン。
会場はどっと沸きます。
「さっきの牛田くん。もう19歳です。
残念ながら、かわゆーい少年ピアニストはもうどこにもいません。
大丈夫?みんなついていける?」
会場からは笑いと共に「ついていけますとも!」の拍手。
「最初、練習の時は、彼の演奏を聴いて、『なんだ、牛だな。』と思ったけど、
ゲネプロ、そして今日の本番、立派な闘牛になったね!」
と。
前々から一度この方の指揮で演奏を聴いてみたいと思っていましたが、
それ以上にマエストロのユーモアのあるトークとサービス精神に惹きつけられました。
なんでしょうね。この求心力は。
今日は牛田くんのコンチェルトが一番最初だったので、
私の中で、コンチェルトが終わったらコンサートは終わり、的な感覚でいたのですが
この魅力的なマエストロに興味津々。
次に演奏する「広島の犠牲者に捧げる哀歌」について説明してくださったり
指揮者用のスコアを見せてくださったり、
「この曲を世界で一番うまく指揮できるのは私です!」
と言いきったり、
もう、期待以上!(≧∇≦)
「広島の犠牲者に捧げる哀歌」は
なんとも不思議な曲でした。
ただただ順番にいろんな高さで
弦楽器がキーーンと音を鳴らすんです。
メロディなんてひとつも存在しないんです。
その背後には、鳥の大群のように真夏の空を黒く染めるB-29の大群が
そして、それに怯える人々の恐怖と不安が
まるで私自身が戦争を体験したかのように目に浮かぶのでした。
こんな曲を聴く機会はなかなかないと思うので、とても貴重な経験をしたと思いました。
けど、CD売れるんですかね?これ(;^ω^)
だって、いろんな高さの蚊の音をずっと聴かされてる感じなんですもん。
嫌いな相手へのプレゼントにはいいかと思います(←コラ)
最後のロメオとジュリエットは、演奏はもちろんですが
マエストロの個性的な指揮にモー釘付けでした。
駄々っ子のように両手をジタバタさせてみたり、
おかまのように身をクネクネとよじらせてみたり、
こんな楽しい指揮は初めてです。
マエストロの表情が見られるオケの方達に軽い嫉妬を覚えるほど(笑)。
でも、客席から聴く醍醐味もありました。
見事なツルツル頭が、徐々に汗で潤い
照明の光を受けてキラキラと輝き
やがて幾筋もの雫となって 球体の丘を滑り落ちる様は宇宙の神秘![]()
(ダメな客だよ
)
でね、アンコールはなんだろう?とワクワクしていたんですが、
マエストロ、客席に向かって大きな声で
「(ロメオとジュリエットは)死んじゃったのでアンコールはありませーん!」
だって!
(≧∇≦)(≧∇≦)(≧∇≦)
その潔さも好きー!
というわけで、今回のコンサートは
まったりと余韻に浸ると言うよりは
スポーツで汗を流した後のように
清々しい気分で会場をあとにすることが出来ました。
ホールの前にあったモーツァルト像。
ああ、久しぶりに牛田くんのピアノが聴けて幸せ![]()
そして、久しぶりに、牛田くんのレポ記事が書ける幸せ![]()
夏の終わりにとっても素敵なご褒美をいただきました。
牛田くん、帰国早々の演奏会で大変だったけど
見事なプロ意識と素晴らしい演奏で魅了してくれました。
ありがとう!
明日はオペラシティで出光音楽賞受賞者のガラコンサート。
ハードスケジュールが続くけど、楽しく気持ちよく演奏されますように!






