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戦車のサスペンション(その4)ボギーの謎(日本編)

「ボギー=サスペンション」

 

言い切ったが反論もあるだろう。

 

と、いう事で反論の根拠となるであろう日本のソースを示してみよう。

 

「不整地運搬車(告示番号28)」

 

 ボギーについて説明がなされているので以下に抜粋する。

①ボギー式(ローラ揺動式)下部ローラ支持機構

②下部ローラが揺動できる機構を有すること[ボギー機構]

以上から

「ボギー」とは「揺動(ようどう)する転輪支持機構」と結論付けられる。

 

用語解説として「ローラ」も必要だろう。

 

さっそくでググっと群馬だ!!画像検索!!

 

 

・・・・・!?

 

 

こ・・・これは・・・・!!

 

つまり彼女が「揺動」する機構という事か。

 

「ダンシング・ローラ」という解釈で良いのだろうか?

 

さて、公文書では末尾を伸ばす「ー」は省略する。

一例を示すと

「バッテリー(Battey)」は「バッテリ」

「レーザー(LASER)」は「レーザ」

となる。

「ローラー(Roler)」は「ローラ」となるのだ。

 

したがって「ボギー(Bogie)」は「ボギ」になるわけだ。

・・・?

 

なってないな。

 

例外はつきものである。

 

さて、ボギーの構造機能についても解説されている。

構造と機能

■目 的

・ 不整地踏破性と踏破速度の両立

■構 成

・下部ローラを固定せずに自由度を持たせ揺動する機構

・二つのローラを一つのビームの前後に取付ける

・このビームに中心軸(ピボットシャフト)を通し、軸を車体に固定する

・ローラはビーム中心軸を回転中心として揺動する。


通常この機構を車体の大きさに応じて複数個取り付けて、地面の凹凸にローラの追随を可能としている。


下部ローラが固定の場合、凹凸地面では前後のローラに支えられて接地が不十分なローラが生じ、履帯の対地密着性が低下しスリップが多くなる。
ボギー(ローラ揺動)機構は下部ローラが地面の凹凸に追随できるため、対地密着性が高くなり、スリップしにくくなるため牽引効力(トラクション)が高くなる。

 

この様に、ボギーについて公式な説明がなされている。

「サスペンション」という記述が無い事に気づいた事と思う。

 

・・・・だな。

 

この資料だけでは「ボギー=サスペンション」という結論は導き出せない。

 

本資料について注意すべき点は、ボギーについての説明は「建設機械」用であるという点だ。

軍用車両においては「下部ローラ」は「下部転輪(ロードホイール:Rord Wheel)」、「中心軸」は「筒耳(とうじ)Tranion:トラニオン」と呼ぶのが一般的だ。

 

次回、ボギーの謎(アメリカ編)

2017.07.2 13:35一部修正

 

 

 

戦車のサスペンション(その3)ボギーあんたの時代は良かった

ボギーがサスペンションの別名であるという事は良く分かってもらえたかと思う。

 

あ?

 

分からないって?

 

戦車黎明期において「ボギーはサスペンションの別名」として使用されていた。

という事なんだな。

 

根拠は米陸軍の各種教範だ。

 

1943年11月に発行された米陸軍野外教範(FM:Field Manual)である。

「識別画像集、装甲車両編」と訳せばよいだろうか。

 

11.TRACTION」として足回りの識別方法が図解されているのだ。

「TRACTION」を和訳すると「駆動力」とか「静止摩擦力」とかの自動車関係の訳になるのだが、この場合は「接地する物」と言うような意味合いの様であり、タイヤなのか履帯、転輪数などの外見の事のようである。

したがって「TRACTION:走行装置」と訳すことにする。

 この図を見て車種が分かる貴君はかなりの戦車通だ。

 

【解説】

米国製M3/5軽戦車系の走行装置

「BOGIE」

ドイツ製Sdkfz250系の走行装置と思われる。

 

ドイツ製ハーフトラックの走行装置

注目はサスペンションの説明だ

「OVERLAPPING BOGIE WHEELS」

「重複ボギー輪」と訳せばよいものだろうか?

「千鳥」とか「挟み込み式」と呼ばれる転輪配置

これ等のドイツ特有の足回りも「ボギー」なのだ。

当然、ティーガーもパンターも「ボギー」になる。

ドイツ製III号戦車の走行装置

詳しい方は概ねのタイプも判断できるだろう。

トーションバーサスペンションで有名なこの戦車も

「BOGIE WHEEL:ボギーホイール」

 

 

一瞬、「89式中戦車」と思ってしまった。

ソ連製T28中戦車と判断できた君は「変態」

 

ドイツ製I号戦車B型

アメリカ製ハーフトラックの走行装置

M2ハーフトラック系とまで判断できた君は「変態」

ソ連製BT快速戦車系走行装置

イギリス製巡航戦車も類似だが機動輪形状が異なる

ご存知クリスティー式だが

「LARGE BOGIE WHEEL」

 

という訳で

 

みんな「ボギー」だったりするのだ。

 

次回「ボギーの謎」

戦車のサスペンション(その2)ボギー

 

答えは「回答」ではなくて「正解」と書くべきであった

反省する。

 

ちょっと出題の内容をよく吟味しなかったので、ちょっと難在りかな?と言う気はするが・・・・・・

さて、正解できただろうか?

 

普通の人だと

「分からない。ボギーって何?」

だろうな

 

戦車通だと

下記以外の戦車が「ボギー式」

 

O-4:Ⅲ号突撃砲F型(カバさんチーム)

・ トーションバー式

 

J-1:10式戦車

・ ハイドロニューマチック(油気圧懸架)

 

P-1:T-34/85

・ クリスティー式


G-1:ティーガーⅠ

・ トーションバー式

 

F-1:BT-42突撃砲

・ クリスティー式

 

概ね上記のようになるだろう。

 

当然のことながら、正解が「全車ボギー」と言われても、

 

「ばかなの?」もしくは「あほちゃうか」

「なんだ知ったかかwww」

などと言われるであろう。

 

では、「ボギー」とは何なのであろう?

簡単である。

 

サスペンション=ボギー

つまりボギーはサスペンション(懸架装置)の別名なのだ。サスペンションの形式に「ボギー」と言うのは存在しないのである。

だから、質問自体が、誤っているとも言えるので反省させてもらおう。

 

次回、「ボギーボギーあんたの時代はよかった」