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STB-5 74式戦車試作5号車(第2次試作3号機)

霞ヶ浦駐屯地に展示されているSTB-5は現存する唯一の試作車だ。(多分)

2014年5月18日撮影

STB-5は長砲身の70口径105mm砲搭載型

 

ではない

 

画角でこんなに砲身の長さが違う

 

車体後方銘板

「STB-0005」

「昭和46年(1971年)12月」

と確認できる。

 

車体刻印は確認できない。

STB-3とは異なり前面板に溶接ビートがない。

装甲厚が分からないようにパテ埋め成形してあるのだが、側面見ればバレバレなのは秘密だ。

STB-5も車体右後方にAPUを装備する。

後方の61式戦車はST-A2に変り展示された量産型だ。

 

STB-3では触れなかったが、試作車最大の疑問がこれだ。

74式戦車の量産型は履帯が車体よりはみ出している。

車体幅が3120mmなのだが、履帯がはみ出しているために全幅は3180mmである。ところが、試作車ははみ出していない。

つまり、車体幅=全幅なのだ。

 

戦車設計技師であった林磐男氏の著書「戦後日本の戦車開発史」には"レオパルト戦車用の量産履帯の寸法がSTBのそれに近く、機動輪の歯型を修正すれば使用可能"という事で輸入し試験している。写真も添付されており、履帯形式はレオパルト1用の「D640A」で間違いないだろう。履帯幅は550mmである。ところが74式戦車の履帯幅は550mmである。

履帯幅が近いどころか同じだな。ということは試作車の履帯幅は520mmなのだろうか?誰か計ってくれ。

 

照準用赤外線投光器がついている。配線は無いが。

 

赤外線フィルターが開いた状態なのでキセノンランプが確認できる。

 

2017年撮影

結構色褪せてしまっている。

STB-3 74式戦車試作車3号車(第2次試作1号機)

74式戦車の試作車STB-3だ。

STB-3は第2次試作車として作られた4両中の1両である。4両の試作車があるのは戦車小隊編制が4両のためであり、90式戦車及び10式戦車も第2次試作車は4両ずつある。

 

撮影日は不明だ。

油圧が抜けきっているの誘導輪が引っ込んだ状態で低姿勢になっているので履帯がゆるゆる状態だ。

 

武器学校に部隊弾薬過程(不発弾処理)で入校していた時と記憶しているから1995年頃であろう。

銀塩写真をスキャンしたものだ。

武器学校のある土浦駐屯地は霞ヶ浦に隣接しているので朝靄で霞んでいる。

霞ヶ浦の名称に偽りなし。

展示車両の左右に桜の木が植えてあるので斜め前方からの写真が撮れていない。

迷彩色の戦車は90式戦車の試作車であるが、試作何号車かは確認していない。

 

2005年3月9日撮影

前面板の紙には

74式戦車(試作)

(広報展示用)

不用決定予定車両

と書かれている

順当にいくと2004年度(2005年3月)に不要決定が承認されたものと思われる。

 

車体後方の銘板は判定不能なので車体刻印で確認・・・・・

・・よくわからない・・・・

例によって拡大色調補正

「STB-0003」と確認

 

60mm発煙弾発射筒や操縦用赤外線投光器は取り外されている。

 

 

OVM(車載資材)類もすべて外されている。

 

車体先端が丸く成形されているのが試作車の特徴だ

 

もう一つの特徴は61式戦車と同様の金網マフラーカバーだ。量産型では対IR(赤外線)仕様ということで鋼板製に変更される。

 

車体後方下部にはトレーラ牽引用のピントルフックが付く

弾薬や燃料などを積んだトレーラを引っ張るためのものであり帝国日本陸軍からの伝統で出来る限り自力移動を目指すものだ。

量産型では常備ではなく必要により装着する方式に変更

 

発電用のAPU(補助エンジン)を搭載している。

 

砲塔上面手前の4つのボルト孔は重機関銃架取付け部

写真ではキューポラ右前に取り付けられている。

 

エンジンデッキ部

後方に見える履帯は不要決定待ちのゴム履帯

 

防盾と砲塔の隙間を塞ぐキャンバスはボルトで止める仕様だが、量産型では水密性を高めるためにボンドG17で接着してある。

砲手用照準潜望鏡、車長用照準潜望鏡及び装填手用の潜望鏡は無い。

 

流麗な砲塔形状だ。

後方に見えるのが霞ヶ浦の水面

 

この後、四式中戦車のように霞ヶ浦に沈められた・・・

訳はないのだが

 

何とか保存できなかったものであろうか・・・

 

 

試製90mm中特車砲(61式90mm戦車砲試作)

一部を紹介

試製90mm中特車砲 取扱説明書

 

当時まだ戦車が特車と呼ばれていたので「特車砲」

「ST-A4-004用」と赤のグリスペンで書かれている。

試作4号車に搭載された90mm砲の取扱説明書

 

いわゆる「青焼き」とよばれた印刷(ジアゾ複写)であり、ペラペラの生写真?が接着剤で張り付けられている。

 

全体組立の写真はST-A3試製中特車(第2次試作)

 

砲口制退器は2種類だ。

※画像は「砲口制退機」表記だが、現在表記は「砲口制退器」

STA-A2にも取り付けられていたシングルバッファタイプの「傘型」と先に紹介した展示STA-A2とは異なる形状の「Z型」である。

一般的には「T型」とも呼ばれるが、先の砲口制退器がT型で、区別のためZ型としたのかもしれない。

制退能力は傘型が勝るが爆風転向機能を合わせ持つZ型が次弾速射性能に勝るというこで量産車に採用された。

 

米軍戦車に搭載されていたバリスティックドライブ(機械式弾道計算機)を装備

 

バリスティックドライブユニットを取り付けた状態

シャコ万力で装着してある・・・

流石、試作車だ!

ちなみにこの米軍装備をまねた「バリスティックドライブ」、試験の結果『砲手用潜望鏡の照準ノブを直に動かした方が速いし正確だね』という事で没装備になる。

 

砲俯仰用油圧回路図

カラーになっているが、当時はまだカラーコピーは存在していない。色鉛筆で塗ったお手製である。