明けましておめでとうございます
元日にアップするわけが飲んだくれたので出来なかった。
ネガフィルムをパソコンのバックライトを透過させたネガフィルムを撮影してネガポジ変換してみた。焼き付いたような跡は反射したカメラだ。ネガフィルムを透過しているので茶色なんだな。
撮影はおそらく1980年の初夏だったと思う。
最初の乗員(装填手)になったのがこのM41戦車(M41A3)だ。
戦車の操縦教育は61式戦車だったので、操縦方式が異なるM41は「危険」ということで操縦させてもらえなかったのが今となっては残念な思い出である。
後方には本部管理中隊整備小隊のM32戦車回収車が写る。
定数上の戦車回収車は整備小隊に2両、各中隊の整備班に1両づつあるはずだったが、当時の我が大隊には1両のM32戦車回収車があるだけだった。
したがって、戦車回収は戦車で行っており、M32戦車回収車が回収しているのは見たことがない。
M41戦車は1981年に全車返還され、M4、M24戦車とは異なり現在国内には1両も残っていない。ちなみに、返還といってもアメリカもいらないのでブラジルに渡ったと聞き及んでいる。
戦車工学~理論と設計の基礎~
もう2021年も後わずかだ。
この一年何をしたんだろう・・・
1 汎論
1. 戦車に対する要求
1・1 戦車設計の基礎
1・1・1 一般基礎
戦車は装甲し武装した戦闘器材であって、悪路でも又断絶した地形でも馳騙し、天然及び人工障害物を突破し得る能力を備え、同時に火力と機動力と装甲防御力とを併せ備えたものである。
戦車の戦闘能力は火力と装甲防御力とに依るばかりでなく、自重と速力とを利用し障害物を突破する能力を有することに存している。
戦車は他の戦闘器材や輸送器材と本質的に異なった特色を持っている。殊に装甲自動車と戦車を比較するに、前者は専ら道路上で使用されるものであるが、後者は多種多様な地形において確実に行動し得るもので、この点が前者と異なるのである。戦車は自走砲とも異なっている。すなわち、戦車は行進間に射撃をするものであるが、自走砲に在っては露天または掩蓋下に据え付けを要するのである。
戦車は無限軌道を有するため、その秀でた通過性を発揮することができる。無限軌道装置の原理は次の通りである。すなわち戦車の車体は硬い車輪または弾力性のある車輪に懸架され、この車輪は道路上あるいは道路外の地面上を直接移動せず、地面に敷かれる無限軌道上を移動するのである。無限軌道は戦車の重量により地面に対し圧迫され、地面との間に粘着力を生じ、起動輪はその突起により無限軌道を巻き車体を押し進め、この様にして前進もし後退もするのである。
無限軌道の走行装置は特に大戦後に著しく進歩し多種多様な構造形態が現れ、しかもその通過性に関しても他のすでに知られていた走行装置と比較し優れた点があるにもかかわらず、今日においても理論的研究の方面からも、また構造形態の方面からも、戦車諸構造の中で最も劣った部分に属するものである。
したがって現代の技術的に完全な戦闘器材を造るためには、理論的及び実験的研究の広範な応用に基づいた設計に近づけるための科学的方法が設計者から要求されている。
構造をいかにしたらよいかを決定する根拠は経済的及び生産的可能性、軍事上の実務経験、還移、修繕等の条件、その他の自国ならびに出来れば外国の経験等を考慮に入れてあらゆる理論的特殊技術上ならびに軍事上の適応性の総合判断に存ずるのである。よって設計者は理論上ならびに工作上の慣習に精通している事が必要なばかりでなく、同時に戦車戦術、特に対戦車戦闘法を熟知していなければならない。
戦闘器材を設計するに当たっては設計者には一定の技術上の課題が与えらるべきである。
技術上の課題の重要さには軽重がある。したがって全ての技術上の課題はこれを決定的な主要問題と付随的な問題とに2分することができる。
主要な技術的問題は次の如きものである。
1) 戦車の形式と用途
2) 戦車の戦闘重量
3) 与えられた条件における最大速度
4) 障害物の超越限度
戦車の形式と用途は戦術上の利用度を決定し、また戦車が満足しなければならない技術的要求を条件付けることになる。例えば豆戦車、偵察用戦車、装輪装軌戦車及び水陸両用戦車等が考えられる。さらにまた戦車の多くの構造上の特性は戦術的ならびに技術的要求によってある程度決定されるものである。
付随的な問題としては残りの全ての問題、すなわち武装、乗員、懸架装置の形式、特殊な戦闘設備、発動機に対する諸要求等である。
戦車の完全なる戦闘重量は、特殊な場合を除き、確かに戦闘上の利用状態に拘束されぬものであるが、しかしながら、正確な数値を与えるべきものである。
運動に対する全抵抗係数が与えられている際の最高速度は、戦車そのものの基本的牽引力により決定されるものである。この条件と重量とにより次の諸量が決定される。すなわち、発動機の所要馬力、最低速度(最大減速比)したがって変速機における速度段数及び各速度段に対する変速比の配分等が定められる。
これらのうち発動機の所要馬力は操向装置の選択、接地面の長さと車体の幅の比の決定、及び戦車の操向に関する計算をしてから始めて決定されるものである。
M・K・クリスチー教授編纂
「戦車~理論と設計の基礎~」1937年版より抜粋
戦車砲弾の区分
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「砲弾」(2021年11月8日現在)には砲弾の分類として下記のように記されている。
標的に命中した際に弾頭が起爆して破壊をもたらす化学エネルギー弾と、発射時に得た砲弾自身の運動エネルギー(質量、速度)により破壊する運動エネルギー弾とに大別される。
Armor-defeating projectiles achieve their effect by means of kinetic energy or chemical energy.
運動エネルギー弾の種類
徹甲弾(AP:armor-piercing (shot:ショット))
被帽徹甲弾(APC:armor-piercing capped (APC:エーピ-シー))
高速徹甲弾(HVAP:hyper-velocity armor-piercing (hyper-shot:ハイパーショット)
装弾筒付高速徹甲弾(HVAPDS:hyper-velocity armor-piercing discarding sabot (Sabot:サボ)
化学エネルギー弾の種類
対戦車榴弾(HEAT:high explosive antitank (HEAT:ヒート))
粘着榴弾(HEP:high explosive plastic (HEP:ヘップ))
※ちなみにカタカナ名は射撃号令時に使用する呼称である。
ちなみに、対人/対物弾には榴弾(HE:High explosive projectiles)と散弾(Canister projectiles(キャニスター))、化学弾には黄燐発煙弾(WP:white phosphorus projectiles (WP or smoke:ダブリュピーもしくは発煙)がある。
このように化学エネルギー弾にはHEATとHEPの2種類しかないのだ。
あくまでも「装甲破壊(貫徹、裏面破壊)」を行うために使用するエネルギーが運動エネルギーなのか化学エネルギーなのかの違いによる分類である。
しかも、1978年版になると区分が変更され、化学エネルギー弾はHEATのみで、HEPは対物弾に区分替えされている。
・ CE弾(化学エネルギー弾) : 120-mm M830A1 [MPAT:エムパット] 及び 105-mm M456A2) ※M830A1はHEAT-MP、M456A2はHEAT
③ 黄燐発煙弾 (WP)は地点指示、煙覆及び焼夷任務に使用する。 ammunition is used for marking and screening, and for incendiary purposes.
④ 演習弾 (TP)は実弾射撃訓練に使用する。