人を好きになることの苦しさ(閑話休題)
ブログネタ:やめたいのに、やめられないものは? 参加中
本文はここから
そのお話しは、父親から莫大な遺産を相続した少年がそのせいで色々な人間から命を狙われる事から始まるんだけどさ... そんなある日のこと。
その少年の前にやってきたのは黒髪でナイフを使う女の殺し屋だったんだ。
彼女はサーカスをして各地を回る旅芸人の出身らしくて、腕は確かだったけど 『心の迷い』 のせいで “仕事” を達成出来ないでいたようでね、そこに少年のことを 『お坊っちゃま』 と呼ぶ謎の美女が現れると二人は文字通りの死闘を繰り広げるんだけどさ、
その謎の美女はこめかみに根元までナイフが突き刺さっても顔色一つ変えずに立ち向かってきて、驚いた彼女は思わずひるんだ一瞬のスキを突かれて叩きのめされたよ、
彼女が次に目を覚ましたのはどこかのテントだったんだけどね、ずーっと彼女を見張っていたその謎の美女は少年が彼女を 「この人が本気でボクを殺すつもりだったらとっくに死んでいた」 と言ってかばった事や、その場所が自分達もお世話になっているサーカスの一座である事を話すんだけどさ。
それからしばらくして、彼女はケガも治って元気になったのにまだその一座にいてね... 謎の美女はずーっと監視をしてたけど彼女に不審な行動は見られなくて、ある日本人にたずねたんだけどね。
彼女は言うんだ 「アタシはアンタみたいなバケモノと戦うのは二度とゴメンよ」 とね。
そして、それから彼女は自分の中の『サーカスへの思い』 を話し出すんだ。
まるで 「人生なんてままならないモンだねぇ」 とでも言いたげな顔をした彼女は
「アタシにとってサーカスは 『忘れられない昔の男』 みたいなモンなのさ」
そう言うと、こんな風に言葉を続けるんだ
「なじんで なじんで なじんで、それでも別れようとしてやっぱりダメで、それでも別れて... 何年かたってようやく忘れてきた頃に別の街でバッタリ
『あぁ、やっぱり私にはこの男しかいないんだ』 アタシにとってのサーカスがそんなカンジなのさ」
そう言った彼女は、だからここでサーカスがやれるなら今さら殺し屋に戻るつもりではないとハッキリ言いきったんだ。
そして彼女は、今度は謎の美女に逆に質問したよ 「ところで、アンタにはそういう男はいなかったのかい」 とね。
質問の意味が分からないでいるその美女に、彼女は言うんだ。
「ほら、アンタきれいだからさ...
一見クールに見えるアンタだけど 『コイツだけはあたたかく受け入れてやる』 って男が一人くらいいたんじゃないのかい?」
そう言ったんだ、するとその美女は 「いないわ」 と答えながら、でも...
忘れられるわけのない “ある事” を話しだすんだ。
さて、今回のお話しはここまでです
。
続きはまたいつか
m(_ _ )m
あやかし太夫 ~変わり者の医者~
「ぬしさんも、やはり答えられないのでありんすか」 とね。
で、そんなある日の事。
場所はうって変わって町の中のとある剣術道場に、とても腕のたつ男がいたんだけどね、
彼の所に遊郭の使いの男が飛び込んできてさ・・・ その男が言うには、ある遊郭の主人が持病の心臓の発作を起こしているので診てほしいとの事だったんだ。
で、どうやら医者を生業にしているらしいその男は、診療器具を手に取ると一目散に駆け出したんだけどさ、その姿を見た町の人は
「またあの先生が走り回ってるなぁ」
「あの先生になら、娘を嫁にもらって欲しいと言う親御さんもいるのに、いつまでも一人身で患者の事ばかりだからなぁ」 と、
なんだかその男は町の人々の信頼は厚いけど、少し変わり者というカンジに思われていたようなんだ。
で、無我夢中にかけてきたその男は目の前の門を見てあらためて自分が向かっている先が遊郭だって事を思い出すと… ここまで来といて尻込みして逃げ出しそうになったんだ。
でも、使いの男に引きずられるように連れていかれた男は無事に診察が終わると、遊郭のだんなさんも 「先生は剣術の腕はたいそうなモノなのに女の方はからっきしなのかね?」 なんて和やかに談笑していたよ。
で、そんなところに件の 『あやかし太夫』 がやってきたわけだけどさ、
