ティーガーフィーベル(TigerFibel)に見るボアサイト(直接照準具の規正) | 軍曹!時間だ!…
2022年08月08日(月) 13時40分53秒

ティーガーフィーベル(TigerFibel)に見るボアサイト(直接照準具の規正)

テーマ:戦車射撃術

8月8日は何の日?

ハチハチもしくはアハトアハト

 

というこでお察しの通り

 

乃木坂46の最新シングル

 

『好きというのはロックだぜ!』

で、2度目のセンターを務める

8を愛し、8に愛された女

賀喜遥香(かきはるか)の誕生日だ。

21歳おめでとう!

同期の北川悠理(きたがわゆり)も21歳おめでとう!

 

表題と違う内容だな。

 

ハチハチ、アハトアハトと言えば

ティーガー戦車だ。

 

ティーガー戦車といえば、本日はティーガーエースとして有名なミハエル・ヴィットマン(Michael Wittmann)の命日でもある。(1944年8月8日戦死)

南無。

 

さて本題に入ろう。

 

超有名なティーガー戦車の指南書

 

ティーガーフィーベル(TigerFibel)である。

日本語翻訳版としては

学研より出版されている『[図説]ティーガー重戦車パーフェクトバイブル』に付録として付いている。

ところが、読む(読み込む)と「何を言いたいのか分からない」というのが正直な感想だ。

 

そこで、その昔、戦車砲教官をしていた知見からボアサイト(直接照準具の規正)が記された79ぺージの翻訳を試みた。

 

規  正

 

提 言

針の穴を通す様な精密・正確な照準をしても、命中しない事がある。

 

行軍中は常に大砲は固定されているはずだ。

ところが、走っている振動でズレる場合がある。

しかし、自分で調整し規正できれば問題ない!

 

まずは大砲:糸とそれを固定するテープやグリスが必要だ。

1. 砲口に印された位置に合わせ糸を十文字に張る。

2. 閉鎖機から撃発体を取り外す。

3. 撃針の穴から砲身を覗いて遠くの目標を狙う。

 

次に右照準望遠鏡光学系用の調整レンチが必要だ。

1.視力調整をする。 

2.砲の照準距離を0mに設定する。

3. 調整キーの保護カバーを外す。

4. 横方向に照準点(大三角形頂部)を目標に合わせる。

5. 縦方向に照準点(大三角形頂部)を目標に合わせる。

 

次に左照準望遠鏡:

1. 右照準望遠鏡に砲の射距離、1000mを設定する。

2. 右照準望遠鏡で目標を照準する。

3. 左照準望遠鏡に切り替える。

4. 視力調整をする。

5. 眼鏡間隔を調整し右照準望遠鏡に視界を一致させる。

6. 横方向に補助レチクル基点を目標に合わせる。

7. 縦方向に補助レチクル基点を目標に合わせる。

 

戦闘照準は1000メートルの射距離に設定されている。この場合、0から1000mの間の任意の2mの高さの目標に命中させる事が出来る。 1000 mを超える場合、三角形頂部を目標に合わせるか、三角形で目標を囲め。

 

最後は同軸機関銃: これには、穴あき薬莢が必要だ。

装填手のハルセンザックは常に持ち歩いている。

1. 尾底を外し、遊底を取り出したら薬莢を薬室に入れる。

2. 照準具の機関銃射距離を200~300mに合わせる。

3. 右照準望遠鏡の照準点で目標を狙う。

4. 穴あき薬莢から銃腔を通して、機関銃を目標に向ける。

5. 実弾射撃により確認する(零点規正)。

 

車体機関銃:実弾射撃により確認する(零点規正)。

 

教  訓

頻繁な砲の規正で射撃任務が達成できる。

 

以上である。

 

砲口に張る十字糸の状態

 

規正目標を見つけたら砲の規正(砲腔軸の検出)を行う

これが本来のBore(砲腔)Sighting(照準)

ボアサイトの意味である

 

当初、原本によるドイツ語翻訳を試みたが、照準望遠鏡の調整準備で「Hierzu brauchst Du einen Vierkant für Optik.」という文言があり、グーグルさんに尋ねたところ「このためには光学用の正方形が必要です。」との回答を得た。

なんだい?「光学系用の正方形」って。

正方形の目標なのか?平行ボアサイト標的のことだろうか?

《翻訳版》には「正方形[の目標]」という記載だ。

しかし、ティーガー戦車用は長方形だしな。

 

すると、英訳版を発見した。熱帯雨林で300円だった(キンドル版だけど)

そこには「you will need a square head wrench for the optics.」グーグルさんによると「光学系用のスクエアヘッドレンチ(四角レンチ)が必要です。」という回答だ。 

 

そこで照準具の画像等での確認を試みたが、確認できずに手詰っているとロシアのサイトにパンター戦車のロシア語マニュアル(戦時中に作成されたもの)を発見、そこにはこう書かれていた(グーグルさんの回答)

“中央の三角形の頂点が照準点と一致するまでキーを回転させます。位置合わせは、サイトの対物部分の上部にあるソケットに挿入された四角いキーで行われ、横にスライドするカバーで覆われています。”

 

ビンゴ!!

 

「四角いキー」

→その四角いキーを回すための工具→四角レンチ

「横にスライドするカバー」

→上記の四角いキーの保護カバー

 

謎は解けた。

 

そういや「《翻訳版》パンターフィーベル」もあったな。

と見てみたら

こちらには「調整用の四角ボルト」と記載されていた。

微妙。

 

なお、今回の翻訳は「フィーベル」ということで専門用語というか、硬い言葉を極力使用しないように配慮した(つもり)だ

 

ただ、同軸機関銃の規正には疑問が残る。

200~300mで規正をした場合、横方向は運用距離でのパララックス(視誤差)は最小になる利点があるが

 

高角を付けて規正しているから弾着は必ず下に出てしまう。

まあ、最後は実射による規正、つまり、零点規正(ぜろてんきせい)をするから良いという考え方なのだろうか?

 

なんかまとまらない。

昨夜、最終稿をうっかり消してしまったのが原因だがな。