チャレンジ四年目の秋にして、ようやく釣れた。公開情報の提供者の方々には感謝に堪えない。

 

初関東産キンブナをなんとか釣り終えた私は、その日のうちに霞ヶ浦に移動し、翌日の夜明けから霞ヶ浦の土浦入の北岸で釣り始めた。

 

使ったのはヘラブナ用の仕掛けで、十八尺の硬調ヘラ竿に結んだ。道糸1.5号、ハリス0.8号15センチと25センチ、ハリはへら改良スレの7号を使った。エサは直前まで迷ったが、結局ダントウボウには実績のある野釣りグルテンダントツの単品ではなく、寄せ重視で徳用マッシュポテト:ダントツ:水=25cc:2包:50ccにした。タナは水深1メートル弱の底で、オモリが底ズル状態になるようにした。

 

そしてその三投目、左にゆっくり動いていたウキが三目盛沈んだ。

 

いきなりで面食らいながらもアワセると確かな手応え。

 

だが魚はすぐに浮いてきて、遠くで反転した。

 

その姿を見て反射的に思い浮かんだのは、カナダのフレッシュウォータードラムだった。いるはずはないのだが。

 

少し寄せ、水面に上向きに近づいたその口を見ると肉厚だったので、コイかと思ったが、体は平たいのでヘラブナだと結論し、このポイントってそんなにヘラが濃いのかと思いながら、タモの柄を汚さないようにバケツの水で左手を洗い、さあ取り込むかと前を向いたらまさかの本命で、「ああ!ダントウボウだ、やった!」と思わず口走っていた。

 

そして取り込んだ瞬間、「釣れたー!」と叫んでいた。

 

 

初めて釣ったダントウボウ、42センチ。

 

初ダントウボウの俯瞰。非常に側扁していて平べったい。

 

初ダントウボウの腹側。腹ビレ基部から肛門にかけてキールが走り、尻びれが長い点はコクレンと通じている。

 

背びれはとても短いが高さは結構ある

 

背びれとは対照的に非常に長い尻びれ

 

初ダントウボウの頭部。体に対して非常に小さいため多くの身が得られることは、北米のレイクホワイトフィッシュと同様だ。

 

初ダントウボウの正面

 

初ダントウボウのフナよりもずっと細かなウロコ。遠目で見てドラムが直感的に浮かんだのも無理はなかった。

 

まさか三投一尾目で釣れるとは思わなかった。これまでの苦戦から、チャネルキャットフィッシュ対策として手返し重視でサソリのクルーシャンというチチワ付きのヘラバリを5セット計100本も用意し、野釣りグルテンダントツを大量に仕入れて臨んだのに. . . . という嬉しい嘆き。

 

これで終わっても良かったが、エサが無駄になるので続けることにした。

 

その20分後、ボディの1/3が出る食い上げで釣れてきたのは、なんとまたしてもダントウボウで、初物とほぼ同サイズだった!

 

二尾目のダントウボウ、42.5センチ

 

ダントウボウは群れで回遊するようなので、続けて釣れることが多いようだが、それにしてもこのポイントは他に釣れたのが幼魚斑が残る小さなチャネルキャットフィッシュ二尾、掌サイズのコイ一尾、それにイナ一尾だけだったことを考えると、まさにダントウボウのホットスポットと言え、いるところにはいるものだとつくづく実感した。

 

四年近くボウズだったのがいきなり二尾も釣れてしまったが、ダメ押しは、午後のオオタナゴ釣りでいつものスポットでやっていた時に、オオタナゴは一尾しか釣れないので少し上流の岸寄りをマルキューの黄身練りで探っていたら、この日三尾目となるダントウボウが来たことだった。春にはここでヘラ釣りスタイルでボウズを食らったというのに、皮肉なものだ。

 

この日三尾目となった約25センチのダントウボウ。ギルにしては弱いファイトの中で思い浮かんだのは、これもいるはずもないカナダのクラッピーだった。タモがなかったのでイマカツよろしく護岸に寝そべってハンドランディングしたが、その際ひなた六尺を折ってしまった。

本種は小さいうちは背びれがさらに高い。観賞用にもなる所以だ。

 

 

ダントウボウは霞ヶ浦の比較的新顔の外来魚で、コイ目コイ科メガロブラマ属。学名Megalobrama amblycephala、英名はWuchang breamで武昌のブリームの意味だが、ブリーム類は北米にはいないので、私自身ブリームを釣ったのはこれが初めてとなった。標準和名のダントウボウは、中国での本種名(武昌魚)の別名である团头鲂(団頭鲂)を日本語読みしたもの。養殖対象魚種として日本に導入され、1986年以降、霞ヶ浦にある茨城県水産試験場内水面支場で飼育実験が行われていたものの、霞ヶ浦への移入経路は不明とのこと。2002年に学術的に初めて霞ヶ浦で確認され、2009年以降霞ヶ浦に流入する小野川の下流の定置網に隔年的に入るようになり、2016年とその翌年は毎年入るようになった。また、ヘラブナ釣りなどの外道として2013年頃から釣られるようになっている。

 

私が初めてダントウボウという魚の存在を知ったのは2018年の秋のことで、いつもチェックしていたあるたなご釣りのブログで、管理人の方が霞ヶ浦でたなご釣りの外道として小さなダントウボウを釣ったという報告をされた時だった。

 

そこで翌年の2019年に土浦港で初めてダントウボウを狙ってみた。この時はヘラブナの外道としてダントウボウが釣れた実績のあるピンポイントで、十八尺の延べ竿を使ったキヂの底釣りで挑んだが、全くアタリさえなかった。

 

やはりヘラ釣りスタイルで寄せて釣らないとダメだと判断し、翌年春にはヘラ釣り仕掛けで、より釣りやすい(つまり人の少ない)別の実績ポイントで挑んだものの、野釣りグルテンを混ぜたせいか、アメナマの猛攻を受けて釣り続ける意欲を奪われ、早々に退散した。

 

その後、別の実績ポイント三箇所を含めた計四箇所で、時にはミミズで、時にはヘラ用練り餌で狙ったものの、四年目の春まで外来魚釣りの女神は微笑まなかった。

 

ダントウボウの数はピークを迎えたのか、これからまだ増えるのか、在来魚への影響など、これからも注意してウォッチするつもりだが、すぐに浮いてきて後は首を振る程度でヘラよりもずっと引きが弱いことがわかったので、また釣るかどうかわからないが、オオタナゴ釣りで訪れる時は外道として掛かるかもしれないので、今度はマブナ用に自作した振り出しミニタモを携えることにしよう。

 

2023年10月初旬に霞ヶ浦でオオタナゴ狙いの外道として釣れた自己最小記録のダントウボウ。自家製黄身練り使用。