「音楽を聴いてて位相が気になる人っていそう」
ちょっと興味を持って位相補正プラグインを物色中です。デモが試せるのはありがたいですね。
位相というのは音楽を作っていればどうしてもぶつかる壁みたいなもので、わかりにくい場合もあれば、誰が聴いても「うわ、気持ち悪っ」と感じる場合もあります。特にポップスでベースとドラムのキックの干渉が気になる人はフレーズごとに波形を切り刻んで揃えることもあるとか。
確かに全トラックの波形を切り刻んで位相を合わせれば最高で確実とは思いますが、かかる労力を考えたらやりたくありません。そこで位相補正プラグインの出番です。
位相補正についてはSound Radixというメーカーがプラグインを色々出しています。他にも大手メーカーであるwavesからはinPhase。変態ブランドとして有名な(?)Melda ProductionからもMAutoAlignという製品が出ています。
個人的にwavesはお腹いっぱいな感じだったので、候補は
Sound Radix Pi
Melda Production MAutoAlign
の2つに絞られました。この2つの違いを理解するのにちょっと時間がかかりましたが、動作の仕組みについてはまったくの別物です。
まずSound Radix Piですが、グループごとにトラックの位相を自動で(可能な限り)揃えてくれるというプラグインです。複雑な操作はまったく必要なく、トラックに挿してグループを設定してやればほぼ終わりです。超簡単。視認性も良いです。これは内部に持ったバッファを使って、そのバッファ内にあるオーディオの位相を揃えるという動作をします。乱暴に言うと、非常に短く切り刻んだオーディオを常にタイムストレッチをしているようなものです。その"おかげ"で1曲を通して常に位相を揃えることができますが、その"せい"で意図しない気持ち悪い音になることがあります。気持ち悪い音というのはテープ速度が一瞬遅くなったような、そんな感じの音です。この音が出たらそのセッションは外れかもしれません。Piを使うのを諦めることを検討すべきかもしれません。
お次はMelda MAutoAlign。上記のPiと最も異なる点は価格(笑)。Piは$249ですが、MAutoAlignは$49と1/5の価格です。安いですね。
それと画面の最下段に「sample」「ms」などの単位があることからわかるように、これはディレイです。こちらもグループを設定できますが、Piと違ってそれで終わりではなく、位相をそろえたい場所で曲を再生しながらANALYSEボタンを押すと、位相が最も揃うようにオーディオがずらされます。この時ANALYSEボタンが押されたトラックを基準にしてその他のトラックに影響を与えます。
そしてリアルタイムで計算しないので1曲を通して常に位相を揃えることはできませんが、そのおかげで意図しない気持ち悪い音になることはありません。
これはマニュアルにも記載されていますが、1曲を通して全てを完璧に揃える事はできないので何回かANALYSEを試して自分に都合の良い設定を見つけて欲しい、とのことです。
さて、これらの情報を踏まえて出た結論といえば「どっちも必要なんじゃないか?」というものでした(笑)。
Piが完璧ならMAutoAlignは必要無いのですが、Piが対応できないような音源の場合はMAutoAlignが必要になってきます。まあPiに比べたらMAutoAlignは安いですしね…一緒に買うというのは良いかもしれません。
ちなみに位相を揃えた結果が良好だったのはPiです。位相を揃える前の状態を0として、Piを100だとしたらMAutoAlignは60くらい。