軍曹!時間だ!… -5ページ目

Z務省「戦車いらない」ジャベリンでいいよ。

うむ。

弱ったものだな。

ウクライナ戦争の余波で戦車無用論が政府にまでか?

そうだな。

緊迫する安全保安環境に即応する事が必要である。

 

そもそも、戦車を撃破しようとする兵器が対戦車兵器であり、適した運用が出来るのであれば対戦車兵器が強いのは当たり前だ。

しかし、対戦車兵器は一つの兵器で成り立つものではない。

例えば、米軍だがTOW>ジャベリン>LAWというように射撃距離に応じて大まかには3段階に分かれている。

陸自でも多目的誘導弾システム(MPMS)>重マット(79ATM)>中マット(87ATM)>軽マット(01ATM)/84mm無反動砲>LAM(110mm携帯対戦車弾)というような具合だ。

もっとも今は重マットと中マットは中距離多目的誘導弾に統合されてはいるが。

 

まあ、官僚様は頭がいいのでしょうから、「戦車はいらない。対戦車ミサイルで十分」という短絡的な考え方ではなく、「危険はすぐそこにある(と思う)ので戦車などの予算をジャベリンやNLAWの様な対戦車ミサイル購入に回し、国民全員に配り即戦力を高めるとともに、抑止力とします。」という事なのだろう。

 

うん。

そうに違いない。

独占!北の守り『北鎮』戦車部隊を緊急取材

いやー、『3月はとうとう更新しなかったな。4月ももう中盤だ・・』

などと思ったら、『2月も更新してないじゃん!』と気づいた。

だめだな

 

さて、ウクライナの状況でもと思って、色々調べていたら

90式戦車の内部部公開の情報が入った。

 

 

取材先は第72戦車連隊5中隊である。

 

準備も地味に大変だ。

74式車載7.62mm機関銃

重量は22kgもある。

これ持って下車戦闘しなくちゃいけないから戦車乗員は腕力が必要だ。

12.7mm重機関銃の銃身だ。

銃身だけで11kg、銃本体が27kgある。

田中美優3尉は今取材で焦点が当たった小隊長だ。

 

小隊長車は92式地雷処理ローラを装着できる90式戦車(B)だ。

ヘッドライトやウインカーを地雷の損傷から守るための透明カバーが装着してある。

 

いよいよ内部公開だ。

砲主席側から見た車長席だ。

右と後ろのリブの付いたものはオイルヒーターで温かい。

冗談だ。射撃統制用のコンピューターであり、冬温かく夏熱い。

 

キューポラの潜望鏡(ペリスコープ)の説明である。

頭後ろの「潜望鏡」と書いてある箱は予備の潜望鏡入れ

「手リュウ弾」と表記されている箱には自己防衛用の破片手榴弾や発煙手榴弾、自己戦車破壊用の焼夷手榴弾(テルミット)などを必要により入れる。

前方には車長用照準潜望鏡の接眼部とサーマルモニター(熱線映像画像表示器)

サーマルモニター下の車長用パネルは防衛秘密上から隠されている。

 

操縦手用の潜望鏡である。

61式や74式戦車の様に汚れたらハッチをチャチャっと開けて拭くという事が不可能なためにワイパーが装備されている。

当初はウォッシャー液のパイプをハッチに挟んで切ってしまう事案が散見された。

 

砲手席の砲手用照準機ハンドルである。

上部の黒いものは引き出して使う胸当てだ。

砲手の上半身を固定し走行間でも照準を容易にする。

レオパルトやエイブラムスにも同じようなものが付いている。

砲手用パネル等も撮影不可だったようだが、朝霞駐屯地入り口にある「りっくんランド」には試作車のものが触れるようになっていた。試作車のものは御覧の様に白色ではなくOD色だ。

半面、操縦席は大盤振る舞いだ。

 

戦車射撃必中のために絶対必要な準備

「ボアサイト」だ。私の若いころは「照準規正」といったが、90式戦車導入で名称が変わった。砲腔に砲腔視線検査具(MBS:マズルボアサイトシステム)を入れ砲腔中心軸線と照準中心軸線を合わせる。

この様に助手による誘導方法と、インターコムを使用する方法がある。ボアサイトが正確でないと3キロも先の目標には当てられない。

ウクライナ戦での交戦において、僅か100mほどの射距離で外すなんて考えられない。ボアサイトしてないんだろうな。

 

 
 

風の修正はボアサイトと関係ないな。

余談だが、納入当初の輸入120mm砲付属のMBSはカールツァイス製だった。

 

「砲抜き」って何?

「砲腔手入れ」の事か。

私は言ったことないけど、今は普通に言うのだろうか?

