バカ息子 ~母親というもの~
その電話をとった、年配の女性と思われる人の声はとても大きくて、その声は外まで聞こえてきたよ。
「大門さん、いま東京の 『聖徳さん』 って人からアンタに電話があってな。
いま手が放せないって言ったら 『依頼があった件、問題無し』 と伝えてくれってよ」 その人は、確かにそう言ったんだ。
そうして、さらに場面が切り替わって食堂の中で鍋を振るっていたとおぼしきその 『大門さん』 って女性は、客に涙ぐんだ顔を見られまいとするかのように背を向けながら、心の中でこうつぶやいていたよ。
「バガ息子が、おめがらプロレスとったら何がのごる」
そうして彼女は何事もなかったかのように、おそらくいつもそうしているのと同じ笑顔でお客さんにこう言うんだ。
「へぁ、レバニラ定食上がったべあ!」
と。
~おわり~
「大門さん、いま東京の 『聖徳さん』 って人からアンタに電話があってな。
いま手が放せないって言ったら 『依頼があった件、問題無し』 と伝えてくれってよ」 その人は、確かにそう言ったんだ。
そうして、さらに場面が切り替わって食堂の中で鍋を振るっていたとおぼしきその 『大門さん』 って女性は、客に涙ぐんだ顔を見られまいとするかのように背を向けながら、心の中でこうつぶやいていたよ。
「バガ息子が、おめがらプロレスとったら何がのごる」
そうして彼女は何事もなかったかのように、おそらくいつもそうしているのと同じ笑顔でお客さんにこう言うんだ。
「へぁ、レバニラ定食上がったべあ!」
と。
~おわり~