戦車のサスペンション(その10)走行方式による分類
嫁の絵梨花@乃木恋がドイツに転勤だと?
そもそも彼氏になるゲームなのになんで結婚んしてるんだと・・・
まあ、可愛いから許す。
さて、「ボギー」って何?で、時間を取りすぎた。
とりあえず、「ボギー」が表す本来の意味はサスペンションの種類ではなく、サスペンションと同義語である事が分かったと思う。
では、サスペンションにはどんな種類があるのだろう。
今回は日本の書籍からだ。
タンクテクノロジー[戦車技術]
著者はご存知、林磐男(はやしいわお)氏である。
元三菱重工で戦車設計に携わっていた方の著書である。
発行:山海堂1992年
もう一つ
兵器と防衛技術シリーズ⑤
陸上防衛技術のすべて
編者:防衛技術ジャーナル編集部
発行:財団法人 防衛技術協会
まず、走行方式による分類である。
最初はタンクテクノロジー179ページから引用する。
(ii) 上部転輪方式かクリスチー形か
戦車の車輪は下部転輪(Road Wheel)と上部転輪(Support Roller)から構成されている。その大きな特徴は履帯をガイドする機能を持つことである。そのため多くのものは複輪のソリッドタイヤ付となっている。(略)
上部転輪を省略したいわゆるクリスチー形が一時かなり使用された。これはソ連がクリスチー戦車を輸入し、これをベースに有名なT-34からT-62にわたって長期に同形式をさいようしたことと、高速で低姿勢に適した構造と考えられたためである。
次に陸上防衛技術のすべて17ページから引用する。
2. 戦闘装軌車両の走行懸架装置の分類
2.1 走行懸架装置の分類
(1) 走行装置の分類
(前略)走行装置には図2-1に示すように上部転輪を持たないクリスチー(Christie)型(大型転輪)と、図2-2に示す上部転輪を有する上部転輪型(Top Rollers)型の2つがある。(後略)
2冊ともそれなりの根拠となるべき書物なのだが、微妙に違う・・・
クリスチー形
クリスチー型
形は式に相当する記述方法だな
つまりクリスチー形=クリスチー式
型は式(形)内の変異形式を示す場合に使用する
一例だと
化学防護衣4形2型みたいな感じだ
とりあえず走行方式による分類だと
クリスチー方式と上部転輪方式の2つになるようだ。
形か型かはとりあえず保留
実はこの分類だとティーガーもパンターもクリスチーサスペンションになってしまう。
そんなの聞いたことないぜ!
と思ったら・・・・
確かに聞いたことはなかったが、しっかり書いてあった!
TM-E 30-451
HANDBOOK ON GERMAN MILITARY FORCES
ドイツ軍重戦車の紹介ページだ。
余談だが、パンター戦車は重戦車扱い
赤枠の上2行に書いてあるのは
The suspension, which employs interleaved, Christie-type bodie wheels with a very wide track,
【訳】
サスペンションは、クリスティー式の挟み込み揺動輪(クリスティータイプ・ボギーホイール)、非常に幅の広い履帯が装着される。
奥が深いな。
「知ってるかい?ティーガーってクリスティー式のボギーなんだぜ!」
とか言ったりネットで配信したら・・・
ばーか、ばーかwwww×1億ぐらい・・かな?
ちなみにT-62とか74式戦車はその昔「クリスティー式」とされてたことはあった。
戦車のサスペンション(その9)ボギーの謎(最終章)
これまで述べてきたようにボギーとは対の転輪をひとまとめにした物ではなく、単に「揺れるもの」を表しているに過ぎない。
つまり、戦車の足回りで使用している「ボギー」と言うのは「(車輪の)揺動装置」と言える。
「揺動架」、「揺架」と表すこともできよう。
ただし、「揺架(ようか)」は「戦車砲架(砲座)」を表す言葉としても存在するので使用しずらいが「車輪揺架」とすればいいのだろうか?
実は、「謎」と言いながら最初に示した不整地運搬車の画像ですでに答えが出ていたのだ。
【ボギー式】:ローラ揺動式
【ボギー機構】:下部ローラが揺動できる機構
ボギー=揺動
ちなみに、サスペンションも語源をたどると「フラフラする吊るされたもの」
ま、結局のところサスペンションを表す「懸架(けんか)」と変わらない
ボギー=サスペンションでいいのだ。
どちらも名付け親はイギリス紳士であるのには変わりない。
では、FM 30-40「識別画集」ではどのように紹介されているかを見てみよう。
4号戦車(大洗)
eight small evenly spaced bogie wheels sprung in pairs;
ペアで弾む8個の小転輪
T-34戦車(プラウダ)
five large, enenly spaced bogie wheels touching top and bottom of tracks;
上下が履帯に接している等間隔の5個の大転輪
ティーガー戦車(黒森峰)
eight(visible) large, overlapping bogie wheels
8個の重なった大型転輪
チャーチル歩兵戦車(聖グロリアーナ)
11 small, independently sprung wheels, center 9 evenly spaced
中央の9個が等間隔な11個の独立して弾む小転輪
あれ?マニュアル(英)では「Bogie」記述なのだがなあ
謎はさらに深まるのだ。
戦車のサスペンション(その8)ボギーの謎(語源)
沢山の書籍、マニュアル及びびweb情報で「ボギー」=「サスペンション」という一つの答えが導き出された。
これとは別に「何故ボギーと呼ぶようになったのか?」ということで語源に迫ってもみた。
ウィキペディア(日本語)では以下の通りだ(2017年7月6日)
ボギー
(Boggy, Boggie [bɒgi], Bogey, Bogie, Bogy [boʊgi, bʊgi] など)
- ボギー (妖精) - 妖精の一種。
- ゴルフ用語の一つ。規定の打数(パー)より1打多くホールインした場合の成績をさす
- アメリカ空軍、アメリカ海軍における敵機の伝統的隠語。映画『トップガン』(アメリカ海軍)で敵機2機をトゥー・ボギー(ス)などと呼称した
- 鉄道車両のボギー車、ボギー台車 (bogie)
- ハンフリー・ボガートの愛称
英語の意味は?
bogie
- 〔自動車〕 ボギー車.
- 2〔鉄道〕 (英国の)ボギー台車:台車中央の軸で機関車や客車に取り付けられ,車体に対して軸を中心に旋回する.
- 3((主に英))
- (1)(石材の運搬などに用いる)低い丈夫な四輪荷車.
- (2)トロッコ(truck). (また bogey,bogy)
英語版wikipediaでは「目視もしくはレーダーに映る彼我不明機を表す隠語」とされている。
「ボギー=敵機」となろう。
ただし日本語版wikiの「アメリカ海軍における敵機の伝統的隠語」は?だ。