 

頑張ってほしい。

彼女彼等の訓練が無駄にならぬ事を切に願う。

戦車の戦術上の運動性能①(戦車工学)

1・2・5 戦術上の運動性能

 

 戦術上の運動性能というのは戦車が戦闘任務を遂行するため、戦場の各種の地形を長時間にわたって機動し得る能力をいうのである。各種戦車の戦術上の運動性能を比較するための規準は、部隊に編成された戦車の戦場における行動の平均速度である。

 戦場における戦術上の速度は戦車の極めて重要な戦闘的特性であって、不意討とか急襲とかあるいは戦車自身弾丸の命中をまぬかれる事等は一にその戦術上の運動性能によるものである。しかしながら、戦術上(又は戦闘上)の速度はいろいろな条件(即ち地形の起伏、障害物の存在、天候等)により著しく左右されるもので、全く同一の戦車でも差異を来すものであるから、これを戦車が戦場において継続的に機動し得る能力の指標とする事は出来ない。

 戦術上の運動性能を向上させるための技術的処置としては、装軌車両に於いて次の様な基礎的性質を確保する事に帰着する。

 

1) 各種地形の踏破力

2) 各種障害物の突破力

3) 十分な速度

4) 行動の持続力

これら各々の特性の1つ1つについてその保証し得る限度を研究してみよう。

 

各種地形の踏破力

 各種の地形(すべての天然の障害を含む)を通過踏破し得るためにまず次のことを予定しなければならない。

  

  a) 接地圧が小さい事

  b) 地面との粘着が充分である事

  c) 斜面を自由に昇降し得る事

  d) 横方向に傾斜したまま運行可能である事

  e) 地上高が充分である事

  f) 水の障害を克服し得る事

  g) 旋回性能が充分である事

 

以上羅列した各項目の技術的特性をそれぞれ簡単に研究してみよう。

 

a 接地圧 現代の装軌車両に対し泥濘地、沼沢地、積雪地等を踏破し得る事が要求される。これに応じて接地圧に対する要求も各々であり、次にこれを表1・6にして示してある。

表1・6

走 行 部 の 種 類

接  地  圧

人   間   の   ス   キ  ー

雪     路     用     橇《そり》

雪  路  用  無  限  軌  道

砂地及び泥濘地踏破用無限軌道

軽 戦 車 の 無 限 軌 道

重 戦 車 の 無 限 軌 道

0.03~0.05

0.05~0.1

0.02~0.2

0.3迄

0.4~0.5

0.8~1.6

 

 接地圧を減少させる事は一方では設計上過度に幅の広い履帯と、長い接地面を採用する事が出来ない事と、又他方では土地との粘着をよくすることが出来ないという事から一定の制限を受ける。

 接地圧は通常地面に対し荷重が一様に分布されているものとして、戦車の全重量(kg)と履帯の接地面との比を以て表される。然しこの様な仮定は履帯がいくぶん地面にめりこんで、履帯の下側が緊張した時に始めて充分な正確さを以て正しいと考えられるものである。

従って、接地圧は

 

g=G/L₀b[kg/cm²]

 

で表わし得る。ここにL₀は接地面の長さ、bは履板の幅である。

 路面が硬い場合は戦車の重量は接地点すなわち走行転輪部のみにかかり、転輪同志の中間には履板の重量がかかるばかりで、戦車の重量はかからない。この場合の接地圧は計算上の値より平均して5倍ないしそれ以上の圧力となる。

 

b) 土地との粘着 土地との粘着は土質と履帯の構造とによってきまる。防滑板(履板にある突起)あるいは窩(くぼみ)(防滑板に伴って出来る窪み)を履帯に付け、あるいはこれらを履板上に合理的に配置する事によって、粘着係数を著しく高めることが出来る。土地が軟くて、走行抵抗が極めて大きく、したがって最大の牽引力を必要とする時、すなわち沼沢地、泥濘地、或は積雪地では充分な粘着を確保する事は特に困難である。

 粘着が不充分な場合には履帯が空回りするか、あるいは戦車そのものが(下り坂或は上り坂に於いて)滑ることになる。

 粘着の特性を表す係数の最大値は牽引力の計算の項に示しておいた。

 

c) 登坂及び下降 戦車の真に価値ある技術的特質中の1つは急勾配においても自由に行動し得るという事である。大部分の土地の自然の傾斜角は27~30°を超えないが、稀に45°の斜面に出逢う事もある。現代の戦車は45°の短い斜面を征服し得る事が要求されている。

これらの上り傾斜(又は下り傾斜)を征服し得るためには、十分な粘着性の外、なお次の事項が必要である。

  i) 変速機の歯車比が発動機の出力の余裕に応じて正しく選んである事

  ii) 最大牽引力の時、伝動装置及び操向装置の機能が確実である事

  iii) 傾斜した姿勢にあって、各機構が異常なく作動し得る事(主として発動機への燃料と潤滑油の供給等)

  iv) 車両が安定である事

  v) 車両が急斜面で行動する際、制動機の機能が確実である事

 

