10式戦車テクニカルファイル(補足2)こうたむ
こうたむ「広域多目的無線機」のヘッドセット(戴頭送受器:たいとうそうじゅき)に関する件
「ちょっと気になった2つの事項」
の2つめ「補足その2」だ。
「砲塔編 37 広域多目的無線機
(広多無=コータム)」(53、55ページ掲載)
こちらは記事を読んでなるほどと思ったのだが、よくよく見るとちょっと違うよね。
ということで、
気になったのはコータム自体ではなくて、コラムでも紹介されている「新型装甲車帽」だ。
90式戦車導入時から戦車帽(名称は装甲車帽)が新型となったのだが、ヘッドセットが車載無線機の変化に伴い3代目となっている。
ちなみに、装甲車帽は補給科物品、ヘッドセットは通信科物品であるため管理区分が異なり、原則として別保管になるという面倒な代物である。(あくまで原則)
装甲車帽の導入当初は保管方法について紆余曲折したものだが現在はどうなのだろうか?
話がずれたが、この場合、新型なのは「ヘッドセット」であり、装甲車帽は「新型」ではない。もっとも、乗員が「新型の装甲車帽になりました」とか言われたのなら致し方ないと言える。
画像は蛸無用のヘッドセット(装甲車帽用三代目)の取り扱い要領(推測)
イヤホン(右)
マイクが付く
外部音ボタンを押すと外部音を聞くことが出きる(のだろう)。
音量ボタンは外部音なのか無線機からの音量を調整するのかは不明だ
イヤホン(左)
無線通話と車内通話の切り替えができる。
無線通話は①か②のボタンを押すとプリセットされたチャンネルの送信が可能(なのだろう)無線通話間は押したまま(だと思う)
車内通話はヘッドセット下部のスイッチにより「入←→切」が出来る。
車内通話スイッチは画像の通り「入」位置での固定が可能だ。
二代目ヘッドセット
車内通話と無線通話(2チャンネル)をレバー切り替えで行う。
マイクが付いた側には操作部位は無い。
マイクの位置は右?左?
53ページ
コラム「10式戦車のヘッドギアが第二世代に進化 新型の装甲車帽」
より引用
(前略) 当初は左側のヘッドフォン部にマイク、右側には無線と車内通話の切り替えレバーが付属していたが、(後略)
たしか、右イヤホン(ヘッドフォン部)にマイクが付くのが標準仕様で、左側にマイクを付ける仕様にできるようになっているはずだ。
90式戦車導入当初に右側マイクだと砲安定装置使用時に砲手が頭持っていかれる場合があった。
顔のデカいやつは特にだ。
イヤホン自体は少々の工夫で左右の入れ替えが可能だったので乗員が組み換え使用していたので、左マイク仕様にできる部品が追加されたと記憶している。
2017年(今年)4月に駒門駐屯地で撮影したRCV乗員のマイク位置
ヘッドセットタイプは「初代」
車長(砲塔上向かって左):標準仕様(右マイク)
砲手(砲塔上向かって右):左マイク仕様
操縦手(車体部):標準仕様(右マイク)
2013年に富士学校で撮影した10式戦車の乗員のヘッドセット(二代目)
二列縦隊で行進していたが、右の隊員は標準仕様、左の隊員は左マイク仕様だった。おそらく操縦手と砲手で換えていたと思われるが、90式戦車と異なり10式戦車の砲手は左マイクにする必要があるのかは疑問だ。
10式戦車テクニカルファイル(補足1)有線端子
「10式戦車テクニカルファイル」の記事中に書くわけだったのだが、思わぬ展開により別枠になった。
「ちょっと気になった2つの事項」
ということで「補足その1」として
「車体編 95 尾灯」(114ページ掲載)
※キャプション引用
「車体左側の尾灯の右側に装備されているのは、トレーラなどを牽引した場合に接続する電気配線のソケット(電線カップリング)である」
74式戦車は付属品として2t弾薬トレーラが牽引できるようにピントルフックを取り付けられるようになっている。
90式戦車試作時における2t弾薬トレーラ牽引試験
90式戦車以降は取り付け台座が無いのでピントルフックが取り付けられない。
つまりトレーラ牽引が出来ないのでトレーラ用電源も必要が無いのだ。
つまり正しいキャプションとしては
「車体左側の尾灯の右側に装備されているのは、他車や野外電話機などを有線接続するための有線端子である」
となろう。
なお、74式戦車の派生型である78式戦車回収車の電源ソケットはトラックなど他の車両と同じ形状のものである。61式戦車も同形状だ。
74式戦車の形状が異なるのは潜水渡渉を行うための水密構造による。
74式戦車まで装備されていて90式戦車以降に無い装備がある。
普通科などと連絡を取るために装備されていた「車外電話機」だ。
90式戦車以降は野外電話機自体は廃止したが、ユニットについていた有線端子は残し、有線(通信線:電話線)を接続できる仕様にしたのだ。
89式装甲戦闘車の有線端子
ところがだ・・・
有線端子の写真を探していたらある事に気づいた。
2017年4月5日の記事駒門駐屯地創立57周年記念行事(平成29年4月2日)10式戦車には
「お分かりだろうか?一見何の際もないように思えるが砲塔右後部に注目だ」
※ちなみに「予備履帯」ではなくて正確には「予備履板(よびりばん)」
と書き込んでいるが、「車体左後部にも注目」だった。
無い(゜Д゜;≡;゜д゜)
更に2016年4月に撮影した1戦車戦車大隊のドーザ戦車にも無いのだ!
ドーザ戦車は2014年度納入車のC4だ。
C4からなくなったのだろうか?
ネットで第8戦車大隊納入分(C4~C5)を調べてみたが分からなかった。
しかし第71戦車連隊に納入された最新型C6には無かった。
つまり、廃止されたのか?
C4からの広域多目的無線機搭載により何か変化があったのだろうか?
10式戦車テクニカルファイル
10式戦車テクニカルファイル
■10式戦車テクニカルファイル:必須サプリメント100
発行:大日本絵画
発行日:2017年8月27日
定価:3900円+税
買ったかい?
と言われたんで、買った。
近くのありそうな本屋に行ったのだが無かった。
(゜Д゜;≡;゜д゜)
やたら探すよりもネット購入だなと思って熱帯雨林で問い合わせだ!
探し回ったとしたガソリン代を考えれば「お急ぎ便」の追加料金すら安いと言える。
発行日が8月27という未来だから本屋になかったのが当たり前なのかもしれないが、ネット上ではワープできるのか購入できる摩訶不思議(ノ゚ο゚)ノ
恐ろしい世の中である。
さて、本書は戦車模型雑誌である「アーマーモデリング」の別冊であり、同誌に掲載されていたものを新たに編纂したと言える。
生産年度による各部の違いなどをが分かる良書と言える。