彼女もその辺の医者なら裸足で逃げ出すほどの知識と技術の持ち主らしくてね、実際に普段からその遊郭のだんなさんの心臓の病は彼女が看ていたようでね、
それを 「どこの誰だか知らないヤツ」 に診察された彼女はかなりキツい言い方をしてさ 『男のメンツ』 ってヤツを潰すような彼女の物言いに、むしろ遊郭のだんなさんの方が男に必死で頭を下げていたんだよ。
~つづく~
あやかし太夫 ~永遠(とこしえ)に死なぬ身体~
『付き合うなら友達みたいな人?尊敬出来る人?』
そんなお題があった時に書いたお話しだったな。
そのお話しは、江戸時代の長崎の遊郭が舞台でね・・・
そこには確かに美しいけど、少し変わった顔立ちで・・・ そして何よりも 「なぜそのような質問をするのか?」 その意図のはかりかねる一人の太夫がいたんだ。
当時、最高位の遊女である 『太夫』 と同衾するには 「三度目までは顔見せ」 というのが 【遊郭】 の決まり事だったそうなんだけど、
でも中には困った客もいて、彼女に一見で同衾を求める客もいたりして・・・
彼女はそんな客にこう言うんだ
「もしも ぬしさんが私の質問に答えられたならその願いを叶えて差し上げましょう」
そう申し出る彼女に、男は何でも答えてみせると息巻くんだけどね、
そんな男に彼女・・・ 『あやかし太夫』 はこんな質問をするんだ。
「もし あなたが永遠(とこしえ)に死なぬ身体ならば、あなたは何をなさいますか」 とね。
~つづく~
バカ息子 ~母親というもの~
「大門さん、いま東京の 『聖徳さん』 って人からアンタに電話があってな。
いま手が放せないって言ったら 『依頼があった件、問題無し』 と伝えてくれってよ」 その人は、確かにそう言ったんだ。
そうして、さらに場面が切り替わって食堂の中で鍋を振るっていたとおぼしきその 『大門さん』 って女性は、客に涙ぐんだ顔を見られまいとするかのように背を向けながら、心の中でこうつぶやいていたよ。
「バガ息子が、おめがらプロレスとったら何がのごる」
そうして彼女は何事もなかったかのように、おそらくいつもそうしているのと同じ笑顔でお客さんにこう言うんだ。
「へぁ、レバニラ定食上がったべあ!」
と。
~おわり~
バカ息子 ~偶然に感謝するぜ~
でも・・・ それでもその一方でこうも言うんだ
「だがな 『こわいから逃げる』 そんなのはただの ガキだ!」 とね。
太一が、大門にそんな事を言っていると、そこにさっきのあの 大門の事をきかれたわけでもないのにペチャクチャと喋っていた二人組がまたやって来たんだけどさ、
さっきとは様子が違っていて、その二人組と一緒にハゲで頭も悪そうな・・・ でも力だけは有り余ってそうな巨漢が一緒にやってきてさ。
二人組が言うには、そのハゲは 『力士くずれ』 らしいけど、コイツをおだてて大門を叩きのめそうとしていたらしいんだ。
で、そのハゲも 「俺も格闘家としてデビューしたいから、実力を試させてくれよ」 なんて図に乗ってね、
あげくに 「プロレスなんて八百長だし、ホントは大した事ねーんだろ」 って言ってさ。
大門がキレそうになったところを、太一は制止して
「本当にガキになるつもりか?」
一言そういうと、そのハゲの前に立ちはだかってさ、ハゲからみればヒョロヒョロにしか見えない太一を見て、ハゲの顔はとたんに茹でダコみたいになったんだ。
それで、ハゲは思い切り張り手を食らわせにきたんだけど、逆に顔にめり込むほどの威力の太一のカウンターを食らって、目を剥いてその場に崩れ落ちたよ。
それを見て、二人組はビビって逃げていってさ。
そうして、もう一度現役への復帰を決意した大門は、お礼に復帰戦のチケットを送ろうと、太一の名前や連絡先を聞こうとしたんだけど、太一は
「自分で買うさ」 と言ってその申し出を断るんだ。
それでも、大門は本当に心底から楽しそうに
「本当にアンタは不思議で面白い男だよ。
『偶然』 に感謝するぜ!」 と、太一の身体を叩きながら別れを惜しんでいたんだけどさ。
それからしばらく後、大門の復帰戦が決まった後のある日の事。
どこかの町の、小さな食堂の電話が鳴ったんだ。
~つづく~