 地形上度々遭遇する20°位迄の普通の登り斜面を、約10~15km/h程度の速度で上り得ることは特に重要である。何故なら、通常、対戦車砲は戦車の速度が遅くなった時を狙うからである。

d) 横方向に傾斜しての運行 横方向に傾斜したまま運行する事は一般に山腹に沿って運行する場合で勧めた事ではないが、状況上27°~30°の角度で運行を余儀なくさせられる場合がある。故にこの要求を満足させる事も軍用装軌車に対し課せられた重要な要求の1つである。この要求を実現するためには次の事が必要である。

 

 i) 履帯及びそれを取付けている機構が適当な強度を持ち、適当な構造になっている事

 ii) 傾斜した位置で各機構が異常なく作動し得る事(発動機への燃料と潤滑油の供給等)

 iii)   運行方向の安定性、この事に就いては「操向装置」の章中で述べる様に、ある種の操向装置、例えば単一及び二重差動式では運行不可能である事は始めからわかっている(但しウォーム歯車を持ったハノマーグ型差動式を除く)。

 

e) 地上高 地上高の必要な事と各種戦車に対するその値とは既に述べた所である。ここでは車体の下部には、たとい地上高の範囲外であっても、突出した部分が少しもない様にする必要があるという事を強調するに止める。これは不整地を通過する時、破損を招く恐れがあるからである。

 

f) 水障害の通過 戦車は水の障害に対しては次のいずれかによりこれを通過する。

 

 i) 浅瀬を通過する

  ii) 浮遊して通過する

 iii) 水底を運行する

 

 浅瀬を通過する事により水の障害を克服するためには、一定の高さまで車体に水密性を与えておく事と、又水に侵され易い装置や器具が水にぬれない様に防御することを心掛けておく必要がある。戦車の制作に当たっては組立ての際、車体の水密性に対し試験をなすべきである。

 車体の総ての孔は、通過する浅瀬の限度より上方につくるものであるが、もしそれより低い所に設けられる孔や窓は密閉する様にしなければならない。

 現代の戦車が渡渉し得る浅瀬の水深は次に示す様なものである。

 

  軽 戦 車   0.5~0.8m

    中 戦 車   1.0~1.5m

  重 戦 車   1.3~2.0m

 

 戦車が水の障害を浮遊して渡渉するためには、戦車は浮力と十分な安定度と、浮遊して運動するのに抵抗が少なくなる様な適当な車体の形状とを持っていなくてはならない。又船用の螺旋推進機《スクリュー》(或は他の船用の推進装置)や舵を持ち、更に特殊の救命用具等を備えていなければならない。海軍の陸戦隊用水陸両用戦車は5~7km/hの速度で第5級の波[i]迄は乗越える能力を備えていなければならない。

 水底を運行して水の障害を通過するためには、戦車は特に完全に水密となし、かつ車体の形状もこれに適応したものにする事が必要である。これがためには履帯が水底と十分に粘着し得る様にするとか、その他の方法を講じなければならない。

 その他この様な戦車は水中羅針儀、進路表示器、深度表示器、水上観測器、乗員及び発動機へ空気を送る装置、排気ガスを除去するための特殊器具、及び救命具等を設備せねばならない。

 g) 戦車の旋回性能 旋回性能即ち迅速に運行経路を変更する能力は、戦車に若干の天然及び人工障害物を克服する(又は迂回する)可能性を与え、又戦場では敵の弾雨の下にあって急に進路を変更する可能性を与え、従って敵の対戦車火砲の射撃照準を困難ならしめる事が出来る。

 対戦車火砲の射撃速度は、続けて射つ2発の間隔が平均12sである。この間に戦車は旋回し終わって更に前方へある距離だけ進む必要がある。

 戦車の旋回にはエネルギーの消費の増大を余儀なくされるものである。従って若し旋回するために、変速機の変速比を切換えなければならないとすれば、前述の12sでは不充分である。

 故に中位の速度で、しかも中程度の困難な状況の下で旋回をする場合に、変速を行わずに済むような操向装置や、走行装置の構造、変速機ならびに発動機の余力等が必要になって来る。戦車の旋回性能は戦車自体の構造(軌間距離{=左右履帯間の幅}に対する接地面の長さの比)、土地の性質、走行速度及び操向装置によって左右されるものである。

 現代の戦車お操向装置は未だなお完全ではなく、旋回の際に制動のために非常に多くのエネルギーを消費する。したがって良好な旋回性能を確保するためには必ず発動機の余力を高める必要がある。

 総ての戦車はいずれも無限大の旋回半径から、軌間距離に相当する旋回半径に至るまでの種々の旋回半径を以て軽快に旋回し得る特性を持たなければならない。ある種の操向装置は軌間距離より小さな半径で旋回する事も可能であるが、今日の所この性能を総ての戦車の操向装置に対し要求するわけにはいかない。

 


[i] 「第5級の波」とは波浪の程度を表わす海洋気象学上の術語で、「浪稍荒し《なみややあらし》」と言い表されるものである。海洋気象学では波浪の程度を10階級に分ち、0級は「穏《おだやか》」すなわち波がない事を言い、9級は「怒涛」となっている。